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家に帰っ来たバス

 母さんにつれられ、バスは帰って来た。

 久しぶりの家は、嬉しいのだが……

 そんなバスに、クマが聞いた。

───────────────────────

 バス、おかえり

 おかえりなさい



 ハート『あらあら、変なのが来たわ』

 バス 『いきなり、変とは失礼でありますぞ』

 ハート『アハハ』

 バス 『アナタは誰でありますか?』

 ハート『エンジェルハート! ハートでお願いね』

 クマ 『新しいくちだ』

 カッパ『まあ、増えたな』


 うん、いっぱいいる

 くちがいっぱいだよ。



 バス 『……ところで、幸洋様は?』

 クマ 『母さんとお出かけだ。しばらくしたら、保育園という所に行くらしいぞ』

 バス 『保育園? 託児所ではないのですか』

 クマ 『幸洋みたいな人間ひとが来る場所だから……』

 バス 『似たようなモノでありますか』



 バス、何かお話することある?

 ポン太? どうしたの?

 バス、託児所って所で何かあったみたいだよ。

 え? ほんと、バス!



 バス 『はい、ありました』

 クマ 『幸洋とは別の人間ひとと喋ったのか?』

 バス 『何故それを!』

 クマ 『はやりな、藁麿に聞いたことがある。人間ひとは時間の流れが汚れない間は、会話が出来るってな』

 バス 『そうでありますか。では自分が感じたことを発言してよろしいでしょうか?』

 カッパ『異議なし』

 クマ 『……聞こう』

 ハート『退屈そう、いらない』



 さんせい

 さんせい



 バス 『ハート様、賛成がたくさんいます。今回は申し訳ありませんが……』 

 ハート『はいはい……知らん顔してるわよ』

 バス 『ありがとうございます』

───────────────────────

 第三十三話

 宿命


 まず、幸洋様は……


 恵まれた方であります。 

 

 

 「何が恵まれているんだ」

 

 カッパ様、自分はこう思いました。

 託児所、あそこによく来る幸洋様みたいな人間ひとは、生まれる前から決められた試練があるであります。



 「決められた試練?」


 はい、クマ様!

 全てを失いながらも、前を向いて生きていく母さんをもつ雄馬様。

 自分の存在を知るために生きる亜希子様

 父さんに守られながら、聡明に生きる健様



 みんな、時間の川に入る前から……持った方々でありました。

 


 「……聞いていいかしら?」



 なんでありますか?

 ハート様



 「男と女の意識の違いに、取り残された人間ひとがいる場所にアナタはいたのね。アハハ……」

 


 ……話を続けます。

 自分と会話した人間ひとは全て……試練を持っています。

 人間ひとはそれを……


 宿命 と呼んでいるであります。


 宿命を持って、人間ひとの時間に流されるであります。

 生まれる前からの宿命は……


 とても辛いモノであります。

 託児所の皆様は、つらい宿命と向き合い時間に身をゆだねるのです。

───────────────────────


 試練とか宿命とか、難しいよ。

 バス、どこで覚えたの?



 バス 『保育士と呼ばれる、人間ひとがよく言っておりました。始めは意味がわかりませんでありました』



 ハート『何だか、楽しそう!私も行きたかったわあ』



 バス 『ハート様、自分はアナタとは気が会いません。気分が、悪いであります』



 クマ『ケンカは止めろよ! バス、感情的になるな! ハート、挑発しない!』



 ん?誰かくるよ。

 父さんだよ。



 父さん「母さん……オヤジの……」



 少し遠いよ!

 聞き取れない。



 カッパ『だけど、なんかあったみたいだ』



 クマ 『……』



 

 

 

 



 

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