運命の出会い
文明化が進み、電気やガスが当たり前の様に使われる時代。便利な乗り物も多くあり、街間や国間の移動がとても楽になった。
しかし、一歩街の外に出るとモンスターがウヨウヨと居り、強者以外は外を出歩けない時代でもあった。
魔法を使い、剣を持ち、強者達は果敢にもモンスターに挑む。
私の名前は【三ツ葉 佳月】。ぴちぴちの20歳です。黒く長い髪に毛先だけ何故か緑色なのが特徴の女である
家族構成は、面倒で鬱陶しい兄と、私に無関心な弟、母と父の4人家族。そして大勢の親戚がいる。その親戚が鬱陶しいのなんので……
苗字が【一ツ葉】から【六ツ葉】までの家で構成された由緒正しい家柄である。六ツ葉が1番偉く、尊いとされており、六ツ葉より秀でた才を持っていると叩かれる。
私は時期当主様を10歳くらいで、コテンパンにしてしまい、それから地獄の日々が続いた。
なので手加減して誰にも勝てない、か弱い女の子を演じると親戚達の態度が一変。皆んなから見下され、虐げられた。
しかし、ひ弱な女の子を演じている方が親戚達からのあたりは楽だったので、弱者を演じ続けた。
人を嘲笑い、コケにする一族に嫌気がさした。
この世界には階級という物がある。階級は全部で6つあり、1番下の【ウィークトゥス】は何処にいこうと虐げられるいわば敗者だ。そして、普通の人は【オルディナリオ】の階級。それより、少し強いのが【メディウム】。
4番目の【プローウォカートル】辺りになると強者とされ、まず出会ったらヘコヘコする。そして5番【アナズィトン】6番【ドクトゥス】がある
この階級は16歳で筆記試験や魔法の試験、剣等の試験を受け、その出来栄えによって自身に合った階級を貰える。そして、その階級の身分証を貰えるのだ
私は4番の【プローウォカートル】くらい取れたのだが、親戚に
「どうせ、【ウィークトゥス】だろ。ひっひっひっ」
っと言われて弁解するのも面倒なので手を抜き【ウィークトゥス】を取った。それを取ると更に親戚は私を攻めた。もう、ホント何なんだよ。
「この面汚し!」
「お前なんて居なければ良かった!」
等々言われ、カチンと来たが耐えた。いつか仕返しする為にな! それまで精々、楽しんでおくがいい(ゲス顔)
それから大変だった。軽い気持ちで取った【ウィークトゥス】だが、仕事を探してもウィークトゥスだからという理由で断られ、ギルドに入ろうにもウィークトゥスでは使い物にならないと言われ、終いには売女扱いされる日々。何処に行っても見下され、イラつく日々が続く。
流石に売女扱いは応えたので、ジャージに長い髪を後ろで一本に結う格好をする。ジャージを着た売女なんていないだろと思ってだ。因みに、そこそこ有る胸は潰している
酒屋に出てるフリーのクエスト等を受けて私は生計を稼いだ。酒屋でクエストを受ける時に提出する身分証をみた店主にドヤ顔で
「ウィークトゥスのクセに、こんなの出来る訳出さないだろ? 大人しく体売ってろ」
っと暴言を吐かれたが構わず受けてやった。目的のモンスターを悠々と倒して戻ると「インチキだ!」等々言われ、終いには用心棒まで出てきたので、
「うるさい」
用心棒の腹に1発グーパンをお見舞いして説得(物理)をすると店主は黙った。因みに、用心棒の階級は【メディウム】だった。
それから、店主は私にヘコヘコと媚びへつらう様になる。店の客も始めは暴言の嵐だったが、何回か説得(物理)をしてやるとヘコヘコしだした。
そんな日々を過ごすこと早3年が経った頃、私は運命の出会いを果たす。運命と言っても恋とかではないが……
何時もと同じ様に、親戚に貶されながら家を出て店主にヘコヘコされながらクエストを受け、何時も通りモンスターを退治した時、茂みからボロボロの人が現れた。
「王様?」
それは、この国の王様だった。その王様は愚鈍な王と言われ、国民からの指示はほぼ無かった王である。名前は忘れた。
その王は私を見た直後、問答無用で斬りかかってきたので応戦。中々、王様は強かったが私が殊技を使えた為、私の勝ちに決まった。
殊技とは、魔法や武を極めた者だけが使える究極奥義。人によって能力が違うが、コレを使える人は大抵、強者なので使える者は皆恐れられる事が多い。
また、殊技を使う際、目の色が金色に変わるのが特徴。これで殊技かどうか判断する者も多い
極めた者だけなので、基本はアナズィトン以上が使えるが、私はコレが使えたりする。てへっ
「完敗だ……煮るなり焼くなり好きにせよ」
王様は自身の首を差し出してきたので慌てた。そんな私の様子を見た王様が不思議に思ったのか私に問う
「其方は追っ手ではないのか?」
っと。何の追っ手? 疑問符を浮かべている私に王様は笑い、「すまん」と軽く謝られた。殺す気だ襲って来ておいて「すまん」で済むか!
「時に其方、階級は?」
聞かれたので素直に
「ウィークトゥスです」
っと答えると面白い顔をされた。そして、「そんな筈は無い! 可笑しい!」と問い詰められたので、私は簡単に親戚の事をゲロッた。
「ふむ……これは、使えるかもしれん」
王様は何やら呟いた後、自身の手の甲からドス黒い半球を取り出す。何ですか、それ?
「どうだ?」
「何がです?」
それを差し出されたが、どうしていいか分からず再度疑問符を浮かべていると……
「やはり、私の見立ては間違ってなかった!」
とか言い出して私の胸部に、そのドス黒い半球を押し付けた。
「ちょっ⁉︎」
気付くと、そのドス黒い半球は私の中に取り込まれていった。慌てて服の中を覗き込むと
「なんか刺青入ってる」
入れた覚えのない刺青が出来上がっていた。
「それを、宜しく頼む! ではな!」
それだけ言うと王様は「自由って素晴らしいーー!!」と言いながら何処かにいった……
これが私の運命の出会い、その1である
※ 他の話と一部同じ設定を使っておりますが、繋がりは有りません。