手術……決まったよ
母さん、父さんが病気に来た。
幸洋もいっしょだ。
じいちゃんの容態を見にきたのと、手術の日取りと内容の確認だ。
カッパが母さんに連れられ来た。
ヒマ潰しの相手にと、持ってきた。
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母さん「じゃあ、しばらくポンニャンは、お義父さんにお邪魔しますでいいんですか?」
じいちゃん「わりと、履きやすくてな!」
父さん「そうか、一応、カッパ持って来た……」
じいちゃん「……いらんのだが」
カッパ『ひどい!』
点滴台『まあまあ』
気にしない。
そうだよ、大丈夫!
カッパ『いていいか?』
幸洋 「はい……」
じいちゃん「おっ、幸洋が……よしよし!白い胡瓜はもらってあげる。言葉が出たか!」
母さん「はい!」
カッパ『胡瓜?』
点滴台『カッパだけにな』
カッパ『胡瓜か?』
カッパとキュウリ?
意味わからない。
点滴台『カッパの好きなモノさ……本当はどうかは知らないけど』
でも、ここにカッパはいれそうだ。
僕達も、帰れない。
帰りたいの、ニャン太!
クマが……
カッパ『心配ない、また品が増えた』
え!ほんと!
なんて品!
カッパ『お前たちがいた雑貨屋の玩具らしい』
亜紀とノンの所から?
何だろう?
母さん「お義父さん、バスの玩具、ありがとうごさいます」
父さん「幸洋、気に入ったみたいだ」
カッパ『……』
点滴台『なるほどな』
???
???
看護師「すみません、いいですか?」
父さん「……はい」
じいちゃん「行くか」
患者C「いっておいで、子供はみていますよ」
患者B「可愛いなあ」
患者D「本当、本当!」
母さん「すみません、幸洋お願いします」
《手術説明中》
カッパは留守番
僕達と……
点滴台『俺はお供だ』
医師 「ここを開いて、異物を取り除きます」
じいちゃん「そうすれば……」
医師 「正直、難しい手術です」
父さん「お願いします」
医師 「はい、それでは、おじいさんは他の検査のために、ここまでですから」
じいちゃん「まだ、あんのか!」
看護師「はい、大切な手術ですから」
じいちゃん「やれやれ」
看護師「車椅子へどうぞ!あっ、スリッパはこちらのを使って下さい」
あらら……
あらら……
じいちゃん「なかなか、履きやすいスリッパだったんじゃが……」
看護師「検査用です」
母さん「お部屋に返しておきますね」
じいちゃん「……」
点滴台『どうやら、俺はお供みたいだ』
がんばってね。
お部屋で、会おう。
医師「……さて、おじいさんがいなくなったので現状を言います」
え?現状って?
……!
《病室》
母さん「……」
父さん「……」
幸洋 「ママー!」
母さん「ただいま」
患者達「……」
カッパ『おや、ポンニャン、じいちゃんは?』
……カッパ
じいちゃん、大変なんだ。
カッパ『え!』
……
……
カッパ『どう、大変なんだ!』
……
……教えないと、ダメ?
カッパ『当たり前だ!』
ニャン太。
教えようよ、ポン太。
うん……
……いくよ!
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第二十ニ話
ポンニャンは見た
最初は、じいちゃんと、白いお服のオジサンと、母さん父さんが話をしていたんだけど……
ここまでは、どこか和やかだったんだ。
「和やか?」
うん、笑い声もあったよ。
だけど、じいちゃんが途中で居なくなってから、白いお服のオジサンの顔が変わった。
そして、一枚の写真を出したんだ。
始めにあった写真とは、少しちがう所から撮ったって言っていたけど……
変なのが……
すごく大きいんだよ!
すごく大きいな、変なのがあったんだ!
「変の?なんだそれは!」
じいちゃんがイタイイタイしているモノ
じいちゃんをいじめている何か!
「……」
これをやっつけるのは……
難しいって。
白いオジサンは言ってた。
じいちゃん、このことを……
たぶん、知らないよー!!!
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カッパ『……』
どうしたの?
カッパ?
母さん「お義父さん!」
父さん「信じよう……」
患者C「……そうですよ、信じましょう」
患者D「そうだ、決め付けはだめだ!」
患者B「ああ、大丈夫!」
母さん「はい……」
幸洋 「あっ……」
母さん「指先の方から、お義父さんの声だ」
看護師「おじいさん、帰りましたー」
じいちゃん「恥ずかしいわい、デカい声をだすな!」
父さん「はやから、帰ったか!」
じいちゃん「うるさいわい!」
点滴台『帰った』
点滴台……
じいちゃんは……
点滴台『何も言うな!わかっている。俺はたくさん見ている。知っている』
カッパ『そうか』
カッパ、そうか!って……
点滴台、見た知ってるって!
点滴台『今は時間に流されよう』
カッパ『……ポンニャン、それがいい』
時間に……
流される……




