家族 残されたポン太
ポンニャンが家族になり、二ヶ月過ぎた。
母さんと父さんが、二人で会話をしている。
父さんは近くにあった写真たてを見ていたが……
何気ない会話に、二人の思いが交錯し……初めてポンニャンが……
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父さん「なあ、俺達、結婚して何年だ?」
母さん「あと少しで、七年目……うん」
父さん「……」
スマホ『七年目か……』
クマ 『そうだな……って、スマホお前俺やエアコン先生よりも、後に家族になったろうが!』
スマホ『うるさいわい!』
エアコン『ケンカは駄目!』
クマ 『スマホ、生意気なんです』
スマホ『生意気とはなんじゃ!』
スマホとクマがケンカしている。
いつものことだよ。
母さん「恥ずかしい、まだあるのその写真」
父さん「ああ」
母さん「お互いに、若かった」
父さん「ああ」
母さん「そうだ、父さん!」
父さん「ん?」
母さん「父さん、午後に買物つきあって」
父さん「……わかった」
母さん「……どうしたの?」
父さん「ん?」
母さん「何か、隠してない」
母さんと、父さんは……
雰囲気がへん。
母さんはいい人間。
だけど父さんは……難しい感じの人間。
この家の家族になった。
いい所。
いろんな品がいる。
母さんが、いる。
だけど……
父さんは……
父さん「俺達、子供はあきらめよう」
母さん「……」
父さん「この前も、ダメだった」
母さん「……」
父さん「俺も歳をとった」
母さん「……いや」
父さん「だけど」
母さん「父さんのバカ!」
二人がへん。
ううん、元々二人はへんだった。
だけど、それがぶつかった。
……
エアコン『育むが、出来ない二人が』
クマ 『とうとう……か』
スマホ『いずれ……が、今になったか』
父さん「俺達……がんばった。だけど!」
母さん「私が嫌いになったんなら、別れてよ!」
大きな声で母さんが叫ぶ。
母さん、外に出る。
父さん「あのバカが……」
父さんが怒って……僕達を見た。
父さん……あれ?
あっ、ニャン太が父さんに、つかまれる。
きゃー、ポン太ー!
ニャン太ー!!!
エアコン『あ!』
クマ 『ニャン太が!』
スマホ『玄関から捨てられおった!』
ニャン太ー!
父さん「バカ、どうにでもなれ!」
あっ、ドアをとじた。
スマホ『一大事じゃ!』
クマ 『どうするんだ』
どうしよー!
エアコン『とにかく、落ち着こう。大丈夫!』
クマ 『だって』
スマホ『落ち着けるか!』
エアコン『みんな聞いて!今日は、お日様が顔を出しる。必ず見てる!お日様にお願いしよう』
クマ 『お日様……』
スマホ『そうか、お日様にお願いするしかない!お願いしますお日様ぁ』
お日様、お願いします。だけど、なんで母さんと父さんが、ああなったの?
クマ 『母さんと父さんの悩み事か……。俺、一番二人を見ている。ポン太には俺の目から見た母さんと父さんを教えてあげるよ』
うん、クマ教えて。
クマ 『わかった、いいか!』
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第九話 母さんと父さん
まず、俺の事で悪いけど……
俺は結婚式の思い出の品らしい。
「結婚式?」
「お主、そんなことも……」
スマホしゃべるな!
今は、ポン太と俺の会話!
「……」
結婚式は母さんと父さんが、たくさんの人間の前で一つ屋根の下でいることを許してくれた証に開かれるパーティーだよ。
「パーティー?」
ああ、本当はもっと深い意味があるらしいが、難しいことはわからない。
しかし、俺はそう感じた。
そして、許しをもらった二人が選んだ場所がここだ。
アパートって言う所さ。
「母さん、父さんのいる所だね」
ああ。
母さんも父さんも、今よりスゴく新鮮で、そして夢を持っていた。
「夢?」
そう、夢だ。
母さんと父さんは、夢を持っていた。
……だけど
夢はうまくいかない
母さんと父さんは、お互いを思って生きてきた。
そして、生きている。
だけど、思うだけでは、「夢」はうまくいかないんだ。
「どうすれば、うまくいくの?」
お互いを思い。
お互い理解する。
しかし、理解するほど……
夢と現実に悩まされる
母さんの夢、父さんの夢、二人の夢はいっしょだ。
子供が欲しい
これが夢だ。
実はこれは、難しい夢じゃあない。
この夢を叶える母さん達、父さん達はたくさんいる。
しかし、俺達の母さんと父さんは……
これが出来ないんだ。
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クマ 『どちらが悪いかは知らない』
エアコン『クマ、どちらが悪いかは違う』
スマホ『そうじゃ!お前、どちらを悪者にするんじゃ』
クマ 『スマホ、お前は父さんといる時間が多い。だから、わからないかも知れないが、母さんはかなり悩んでいる!』
スマホ『なんじゃと!貴様、父さんがどれくらい悩んどるか知らんバカタレに言われとうないわ!』
クマ 『なんだコイツ!』
止めようよ。どうにもならないよ。
エアコン『ポン太の言うとおり、止めよう。ここで言い合っても始まらない』
クマ 『……』
スマホ『……悪かったわい』
父さん「アホたれ……」
父さん、よこになった。
父さん「俺だって、俺だって……」
俺だって、なに?
父さん「俺だって、俺だ……くぅー」
ん?……くぅ?
スマホ『どうやら、眠ったようじゃ』
クマ 『ふて寝か!母さんを置いて!』
エアコン『いや、少し都合がいい』
クマ 『へ?』
エアコン『ポン太、お前の「いたずら」の力をかしてくれないか?ニャン太が、いないからクマ、スマホ、お前達の「いたずら」も借りる』
どうするの?
エアコン『私が、父さんの夢に入る。そして、母さんとの思いを確かめてくる』
クマ 『エアコン先生の「いたずら」で、二人を確かめるか!」
スマホ『さすが、先生じゃ』
そのあとは?
エアコン『あの写真たてを、父さんの目に付く場所に置き直しだ、起きたときに真っ先に目に付くようにな!』
クマ 『わかった』
スマホ『了解じゃ!』
うん!
エアコン『夢の中へ行ってくる!』
えっ、夢?
スマホ『人間は、眠ると夢を見るんじゃ』
クマ 『立って動く時の、人間の夢とは違う意味の夢さ』
その夢と、夢?
エアコン『とにかく、行ってくる。後は頼んだ!』
…………
…………
…………
…………
…………
父さん「うーん」
スマホ『起きそうじゃ』
クマ 『よし!』
体をお越しそうだよ。机の上に写真たてを置こう!
スマホ『わかった』
クマ 『よし!』
……
……
《えーい……じゃ!》
父さん「うーん、おなしな夢を見た……ん?あれ、こんな所に写真たて?あれ……」
うまくいった!
クマ 『よし!』
スマホ『ナイスじゃ!』
エアコン『よし!』
エアコン先生、大丈夫?
エアコン『少し、無理したかな?だけど、大丈夫だ。心配ありがとう』
父さん「……あのバカタレ!」
あっ、父さんが、玄関を出た。
エアコン『母さんとこに行ったんだ』
クマ 『そうか』
スマホ『かんばれ!父さん!』
ねぇ、あの写真たて、何なの?
エアコン『ああ、あの写真たてかい?』
クマ 『パーティーの写真さ』
スマホ『二人が一番、輝いていた時の思い出じゃ』
つづく