久々の再会
木の上ナウ。
結局、攻略方法が分からなかったので逃げた。最後の方には20匹ぐらいになっていたので、気持ち悪すぎて泣きそうにになった。
流石にマズイと思った師匠により、撤退指示が入り逃げた先で休憩の為、木の上に登った。木の上には丁度人が2人くらい入れるくらいの窪みがあり、そこにコルネリア様が入り座っている。私と師匠は太い木の幹に腰掛けている状態だ
「あれ、何だったんです?」
「知らん。俺も見た事がない」
「僕もだ。モンスターは基本的には全て頭に入っているが、あんなモノは文献でも読んだ事がない」
ほら、やっぱり得体の知れない何かが出てきただろ?
「兎に角、今日はここで休もう。休息も大事だ」
という事で暫しの休息だ。見張りは何時もの様に私と師匠が交代で行う。しかし、コルネリア様は兎も角、私と師匠はどう寝ればいいのだろうか? バランスを崩したら下に落ちそうなんだけど……
「師匠……私、高所恐怖症になりそうです」
「そうか」
目を閉じて太めの木の枝にもたれ、休息姿勢を見せる師匠。凄い……この状態でよく休めるな。私は落ちるのが怖くて、そんなリラックス出来ない
結局、一睡も出来ず休憩は終了。木から降りて、また森を歩き続ける。森の中には今まで会った事がないモンスターがわんさか居た。師匠と頑張って倒して進んだが交戦歴のないモンスターには何度も手を焼かされた
「よし! 抜けたぞ!」
迷いの森を抜けると、あら不思議。ただの森が広がっていた。これは可笑しい。予定では国境を超えた場所に出る筈だったのだが、全く別の場所に出てしまった様だ
「ルート変更ですか?」
「そうだな」
もう一度、迷いの森に入り迷うより、この森を抜けた方が良いだろうという結論に至り、この森を抜けて別の国に亡命する事に
しかし、この森には兵が居る恐れがあるので慎重に進めと師匠から御達しがあった
コルネリア様の体力の問題もあり、休憩を挟みつつ進む。山に差し掛かり、更に休憩の回数を増やしながら進んで行く我らの行く手に、とうとう兵が姿を現した
その中には懐かしい顔も……
「よう! 愚妹。相変わらず愚図だな」
「あ、兄様。おひさ!」
そう、兄の姿があったのだ。コレは、千載一遇のチャンスでは? かつての恨みをここで晴らすべし!
「おうおう……リンドヴァルに姫様。漸くお逢いできましたね」
「全く手のかかる」
そして、強そうな2人組が登場した。師匠によるとこの2人は【花弦】らしい。
【花弦】とは、【六花】よりも権限は劣るが城内ではかなりの地位にいる者達である。構成員は30人で全員【アナズィトン】以上で殊技持ちだ。
花弦や六花はランキングがあり、目の前の2人は下位なので特に手間取りはしないらしい(師匠談)
「師匠は手間取らないかもですけど、私は手間取りますよ。殊技使われたら尚更です」
師匠は私の講義を無視して花弦の1人の前に出た。弱い方に……
「えっ⁉︎ 師匠! 何でそっち行ったんですか? 私に強い方相手しろって事ですか⁉︎」
まさかの強い方(20位)の相手をさせられるらしい。師匠は弱い方(28位)の相手だ
「君は確かウィークトゥスだったよね? 良いのかい? リンドヴァル。君の娼婦を殺しちゃう事になるよ? 素直にコルネリア様を渡してくれたら助けてあげるよ?」
ここでも売女扱いか……しかも、師匠の
「私、娼婦じゃないですよ。新品です。来世は妖精になる予定です」
「そんな要らん説明はいいから、さっさと倒してこい!」
後ろにいるコルネリア様に怒られた。仕方ないので倒しに行こう。前に出て刀を取り出して臨戦態勢を取る。
「師匠。殊技使うなら離れて使って下さいね?」
「……お前には殊技無しで戦う方法を教えたつもりだが?」
「イヤだなぁー師匠。保険ですよ保険。もしもの時に使えなかったら困るでしょ?」
師匠に念押したが聞いてくれる筈はなく、始まってもいないのに殊技を使われた。おぅ……これじゃ、魔法も使えないぜ……
「待って下さい!」
仕方ないので、そのまま戦おうとすると、兄からストップが入った。なんだ? まさか庇ってくれるのか? ちょっと感動した。流石は兄! やっぱり妹が可愛いんだな!
「妹は俺がやりたいです。格の違いを見せてやります」
感動を返して欲しい。自分がボコりたいだけかよ……
「構わない。変わってやる。その間に俺はコルネリア様を捕まえるかー」
そう言って剣を抜いた。捕まえるなら剣は要らないはずだ。捕まえるんじゃなくて殺すの間違えだろ
「行くぞ妹! ふべっ⁉︎」
走って来た兄の腹部に膝をめり込ませると呆気なく倒れる兄。そんな兄を放置して私は花弦No.20に向き直る。
「相手しますよ」
「……いいだろう」
蹲る兄は放置して今、花弦との戦いの火蓋が切って落とされた!




