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小さな町の雑貨屋さん ノン、あき、さよなら

 ポンニャンが雑貨屋さんにお世話になって、二回目の夏を迎えた。

 今年の夏も、暑い。

 ノンとあきは、いつもの仕事をしている。

 そんないつもとかわらない日に、一組の夫婦が店に来た。

───────────────────────

 ノン 「いらっしゃい」

 あき 「いらっしゃいませ」

??? 「うわあー、かわいいお店」

??? 「いい歳こいて、まったく!」

 

 今日も、お客がくる

 今日もくる。


??? 「見て回っていいですか?」

 ノン 「どうぞ」

??? 「……ったく」


 人間ひとが見渡してる。

 女だ。

 ボクたちがいる場所は、女が多い。

 男は少ない。

 あっ、男か黒い板?をさわっている。

 変なの。


??? 『変なとはなんだ!』


 へ?

 命あるくちだ!


??? 『儂は、スマートフォンだ。人間ひとからはスマホと呼ばれている』


 スマホ?

 スマホ?


 スマホ 『そっ、スマホ!カッコエエじゃろ』


 じゃろ?

 へんなの。


 スマホ 『お主達、失礼な!』


 怒った?

 怒った?


 スマホ 『子供相手はせん!』


 ???「父さん、見て見てこのスリッパ!」

 ???「何だ?お前!」

 ???「私、お前、じゃあありません!」

 ???「……母さん、何がだ」


 ん?また、僕たちのことを見てる。 

 また、笑われるのかな。

 

 母さん「可愛い、この子達」

 父さん「こりゃ、ヘンテコだ!」

 母さん「この子達に失礼よ」


 ……何だろう。

 今までと様子が違うよ。

 

 あき 「ポン太と、ニャン太と言います」

 ノン 「ポンニャンって、私達はよんでました」

 母さん「良い名前!この子達、つれて帰る!いいでしょ」

 父さん「は?」


 つれて……

 帰る?


 スマホ『つまり、母さんと父さんのいる場所に、お主達が来ることじゃ』

 

 僕たち、ここから……

 違う場所に連れてかれるの。


 スマホ『そうみたいじゃな』


 ……

 ……


 母さん「ねっ、ねっ!」

 父さん「仕方ないなぁ……これ、もらう」


 スマホ『これで、儂らは家族じゃ!』


 家族? 

 家族って?


 スマホ『そんなことも知らんのか?仕方ないのう』

 

 教えてよ。

 教えてよ。


 スマホ『お主達、こう言った場合、教えて下さいじゃ』


 教えて下さい?

 そう言うの?


 スマホ『そう言うの?じゃあなく……まあ、いいわい!』


───────────────────────

 第七話

 家族


 人間ひとは一人では生きていけん。

 だから、人間ひとは寄り添う。

 しかし、寄り添うにしても、男同士、女同士はないんじゃ。

 

 「男同士、女同士は……」

 「新しい命を宿せないからでしょ」


 その通りじゃ。

 宿せないから、宿せるモノ同士を探すんじゃ。

 そして、見つける。 

 これを


 伴侶を得る


 そう言うんじゃ。


 「はんりょ?」

 「難しいよ」


 確かにじゃ、もっと簡単に言えば……


 家族になるんじゃ


──────────────────────

 スマホ『まあ、そう言うんじゃ』


 うーん。

 なんかへん。


 スマホ『なんじゃと!』


 僕たち、まず人間ひとじゃない。

 それに、それなら家族は、男と女しかなれない。


 スマホ『それがなんじゃ』

 

 ???『確かに、変です』


 スマホ『誰じゃ!儂の意見に逆らうモンは!』


 お日様『お久しぶり、ポンニャン、そしてスマホ』

 

 あっ、お日様。

 今日は大丈夫なの?

 

 お日様『天気が良いし、今、窓から私が見えるわね。だから、会話出来るわ』

  

 スマホ『こっ、これは!お日様ではありませんか!』


 どうしたのスマホ?

 お日様に、おどろいてる。


 スマホ『お主達、失礼じゃぞ!、お日様は偉い方じゃ!儂達のような貧相なくちと話せる御方ではない!』


 そう、いいくちだよ

 うん、いいくち

 

 スマホ『愚か者!お日様は、くちではない。神様じゃ』


 神様?

 えらいの?


 スマホ『偉いなんなんてもん……』


 お日様『スマホ、そこまでです。私の事はもういいです。

 ポンニャン、あなた達はいつもの「ポンニャン」でいて下さい……さて、家族ですか、良かったら私の感じた家族と言うのをお教えしましょうか?』


 うん、お教えて。

 教えて。


 スマホ『はい、勉強させてもらいます』

───────────────────────

 第七話 

 家族 

 お日様の感じた家族とは


 まず、スマホの言った家族は、間違ってはいません。

 家族は、男と女が寄り添い、命を宿して行くための大切なことです。

 伴侶は必要です。

 

 「あっ、ありがとうございます」


 スマホ……そして、ポンニャンもです。

 スマホ、お店から父さんに引き取られた時、ポンニャンは今から引き取られますが……


 ここから、離れることをどう思う、どう思った。


 「儂……いえ、私は暗い箱の中にジーッとしていただけで、早く出して欲しいと願いました。

 そして、いざ箱から出され、連れてかれるのがわかると嬉しかった……しかし、それくらい寂しかったのを覚えています」


 「僕たち、なんだか、へんだよ」

 「うん、ノン、あきに、サヨナラするんでしょ」


 なんだか、悲しさがありますね。

 どうしてだと思う?


 「うーん、それは、えー……」


 「家族、だったから?」

 「うん、ボクもそう思う」


 そうです。

 家族は別に、男と女だけではありません。

 あなた方も、知らず知らずに家族になってたんです。

 そして、別れを知り悲しくなる。

 なぜか?


 じょう


 これがあったの。

 家族は、このじょうで成り立つの。

 それは、男と女、そんな関係なしで!

 私が思う家族はね、じょうがあり互いに思う相手がいれば、それでいいと思うの……

 スマホ、あなたを思う人間ひとがいた。

 例え箱の中で、ずっと待っていたとしても。

 ポンニャン、君達はノンとあきに、良くしてもらった。

 人間ひとくちも……


 家族になれる。


 私はそう思います。

───────────────────────

 ノン 「ありがとうございます」

 母さん「父さん、ありがとう」

 父さん「やれやれ」

 あき 「さよなら、ポンニャン」

 母さん「マタニティ……ですか」

 あき 「ありがとうございます。まだ少し早いんですが待ちきれず……」

 母さん「……そうですか」

 父さん「帰るぞ!」


 ……なんだろう?

 ……へん!


 スマホ『どうした』


 今のおしゃべり……

 へんだった。


 スマホ『は?』


 お日様『……ポンニャン、これからはあなた達は、あなた達の考えにおいて「いたずら」をしないといけなくなるでしょう。 

 それもたくさん使うでしょうから、傷みもふえるかも知れません。

 しかし、がんばりなさい。強くなって』


 ……

 なんだか、お日様は知っている。

 うん

 ボクたちの、家族のことを……


 スマホ『深く考えるな!まあ、これからは家族じゃ、よろしくじゃ』


 うん、よろしくお願いします。

 うん、よろしくお願いします。


 スマホ『だから、そこは……まあいいわい。ゆっくりと教えていっちゃる!』


 

 

 

 


 


 

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