師匠の優しさプライスレス!
「申し訳御座いませんでした」
「いや、いい。こちらこそ、すまない。無理な願いを聞いてもらったんだ……白い宝玉だけでも、取り戻したんだ。良しとしないとな……白い宝玉は私が持つ。異論は?」
「有りません」
「なら、部屋に戻る」
そう言ってコルネリア様は部屋に戻られた。白い宝玉はコルネリア様持ちになった。
「コルネリア様は泣いて居られるだろうか?」
「かもしれんな……王女っと言っても、まだ若い子供じゃ。実の姉が殺されるとなると悲しいじゃろう」
メガモとジィジが話している。
「この様子ではソフィア様は諦めるのか?」
「だろうな」
コルネリア様は幼いが王族としての責務を知っている。何を優先すべきかもだ。これからは、ソフィア様の救出は諦めて白い宝具探しを続行する事だろう。
「純菜、手当するよ。僕の部屋に来てくれ。道具がある」
「あぁ、助かるよベルナール」
医者のメガモは拷問を受けて傷だらけの純菜の治療に入った。ジィジは車のメンテ。なので私は……
「師匠。なんで閉めたんです?」
取り敢えず、師匠を責めておく。あの時、閉まってなかったら、私は六花と戦わずに済んだのに!
「そういうお前こそ……近くに影を繋いで脱出できたんしゃないのか?」
「あ……」
わりと制約は有るが影を繋げば、近くなら行きたい所に影を通って行ける。そう、脱出しようとすれば脱出が出来たのだ
「忘れてたのか?」
「……はい」
これ、脱出出来てたらソフィア様救えたんじゃね? 私の責任なんじゃね?
私は頭を抱えた……その私の頭を師匠はポンポンと叩き、慰めてくれた
「俺もあの時、閉めて居なければ助かっていたかもしれん。お前の所為では無い……おい、待て。何故泣く⁉︎」
悔しさと切なさで、胸がいっぱいになっていた所に師匠の優しさが入り、涙が出て来た。
師匠が優しい! 師匠の優しさプライスレス! 偶の優しさが滲みる! ホント、飴と鞭の使い方分かってるな!
私は師匠にしがみ付き、泣きながら胸部に頬ズリをする。女で良い事無いって思っていたが、女だから師匠に頬ズリ出来る。男だったらヤバイ光景だったもんな! なんだ、良い事有ったじゃないか!
割とどうでも良い事だっが、ポジティブに考えないと余計に涙が出て来そうだったので、ポジティブになろうとする。そして、師匠がその状態のまま頭を撫でてくれたので幸せになった。安い女である
「よし! 元気出ました! 組手しましょう!」
「それより、休め。お前は疲れているだろう? 久遠の殊技は面倒だからな」
分かっていらっしゃる。だが、このモヤモヤを吹き飛ばす為に組手をしてもらいたかったのだが……
師匠から離れ、ソファーに腰掛けて水を飲んでいると、あら不思議。意識が無くなりました
起きると自身のベッドの上だった。師匠が運んでくれたのだろうか?
起きてリビングに行くと私以外のメンバー+純菜が揃っていた
「起きたか……昨日はご苦労だったな」
「いえ……」
コルネリア様に労わりの言葉を頂き、席に着く。
「私達は白い宝具を探しを続行する。これから何が有っても必ず探し出してみせる」
そして、コルネリア様は宣言した。
「ならば、私も力を貸しましょう。ソフィア様より受け継がれた宝玉の持ち主よ」
「お姉様は良いのか?」
コルネリア様が純菜に問う。
「……ソフィア様はコルネリア様を守れと仰った。私は、その意思に従うまで」
私が久遠と対峙している間にどんなやり取りが有ったか知らないが、相当な覚悟を持って言っているのだけは分かる。ならば、信用に値するだろう
「……宜しく頼む」
こうして、純菜がパーティーに加わった。これで非戦闘員3人に戦闘員3人のバランスの取れたパーティーになった
それから、キャンピングカーで国を出て次の国に着いた。これにより、ソフィア様の今後の情報は一切入って来ないだろう。
「コルネリア様。この辺りには宝具はありそうですか?」
「この国には無いだろう。だから早々に次に行くぞ」
なので、この国はほぼスルーする事となった。
資金調達と物資補給、キャンピングカーのメンテの為、最寄りの街に止まった。そして、師匠はモンスター討伐に純菜は酒場にクエスト受けに、私は護衛兼ジィジの手伝いに車に残る。他2人は車内でお留守番だ
「ジィジ……そろそろ、この車に名前付けようよ。ずっとキャンピングカーじゃ可哀想だよ」
「名前⁉︎ キャンピングカーにか?」
「そうそう、ジィジにとって我が子同然なんでしょ? 子供には名前をつけるべきだ!」
「じゃあ、何が良いか言ってみろ」
という訳で名前を付ける事に……
「醤油」
「何んで⁉︎」
「ダメ? じゃ……茹で卵」
「だから何故!」
「これも、ダメか……」
私はチラッと歩行者を見る。その歩行者のTシャツに
「世界征服」
って書いていたので、言ってみた
「却下!」
それからも上げ続けて見たが、全部却下された……じゃあ何が良いんだよー




