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決闘

 

「あ、あの〜。すみません……ここでの私闘は辞めてもらっても、よろしいですか?」


 さっき兵士が怯えながら寄って来て男を止めた。しっかりしろよー。男だろ?

 兵士の注意を聞いたイケメンの男は私をチラリと見た後、剣を収め


「……着いて来い。お前のご主人様と師匠も居る。お前が来ねば始まらん」


 そう言いスタスタと歩いて行ってしまった。着いて来いって……新手の誘拐かなんかだろうか? 私を誘拐してどうするつもりだろう。身代金の要求? 自分で言うのもなんだが、私を誘拐しても何の特にもならないぞ?

 分からないので、取り敢えずコルネリア様に電話を掛ける


「もっしー! 佳月です! なんか超イケメンに襲撃くらって、俺に着いて来い的な事言われたんですけど、着いて行かないと行けないんですか?」

『ハイドか……あぁ、着いて行ってくれ。私は屋敷で待ってる』


 直ぐに切られてしまい、理由も何も教えてくれなかった。しかし、コルネリア様に言われれば従う他無いので、仕方なく着いて行く事に。キャンピンの戸締りを、しっかりしたのを確認する男の後を追った。結構時間が経ったが男は居るだろうか? 居なければ、「居なかったんで行けませんでした」って言おう


「遅い」


 暫く歩くと黒塗りの車に男が凭れ、腕を組み、コチラを見ていた。なんだか、とても偉そうだ。しかし、とってもサマになっている


「乗れ」


 男は顎で私に指示し、車に乗り込む。私はドアの前で戸惑ったが意を決して乗り込んだ


「予定より遅れた。急ぐぞ」


 遅れたのはコイツの所為ではないだろうか? 私の所為なの? コイツが何故か戦いを挑んで来たからじゃね?


 乗り込むと直ぐに車は発進。しかも、凄いスピードで運転し始めたのだ。私は恐怖のあまり、シートベルトを握りしめ、過ぎて行く景色を見る事しか出来なかった


「着いたぞ。降りろ」


 あっと言う間に目的の場所着いたらしく、降りる様に促される。そこは、大きな屋敷だった。


「着いて来い」


 また、顎で指示された。イラッとしたが、私は大人だったので何も言わず着いて行った。


「ここだ」


 男に着いて行った先には、だだっ広い空間が広がっていた。その空間の上の方にはガラス窓が有り、そこにはコルネリア様や師匠、他の皆んなが揃っていた。私だけ仲間外れなんですね

 上を見上げ師匠達に手を振ると、ジィジは振り返してくれたが、他は返してくれなかった。ノリ悪いなー


「そうそう、自己紹介がまだだったな」


 私が不貞腐れていると男が今更な話をして来た。


「俺の名は【ハイド・ランジア=ベルナール】。そこに居る【アスター】の兄だ」

「わーお……」


 それ前に聞いた六花の人じゃね? メガ萌の兄は六花で姉は花弦だとか言っていた気がする……その六花が私に何の様?


『今から決闘(デュエル)を行う。両者共に準備は良いか?』


 備え付けのスピーカーから聞いたことの無い男性の声が聞こえて来た。誰だと思い、見渡してみると上の窓に見た事の無い金髪の何処かコルネリア様に似ている男性と、顔に傷が有り貫禄のある鎧を着た老人が立っていた。


「ちょ、タンマ。タンマプリーズ! デュエル? 誰と誰が?」


 決闘(デュエル)ってアレでしょ? 殺し合い的なヤツでしょ? 誰がそんな事するの?


『……お前とハイドだ』


 続いてコルネリア様の声が聞こえて来た。そして事の経緯を教えてくれる


 まず、コルネリア様達はお出掛け中に、コルネリア様のお兄様である第1王子の【フェルベルマイヤー=ベンジャミン=ショーバーレヒナー】の部下と遭遇。屋敷に招待され、話し合いをしたが並行線で決まらない。なので王族の賭け事に良く使われる決闘(デュエル)で決着をつける事に

 決闘(デュエル)とは王子や王女達が互いの主張で揉めた時などに、互いの力自慢の家臣を戦わせて勝敗を決める時に使われるものらしい。


「何故、私なんですか⁉︎ 師匠とかは⁉︎」


 それに何故か私が選ばられた。しかも相手は六花だ


『リンドヴァルだと相手に【ギース】を持って来られる。しかしリンドヴァル以外だと【ハイド】を出すとお兄様が言ったのでな……このメンバーの中ではリンドヴァルの次にお前が強い。なので消去法でお前になった』

「わーお」


 師匠が相手だと【ギース】という人が出て来るらしい。恐らくだが【ギース】は上に居る、顔に傷を負った厳ついお爺さんだと思う。だって達人感ハンパないもん。オーラが違うもの

 その人は師匠でも勝てない相手なのか……気を付けよう


『しかし、流石のお前でも【ハイド】相手は厳しいと思う。なのでハンデを貰った。内容は制限時間30分。制限時間までにお前を倒せたらハイドの勝ち。制限時間までお前が立っていられたら、お前の勝ちだ』


 ハンデないと勝てない相手なのか……


『ハイドは六花No.3。リンドヴァルの次に強いヤツだ』

「マジかよ」


 目の前の見目麗しい男を見る。六花らしく感情を抑制しているのか、あまり表情に変化は見られないが、私はさっき見てしまったのだ。さっき私と剣を交えた際、狂気染みた笑みを浮かべていたのを。

 コイツも久遠と同じタイプだな……


「構えろ」

「はいよ」


 かなり嫌々だが、私は刀を出して構える。そして辺りを見回す。ココはだだっ広い空間で影は私と相手の影ぐらいだ。つまり使える影は限られて来る。今回も本気は出せないな……


『始め!』

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