プロローグ 異世界転生
目を覚ますと、僕は真っ白で何も無い場所に一人で居た。しかも、何故こんな所にいるのか、それどころか自分が誰なのかもわからない。それでも、何も覚えていない訳じゃ無い。僕は確か、家で本を読んでいたら、急に爆音が聞こえて...それからどうなった?そこから先が思い出せない。
それなのに、不思議と不安や恐怖は無かった。それどころか安心感を感じているぐらいだ。
「あっ!起きたんだね♪」
頭の中に、楽し気な子供の声が響く。あたりを見回すが誰もいない。僕が驚いていると、子供が言葉を続ける。
「ここは死後の世界ってとこかな。たまたまさまよってた魂を私が拾ったんだよ。」
それを聞いて、僕は不思議と納得してしまった。普通ならそんなことを言われても信じなかっただろう。ただ、この声には信じさせる何かがあった。たぶん、神様的なアレだろう。
「そう、私は神様なのです!しっかし君は面白いねぇ、今までの人は自分が死んだって分かったらもっと動揺したよ~?」
わざわざ魂を拾ったってことは、何かあるんですよね?
「おっ、君はなかなか鋭いねぇ。そう、君にはこれから私の管理する世界でダンジョンを創って欲しいんだ。」
ダンジョン?それってゲームとかに出てくるモンスターの巣窟だよね?そんなのをを創ってどうするんですか?
「実はね~その世界、人間を守るために勇者を数人送ったんだけど、今度は人間が増えすぎてね。魔物は勇者が倒しちゃうから人間は増える一方。だから人間、あわよくば勇者を間引いてもらおうと思ってね。」
なんて無責任な...ただまあ、ダンジョン創りか、面白そうだな。
「君も乗り気になってくれたみたいだね。それじゃあ必要な事を済ませて送り出しちゃおうか。
まずは、君の属性を調べようか。ふむふむ、どうやら君の属性は【屍】みたいだね。なかなか特殊な属性だけど、人類の敵としてはふさわしいかもね。」
そもそも、属性って何なんですかね?
「説明は私がいちいち教えてたら長くなっちゃうからね、向こうに行ったら必要な情報は自動でダウンロードされるから、気にしないで。それじゃ、そろそろ向こうに送り出すよ。」
神様がそう言うと、僕の前に大きな門が現れる。
「その門をくぐれば、君はダンジョンマスターだ。今ならまだ引き返して元の輪廻に返すことも出来る。君は、それでも行くかい?」
その声に、今までのふざけた雰囲気は無く、真剣な物だった。でも、僕は異世界に行くことを選ぶ。
「行ってくれるんだね。それじゃあ、向こうで頑張ってね!」
声色が戻ったそんな声を聴き、僕は門をくぐると、酷い頭痛に襲われて気絶する。
こうして、僕のダンジョン運営は始まった。