小さな町の雑貨屋さん その四
冬、クリスマスイブ、夕方の雑貨屋さん。
慌ただしい昼は終わり、二人が一息ついている。
品がたくさん、人間に連れられ帰っていくのを、ポンニャンは見ていた。
ポンニャンも何回か、連れてもらえそうになるが、結局またお世話になる。
カレンダーの傷みが激しかった。
そして、カレンダーは……真実を話す。
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バイト 「店長……ノンさんでいいですよね?」
店長 「うん、あき!」
ノン、あき……
これが二人の名前。
ノン 「いっぱい、売れた」
あき 「はい、来年の仕入れをしないと」
ノン 「正月過ぎな」
あき 「新しい、カレンダーが来ました」
ノン 「このカレンダー、傷みかひどいな」
あき 「捨てますね」
あっ、あきがカレンダーを!
やめてー!
カレンダー『……いいのよ』
どうして?
どうして?
あき 「ゴミ箱、ポイッと」
ノン 「サヨナラ」
カレンダー『ポンニャン、これが最後のお話……いい?』
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第五話
嘘……死、未来
ポンニャン、私は君達に嘘をつきました。
「うそ?」
「うそって?」
嘘とは、間違いを教えること。
本当を隠して、間違いを教えること。
「うそ、ついたの?」
「どんな、うそ」
品には、永遠の命がある……実はこれは私にとって違うものなの。
私はある時間が過ぎたら……
価値がなくなるの
価値がなくなる品はね。
死が待ってるの
「死?」
「死?」
死とは、生きるの反対で人間も品も必ず来るもの。
時間の流れから、外に出されること。
「何故、うそをついたの?」
「死って……」
ポンニャンを悲しくさせたくなかった。
ポンニャンが好きだった。
だから、私の時間を教えれなかった。
死を迎えた私は、後すこしで君達と会話出来なくなる。
ごめんなさい。
「カレンダー……」
「ボクたち、どうすればいいの?」
ポンニャンは、強いよ。
だから、大丈夫!
永遠の命を、幸せに生きる。
生き続ける。
最後に、人間も死ぬ。
しかし、人間は、生まれ、育ち、寄り合い、育み、託す……これを繰り返していくの。
繰り返していくことで……
未来を見るの!
そして、人間は、託して生きる。
これは、品には出来ない……
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カレンダー『私のお話はここまでです。ポンニャン、ごめんなさい!嘘をついて……』
またあえる?
あえるよね?
カレンダー『……』
カレンダー!
カレンダー!
カレンダー『……はい、また……ね』
待ってるよ。
うん、待ってる。
ノンとあきが、カレンダーを捨てた。
ゴミ箱に、入った時に、カレンダーのぬくもりが感じなくなった。
ひとつ、わかった。
うん、わかった。
カレンダーが、いなくなった!
でも、また逢える。
うん、カレンダーは言っていた。
うそを、ごめんなさい、したから……
もう、うそはつかない。
だから、待とう。
うん、待とう。
あき 「あっ、雪!」
ノン 「本当だ」
あき 「ホワイトクリスマスです!」
ノン 「うん……」
つづく