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やりなおし  作者: 牛蒡野時雨煮、
1/1

いち はーと




 目の前に広がる物。

 それはグラスだったもの、皿の破片、零れたワイン、冷めきった料理。

 僕は絶望していた。

 理由は簡単だ、彼女と別れたからだ。

 彼女といってもそんじょそこらの出来立てカップルや、季節のイベントのノリで付き合い始めたカップルとは違う。

 僕達は互いを愛し、認め、長い年月と困難を共に乗り越えた、想い人同士。

 そして今夜僕は彼女にプロポーズをする予定だったんだ。

 それなのにどうして、どうしてこんな事になったんだ……。

「…………はぁ」

 どうしてこんな事に、じゃあない。そんなの分かっている事じゃないか。

 僕がいけないんだ。

 僕が今まで知らない間に彼女を傷つけていたんだ、きっと。でもいつからだ? いつからなんだ、一体、分からない。もしかして最初から? 付き合い始めた頃からなのか? ああ、分からない。でもわかる。

 こんなの認めたくない、嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!

「っぐぅ、うっ。ぅあ……ああぁ」

 気が付くと僕の視界はグチャグチャに歪み、耳には彼女が好きだった音楽に混ざった嗚咽が。

 嫌だ、彼女が傍に居ないだなんて、嫌だ。

「うぁっ、え……どうかぁ、どうか神様。僕にやりなおすチャンスをぉ下ざい……」

 弱り切っていた僕の口から零れたのは、どうしようもないくらいに情けない神頼み。

 当然誰も答えてはくれない。

「お困りデース?」

「っ!?」

 僕は突然聞こえてきた声に思わず顔を上げる。

 な、何!? てか誰!?

「どうもどうモ、ワタクシ貴方の切な~い声にふらっと立ち寄ったモノデース」

「あ、うわあああああああ!?」

 視界に入ったモノに驚き、声を上げながら思い切り後ろへ。その時壁に頭をぶつけたがそれどころじゃない。

 だって目の前にどう考えても有り得ない様な生き物がいるんだから。

「お~ほ~? どうかしましターカ?」

 大きさは大体二リットルのペットボトルくらいで寝巻みたいな格好、それにヘリウムガスを吸った様な頭に響く声。顔は点の目に弧を描く様な線の口、頭には……なんだあれ、マンボウ?

「んふーふ! もしかして、このマンボウ気になりまスー?」

 やっぱりマンボウなのか! しかもマンボウについて語りだしたぞ!? そんな事どうでも良いんだよ!

 ああそうだ、そんな事はどうでもいいんだ!

「お、おまっお前何なんだよ! 何でいきなり僕の部屋に、誰なんだよヘリウム野郎!」

 僕は僕の方を見ず空を見つめた-様に見える-まま、ぺらぺらと聞いてもいない事を勝手に話すヘリウム野郎に怒鳴りつける。勿論その手にはスマホもあり、いつでも通報可能な体勢だ。

「あ~は~? ナニゆえポリスメェ~ンを呼ぶ体勢になられておられてらりるれろ?」

「ならっ、はぁ!?」

 何言ってんだこいつ? てか、何で通報しようとしてる事が分かったんだ?

「だってダッテだって、あなたテレホォ~ン握ってる。ワタクシ悲しいかな怪しい思われている、ついでに言うとドークシンジュ~ッツ使える」

 怪しいって自覚あったのか……。というか、読心術!?

「ワタクーシは、あなたーのお願い叶えに来たのにこの扱い。泣いても良いでスーカ?」

「僕の、願い?」

「オゥイェッ!」

 僕の答えにイエスと返事した事を身体全体で表現したいのか、宙返りを一回した後にその場でステップを踏んで両手を上げる。

 うぜぇ。

 だけど、このヘリウム野郎。さっき僕の願いをかなえるって……。

「アナタさっき『やりなおすチャンスを』って泣いてまシータ。ワタクシはゴッドではノットでースが、お願いのやりなおし叶エーテ見せまショウ」

 何言ってんだこのヘリウム野郎は。

「……お前、からかってんの?」

 いいや、違う。

「アーハン?」

「からかってんだろ?」

 そうだ、そうに決まっている。

「どうやってここに入ったかは知らないけどさぁ! さっさと出てってくれないか!? 僕は今お前みたいなヘンテコ野郎構ってるほど余裕ねーんだよ!」

「うっせ、いいから少し落ち着けカス」

「!?」

 今の声、何処から……? 目の前から? いや、でもっ明らかに声質が違う。さっきまでのヘリウムガスじゃなくって、低くガラの悪そうな感じの声だ。

「ま、まさかお前もう一人仲間がいるのか? 強盗なのか!? なぁっ!!」

「黙れつってんだろカス」

「ひっ」

 だんっ、と目の前のヘリウム野郎が床を踏みつける。僕はその音と豹変ぶりに驚き、思わずスマホを落としてしまった。

「オッホ~、お話進めても良いでスー?」

 それなのに目の前に居るこのヘリウム野郎は気にせず話を進めたがる。

 何なんだよこいつは……。

「そうでシータ、まだワタクシの自己紹介まだでしたァ~ネ。ワタクシは妖精のクサムスビでーす。クサムスビちゃん、クサムスビさん、クサムスビくんお好きにおよびくっだサァ~イ」

「よ、妖精。クサ……ムスビ?」

「オォォォウッイェッ!」

 なんだ僕は、あまりのショックに幻覚でも見える様になったのか? あ、でもさっきこいつ床思いっきり踏んで、音たててた、僕はそれに驚いたし。

「ほら、ワタクシ妖精デース。草と草を結ぶのが好きだから、クサムスビ。いいネームでしょ?」

 そんな事知るか! と言いたいが、また怒鳴られるのは嫌だな。どうしよう……。

 あ、そうだ!

「お、お前が本当に妖精だって言うなら、それなら何か証拠を見せろよ!」

「ヘイッ」

 目の前に居たヘリウム野郎が返事と同時に手を叩く。すると次の瞬間、散らかった部屋があっという間に綺麗になった。

 ……はぁ!?

「ンフーヌ、御覧のトーリ。チキンじゃないよ? とおーり、割れた破片は綺麗に元のカタチに。ご飯もほっかほか美味しソウ! ワインはなんとぉう、驚きの未開封、フゥゥゥゥゥ!!」

 驚き過ぎて声も出ない僕を置いて、目の前の自称妖精ヘリウム野郎は一人ソーラン節を始めた。

 いや、え。何が起きて、え!?

「そろそーろ本題入ってもヨロシ? ちゃんと証拠も見せた、自己紹介もシータ、目的もゲロった。後は貴方が目の前の現実を受け入れるダーケ、ね?」

 妖精ヘリウム野郎の言う通りだ。

 僕が奴に証拠を見せろと言ったら、僕がめちゃくちゃにしたこの部屋を最初からなにもなかったかのように元通りにしている。それなのに僕はいくら信じ難いとは言え、目の前の出来事を自分の常識を越えたから否定しようとしている。

 試しに頬をつねっても、手の甲の薄皮をつねっても痛みがある。これが、現実……。

「落ち着きました?」

「あ、ああ」

 僕は認めざるを得ない状況で、力なく首を縦に振った。

「ンッフッフ、ヨロシ」

「そうだ、そうだ!」

「ン~?」

「現実として認めた、認めたんならさ! さっき言ってたろ、お前!」

「お前チガウ、マイネームイズ ク サ ム ス ビ !」

 『お前』と呼ばれたのが余程嫌だったのか、ヘリウム野郎はその場でじたばたと駄々をこねる子供の様な動きをしだした。

 うぜぇ。

「ああ、悪いクサムスビ。クサムスビさ、さっき僕の願いを叶える為にって言ったよな」

「オォォウイェッ!」

 肯定の仕方が腹立つが、いちいち気にしない方向で行こう。

「モロチーン条件ありますケドネ」

「じょ、条件?」

「モカシテシ、タダで叶えて貰うつもりでしたか?」

 もかし……? こいつ所々日本語変だな。いやそれより条件だと?

「い、一応教えてくれ」

「おー、簡単なお話。アナタのお相手ハート、それと引き換えデース」

 そう言ったヘリウム野郎は合わせた手を身体の真ん中でハートの形にする。お相手ハート……?

「貴方ーガ満足したその時ワタクシはソレを受けとる、オケ?」

 もしかして、僕が彼女に対する『愛』って事か。『愛』が奇跡を呼んで、僕と彼女はもう一度やりなおせる……。良いじゃないか! 最高だ!

「オーウ、目が怖いデース……。しかもチャント聞いてますかー?」

 ヘリウム野郎が何か言ってるが気にしていられない。こうなったら今直ぐこいつと交渉だ! 僕は僕の『愛』の力で彼女との関係をやりなおすんだ!

「貴方、やりなおしヲしたげな目してマース。実際のトコどうなのン?」

「やらせてくれ、クサムスビ」

「オッホ」

「僕と彼女は最初からやり直すんだ、付き合い始めた頃から。それで、僕にある欠点をなくし、今日成功するはずだったプロポーズを決めるんだ……!!」

 そうだ、こんなの間違っているんだ。間違っているなら、やりなおして、正さなくっちゃだろ!

「ではではこちらの書類にサインを~」

 差し出された紙に僕は僕の名前と、親指にインクをつけ印を押す。

「オケッ、それでは簡単な説明をした後貴方は過去に飛びマース。オケです?」

「ああ」

 ここまできてノーは無いだろ、彼女と僕の愛の為にも。

「ン。ミスタ、タカサキ。貴方が過去に戻ったその瞬間からやりなおし始まってます。でも貴方が関わらない人は皆、やりなおしが起こる前と同じ事してマス。周りが変わるのも貴方次第デスネ。そして最後に、なにかご質問あったらコノすいっちをプッシュです」

 自称妖精ヘリウム野郎は僕に虹色で星型の小さなボタンを投げやってくる。

「それでは、ンん~~~~ガンバッテ」



    ◎



「ユカ! 君が嫌だという所は全部改善してみせる!! だから、だから僕と結婚してくだ

さい!」

「きもい」


 これが僕がやりなおしてすぐの出来事だ。

 僕は今自室のベットで布団に丸くなって、大泣きしている。

「なんで、なんで駄目だったんだ。ううっユカぁ……」

 未来の僕たちはあんなにも愛し合って、寄り添っていたと言うのに……。

「ぐずっ、うぅ……」

 そう、僕は本当に過去に帰って来たんだ。

 そして、また失敗した。

「きもいって、きもいってないだろぉ……!!」

 目を閉じるとあの時のユカの冷めきった眼差し、周囲のドン引いた空気が鮮明に甦る。

「ソリャマ貴方とお相手サン、今日が初めましてになるのにイキナシ求婚されたら誰でも気味悪がりマースヨ?」

「……幻聴?」

「ノンッ」

「うわああああああ!?」

 いきなり布団を剥ぎ取られ、布団をしっかり握っていた僕は勢い良く床に転げ落ちる。

「なにすんだよ!」

「モーニンッコール?」

「今昼だよ!」

「あれま」

 くそっ、人が落ち込んでいる時に何しに出てきやがったんだこいつは! 僕は今これ以上ない程悲しくて、辛くって、苦しいと言うのに。だと言うのにこいつのふざけた顔ときたら、本当に腹が立ってきて仕方がない。

「アー、ヤマタノオロチアタリだめね」

「やまっなんだそれ?」

「間違えました、ヤツアタリ」

 どうやったら間違えるんだっていうか、どうしてそうなったんだ!?

「ワタクシ貴方がボタン押したから来たのに、ナニユエそんな怒っていますか?」

「ボタン?」

「ホレ」

 自称妖精ヘリウム野郎は僕のベットを指差す。その先には確かに確かにスイッチのボタンが押され、凸部分がなくなりただの星型になった元スイッチが落ちていた。

「もしかしたら布団の中に居る時に間違っておしちゃったのかも」

「ナルヘソ」

 僕は打ちつけた肘をさすりつつ星を拾う。どうやらスイッチは一度限りらしく、もう二度と押せない形になってしまった。まあ、僕が壊したという可能性もあるんだけどね。

「ほらよ」

 どっちにしろ僕には関係ない物だ、持っていても仕方がない。

 僕は渡された時のみたいに元スイッチをヘリウム野郎に投げる。それをヘリウム野郎は袖の長い寝巻のから手を出す事なく受け取った。

「なんダーカしょんぼりですね?」

 そう言ってヘリウム野郎は首を直角に傾ける。どうなっているのかさっぱり分からないけど、こいつが変なのは今に始まった事ではないので気にしなくても良いや。

「お前に分かるか? 愛した人に拒絶された悲しみが、二度目の絶望が」

「アイタタタタ」

「ふんっ、わかんねぇよな」

 どうせこんなヘンテコヘリウム野郎には解りっこない。僕の愛を、想いを理解できるのはユカだけだったんだ。なのにそのユカに拒絶された。僕はもう、もう……。

「吐血でサービスだーね」

「は?」

 ベットに腰をかけ、うなだれていた顔が思わず上がる。

「だから、吐血でサービス!」

 吐血……出血サービスって事か?

「貴方の今の状態、見るに堪えないデース。だから貴方ーガ望めばふしょーワタクシ、クサムスビくんが貴方ーガやりなおし必要ポイントまで戻してあげまーす」

「なんだって!?」

 僕が望めばもう一度やり直せるんだな!

「やる、望む望む!」

 まさか僕の愛の力でもう一度やり直せるだなんて! しかも今度は間違いを正す必要のあるポイントからだと!? もしかしてこいつ、本当に妖精なのか!? 愛の力はここまで偉大だったのか!

「因みーニどれっくらいで望みマース? 多ければ多い程必要ポイントに近付けマース」

「全部だ!」

「オホ」

 僕の彼女に対する愛は無尽蔵だ。たかがやり直しくらいで消えるわけがない、だから今ある全部を出して、本来たどり着く筈だった幸福な未来を掴むんだ!!

「オウケッ、目を閉じなサーイ」

「ああ!」

 僕はクサムスビに言われるがまま目を閉じる。するとふわりと何だか良い香りが漂ってきた。

「もう良いですゾイ」

 一分もかからないで飛ばされたのは……僕の、部屋?

「ここは……」

 目の前に広がる物。

 それはグラスだったもの、皿の破片、零れたワイン、冷めきった料理。

 見覚えがあるどころではない。ここは僕の最初の絶望の場所。

 ユカとけんか別れした僕の部屋だ。

「貴方カンチガイしてました。貴方は何も最初からやりなおしする必要ナカタネ」

「え……」

「オユキナサイ、ミスタタカサキ。貴方ーノマンションエントランス、そこで貴方のお相手さんが今から外に出ようとしてまーす」

「!!」

 僕は飛び出した。裸足だとか、上着も羽織らずにだとか、髪型だとか全部全部気にしないでただユカを求めて走った。

「イッテラッサァーイ」



    ◎



 あれから二ヶ月後、今日は僕とユカの結婚式だ。

 僕が不思議な体験をしたあの日の夜、僕たちは本当の愛を掴み、二人で頑張って資金を貯め、いまこの青空の下永遠の愛と幸福の誓いを済ませたばっかりだ。

 僕は今二次会のまでの少しの間、外で息抜きをしようと一人テラスに来ていた。

「……幸せだ」

「ソレハよかった」

 唐突に僕の上からそれにヘリウムガスを吸った様な声が頭に響く。だけどもう驚きはしない。

「やあクサムスビ! 来てくれていたのか!」

 彼は僕の恩人、妖精クサムスビ。彼がいてくれたから僕はこの幸せを掴む事が出来たと言っても過言ではない。

「トテモ美しい披露宴でしターネ」

「ありがとう、クサムスビ」

 なんだそこから見ていたのか、見ていたのなら声をかけてくれたらよかったのに。

「それでミスタタカサキ、今日は徴収しにきたデスヨ」

「徴収?」

「イエース」

 ああ、そう言えばそんな事も言ってたな。

「貴方満足そうです、もう徴収してヨイカと思って声かけたーネ」

「満足そうじゃないよ、満足そのものさ! 存分に徴収してってくれよ!」

 僕とユカの愛の力を、そしてその愛と幸福を僕らのキューピッドに分けるくらいなんて事は無い!

「そうか、なら遠慮なくモライマス。……元より遠慮なんてする気ねーけどな」

「は?」

 いきなりクサムスビの声があの時の声に変わる。

「きゃああああああああああ!!」

「なんだ!?」

 いきなり後ろから女性の悲鳴が聞こえ、それに続く様に次々と悲鳴が上がった。

「死んだんだよ、お前の嫁さんが」

「……何?」

「言ったろ、徴収するって」

「だからって何でユカが――!」

「最初に言ったじゃねーか、俺様はよぉ。お前の彼女の心臓と引き換えにやり直させてやるって」

 何を言っているんだこいつは。

「そしたらお前いきなり気っ持ち悪ぃ顔してよぉ、それはもう殺されんじゃねえかってくらい飛びついて来たじゃねぇか」

「何を、言っているんだ……」

「ん~?」

 だって、お前は。

「ぼ、僕の彼女に対する愛と引き換えに、って」

「愛ぃぃぃぃ!? なだそれ、初耳だぞ?」

 その一言で僕の中で何かが切れた。

「ふざけるな!!」

 僕は気が付いたらクサムスビに掴みかかり、壁に押し付ける様な形になっていた。

「なんで、なにが、なんで!!」

「ふざけてんのはお前だろ、カァース」

「何を!!」

「俺ぁちゃんと言ったし、ちゃぁ~んと手で心臓示したじゃねぇかよ」

「!?」

 あの時、確かに手でハートマークを作って喋っていた……。

 だけど、それなら!

「何で説明してくれなかったんだ! 説明を受けていたら僕はこんな、こんな話!!」

「説明ばっか求めてんじゃねーよこのッヴァァッカ!!」

「!?」

 僕はお腹に衝撃を感じ、その場にしゃがみ込んでしまう。なんだ、この痛み……。アイツに、蹴られたのかな?

「逆に聞くが何でテメーは質問しなかった? それはお前が思いこみにとらわれていたからだろーが。なんでわざわざ断られる為に聞かれてもいねー説明しなくちゃいけねーんだよこのバーカ」

「なに、を」

「まあいいじゃねーか、どっちにしろお前ももう死ぬし」

「!?」

「俺はちゃんと言ったぞ?『吐血でサービス』って、どれくらいだすかってなぁ。まあそれも勝手に勘違いして進めてったお前のミスだな」

 あれは、出血サービスの言い間違いじゃなかったのか?

「もう声も出ねーのか?」

 僕は、僕が、僕は……。

「まあ大体考えている事は分かるぜぇ」


 どうしてこうなってしまったんだ。


 僕はそう頭に浮かんだ瞬間視界が真っ赤に染まり、身体の中からすべての何かが口から

出ていく様な感覚に襲われ、その感覚も直ぐに……。

「――! ――!!」

 何か、聞こえる。多分僕を見つけた人達が駆けつけてきたんだろう。

 でも、もう……。


「人生がタダでやり直せるとでも思ったか?」


 聞こえなくなった筈なのにクサムスビの声が、最後の一言が聞こえ、そのまま僕は……。



 読んでくださってありがとうございました。

 どうも、最近鼻血が出やすくなった人、牛蒡野。です。


 息抜きにポトポトしてたものが出来上がったので投げ込んでみました。本命は……もうちょっとで、もうちょっとで出来上がるんですが……そのモウチョットを詰めるのがきついです。


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