第六話
関西将棋会館、JR大阪駅から、1駅にある福島駅の近くのカラオケ部屋。
昼間から、流石にカラオケを利用する客もいない中、
「ピシっ。」「ピシっ。」
将棋の駒を打つ音が聞こえてくる。
カラオケ店の店員も、不思議そうにその部屋を見つめているが、興味もないらいしい。
他の部屋の掃除や、飲み物準備をしている。
そんな中、俺と、女流王将のタイトルホルダー 細井蘭は、持ち時間10分という早指し将棋をしている。
カラオケ店に入店してから、もう、3局は、指しているから、既に、2時間ぐらいといったところか。
他の人から見れば、よくそんにも飽きずに、将棋ばかりできるなあと言われる。
でも、1日中、将棋をしていなければならないプロ棋士にとって、2時間ぐらい当たり前。
朝起きて、夕方まで、トイレも行かず将棋を考える人も普通にいるぐらい。
まさに、プロ棋士とは、体力と気力を必要とする。
「竜一に欠けているものねえ。そんなことを三条さんが言っていたですか。」
「そうなんですよ。なんだと思います?」
俺たちは、雑談をしながら、将棋を指す。
「そうね。いくつもありすぎてわからないけどね。」
細井さんは、ニヤリと笑うと、1五香と打ち込む。
俺の飛車を動きを封じようとする手だ。
流石に、女流といえど、タイトルホルダーといったところか。
「例えば、彼女がいないとか、人の思いに鈍感とか・・・・」
「あの俺は、本気で悩んでいるんですけど。」
俺は、少々、がっかりした感じで答える。
この人なら、姉弟子の気持ちがわかると思っただけどなあ。




