廃遊園地
それから数日。今日も今日とてキャンピンは走る。
数日もあれば、新しいメンバーのギースとハイドの性格も分かってくる。
まず【ギース】は元六花、現花弦No.1の超武人である。あの師匠も勝てない、相当強い老人だ。顔が厳つく、傷だらけな為、怖い人かと思いきや、割とお茶目なお爺ちゃんである。
私服はアロハシャツにサングラス掛けたラフな格好が多い。何故、アロハシャツなのかは不明
殊技は【痛覚遮断】と【超回復】の2つだ。2つ持ちなんて狡い!
そして【ハイド】は六花No.3の強者。殊技は言わずもがな【目で見た相手の次の動作を無効化】である。
性格は私の読み通り最悪で、女が泣いている所や苦しんでるいる所を見るのな好きっというクズっぷりである。女を捕まえて一度きりの逢瀬をした後、手酷くふるのが楽しいらしく、何度か寄った街でこの悪魔に引っかかり泣いていた女の子をよく見かけた。最低だ
私はギースには尊敬の眼差しをハイドには軽蔑の眼差しを向ける事にする
この2人が加わった事により、夜の見張りが交代制になった。チーム分けは私&師匠ペア、ハイド&ギース ペアだ。
純菜は弱いという理由で見張り番から外された。私は弱いと思わないのだが、師匠やハイド、ギースからしたら弱いらしく、純菜に頑として見張りをさせない
宝玉の件はハイドだけでなく何故かギースにも届いており、殊技の事も交えて説明を師匠がしていた。それからギースは何かと私を気遣ってくれる様になり、良いお爺ちゃんぷりを発揮してくれている。同じお爺ちゃんでも、クレマチスお爺とえらい違いだ
祖父がキチガイの私には、彼が本当のお爺ちゃんに思えて来る。なんだか泣きそうだよ
「ちょっと止まってくれ! この辺りに急に白の宝具の気配がし出した。この辺りに有る!」
私がハイドを睨みつけていると、コルネリア様が突然声を上げてキャンピンを止める様に言って来た。
「この辺りに有るんだ! この山の上に……」
という事で山にキャンピンを走らせる。着いた先は……
「え゛……本当にこんな所に白い宝具有るの? どちらかと言えば黒い方が有りそう」
そこは廃遊園地だった。廃止されて、かなりの年数が経っているのか、かなり錆びれた場所だ。そして何故か駐車場には大量のキャンピングカーや普通車が有った。誰か他にも来ている人が居るのだろうか?
「取り敢えず、中に入るか……」
キャンピンにギースとジィジのお爺ちゃんコンビを残し、私達は中に入る
今回は宝具捜索の為、唯一白い方を感じられるコルネリア様と、もしもの保険の為のメガ萌ことアスターも着いて来る事に。
中は随分、不気味な感じだった。これ霊的なモノが出そうなんだけど……
近くでガサッと音がして振り返ると、キモい生命体が木々の隙間からから私を見ていた。
「師匠……此処は私が出ますね。あれ? 師匠? えっ。誰も居ない」
振り返ると誰も居なかった。
「そして誰も居なくなった……あははっ迷子になるなんて師匠達お茶目だな。いや、師匠は方向音痴だった。迷子によくなるわ」
こんな所で1人ぼっちは辛いモノがある。誰か見つけて下さい、お願いします。
「一旦、ギースの所まで戻るかー。……⁉︎ うぉ⁉︎ なんか来たー!」
気持ち悪い生命体が私に向かって来ていたので全力で走って逃げた。これぞリアル鬼ごっこ!
「いや、倒せるんだけども! 気持ち悪くて無理! 生理的に無理!」
なので逃げます!
やっとキモい生命体を撒くことに成功した。
「なんか、こんなゲーム見た事あるな」
ホラーゲームにありがちな設定である。そんな事を考えていると空から大量の雨が降って来た。かなりの土砂降りで全身ずぶ濡れの濡れ鼠状態の私。慌てて、近くの建物に入ろうとすると、建物の扉が勝手に開いて「カモーン」って感じになった。
コレはアレだと思う。入ったら最後、出られないヤツだと思う。なので私は緊急Uターン。建物の中に入るのは諦めて土砂降りの中、師匠達を探す事に。
暫く歩いていると何度かキモいモンスターと遭遇したが走って逃げた。そしてまた歩いて散策していると道を示す矢印を発見した。この矢印の通りに進めば会えるかもしれないが、私は敢えて矢印の逆方向へ歩く事に。
逆方向に向かう事数分。また矢印が有ったので、思案した後、またも逆方向に向かう。それを何度か続けて居ると観覧車の下まで来て居た
「おぉ……大きいな。しかも何か顔が着いてるし」
下から観覧車を見上げると、あら不思議。観覧車の中心部に大きな顔が有った。コレは何かのモンスターか?
その顔は私をジッと見下ろしている。何か御用ですか?
「動かないんだね」
観覧車をギシギシと揺らす巨大な顔だが動けてないらしい。取り敢えず、放置を決めて他の場所を探す事に。先に進むと、また矢印が有ったので今度は素直に従ってみた
するとゴミ溜めの様な場所に出る。そこには多種多様な骨が散乱しており、どう見ても人の骨も有る。私は見なかった事にして、元来た道を戻る。
そして観覧車の下に着くと、もう一度上を見上げる。この巨体なら夜になれば1人で倒せる相手だろう。恐らくだがコレがボスの気がする。なので夜になるのを、その辺で待つ事に。時折、キモい生命体が来たが何とか撃退した。
そして辺りは暗くなり始め夜も近づいた頃、巨大な顔は動きを見せた
「嘘っ⁉︎」
手と足が生えてきて動き出したのだ。かなり気持ち悪い動き方でコチラに近づいて来る観覧車のモンスター。まだ完全に暗くなっていないので、討伐は無理と考え、1度引いて様子を見る事に。
しかし、簡単には逃してくれないのか逃げる私を追いかける観覧車。マジ気持ち悪い。
鬼ごっこを続ける事、数分。ようやく暗くなった辺りりコレにより私に反撃の機会が巡って来た。
私は逃げるのを辞め、振り返り止まる。すると観覧車のモンスターも止まり、雨が降る中、見つめ合う。周りにはワラワラと気持ち悪いモンスターも湧いて来た。
私は顔に張り付く髪をかきあげ、刀を取り出す
「行くよ」
私が走り出すと同時に向うも走り出した




