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託児所とバス その三

 バスが託児所に忘れられて、三日目になる。

 今日も託児所には、たくさん預けられていた。

 時間は午前の早い時間、一人の父さんが赤ちゃんを預けに来た。

───────────────────────

 おそらくでありますが、明日か明後日には母さんか父さんが迎えに来てくれるであります。

 正直、嬉しくあります。  

 ただ、少し悲しくもあります。

 ここに来る人間ひとは全て、いろんな宿命を背負い時間に流されている。

 そう思うと、どこかやるせなであります。

 ……そろそろ、健様が来る時間であります。



 父さん「おはようございます」

 保育士A「おはようございます」

 保育士B「お父さん、いつもの時間ですよね」

 父さん「お願いします」

 保育士B「健くんのお父さん、母さんに逃げられ……」

 保育士A「しーっ! めったな事言わない!」

 保育士B「スミマセン!」

 保育士A「……」



 健  『バス、おはよう』


 

 健様、おはようございます。

 父さん、行かれました。



 健  『うん、偉いと思う』



 健様、聞いてよろしいでしょうか?


  

 健  『おそらく、母さんのことかい』



 ……はい。



 健  『何を聞きたいの?』



 ……



 健  『バス、教えてあげるよ。僕に母さんがいない理由を』



 よろしいのですか?


 

 健  『バスとはお別れが近いからね。そろそろ迎えが来るんでしょ? 少し話たくなったよ」


───────────────────────

 第三十二話

 母さんが愛している人間ひと


 僕の父さん、母さんといっしょになったんだけど、実は母さんには好きな人がいたんだ。

 父さん以外にだよ。

 


 「本当でありますか! では何故、母さんは父さんと結婚なさったのですか?」



 母さんが好きになった人間ひとには、母さんがいたんだ。

 


 「それは! 母さんと父さんが……」



 そうだよ……

 母さんは知ってた。

 いっしょになれないってね。

 だけど……



 想いは消えなかった。



 だから、母さんはその人間ひとに会いに行った。

 そして、父さんと僕の所から居なくなった。

 母さんはその人間ひとに受け入れられたらしい。

 そしてその人間ひとは、替わりにその人間ひとの母さんと別れた。

 母さんは最初、僕を連れて行ことしたけど、父さんがさせなかった。

 母さん、お腹が少し出てたことを父さんに言われた。

 そして、こう言ったんだ。


 「腹の子供が出来たら、健はお前に愛されなくなるそのくらいなら、俺が育てる!」



 近くで僕もそのやりとりを聞いていた。

 そう、聞いていたんだ。


───────────────────────


 そうでありますか……

 


 健  『父さんには、じいちゃんとばあちゃんがいるんだ。ここに預けられるのはじいちゃんとばあちゃんの負担を減らしたいからだって。本当は違う所に預けたかったらしいけど余裕がないんだって』



 ……申し訳ありません。

 言葉が見つかりません。


 

 健  『ううん、ありがとう。少し楽になったよ。胸の内を打ち明けたことで』



 ……健様は、お優しいであります。

 


 健  『優しいか……そうありたいよ。さてと、少し寝るよ。時間はある後でいっしょに遊ばう』



 はい、健様!

 お休みなさいませ。

 


 幸洋様、ここの方々はみんなお強い方ばかりです。アナタ様も負けてはいけません。

 さて……今日もここの時間に流されるでありますか!


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