表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/61

小さな町の雑貨屋さん その二

 雨の季節

 今年の雨の季節は、遅かった。

 いつもなら、暑くなる時期なのだが、今年はまだ雨が続く。

 スリッパ……いや、ポン太とニャン太、カレンダーは店の中で相変わらずだった。

 店長とバイトは、おしゃべり中だ。

 バイトは近くに出来た、御飯をたべるお店のチラシを見ている。


───────────────────────

 店長 「今年は空梅雨だな……と、思ったら」

バイト 「今日も雨ですね」


 そらからおちてくる。

 これは、「あめ」という。

 カレンダーに。 

 おしえてもらった。


 店長 「今年は、涼しい夏らしい」

バイト 「せっかく、水着を買ったのに」

 店長 「誰と行くんだ!」

バイト 「女友達」

 店長 「……そうだよな」

バイト 「?」


 店長、なんだか。

 おちこんでる。

 どーして?

 店長、バイトといきたいの?


カレンダー『ポンニャン、そうだよ』


 あっ、カレンダー。

 やあ、カレンダー。


カレンダー『人間ひとは、一人で生きていけない』


 だから店長おちこんでるの?

 だから?


カレンダー『ああ、二人でいたいんだよ』


 ふたり?

 ふたり?


カレンダー『二人の話をしてあげよう』


 うんして!

 おねがいします。


───────────────────────

 第三話

 男と女、そして……


 この世界、人間ひとは二つに分けられる。

 生きていくうえで、絶対必要な区別……


 男と女


 時間の流れの中で、人間はいつしか命を終える。

 だけど、男と女の思いが一つになると、新たな命を与えられる。

 与えられた命は、また時間の流れに身を任す。


 「ウーン、わからない」

 「むずかしい」


 いずれ、わかるわ。

 ポンニャン、いいかい?

 店長……あの人間ひとは、男よ。

 バイト……あの人間ひとは、女なの。


 「おとこ、おんな」

 「何か、少しちがうような」


 そう、男と女は違う。

 それは見かけはもちろん、中身も違う。

 そんな男と女が、うまく理解しあい。

 お互いをわかることで、ある感情が芽生える。

 その感情を……


 愛


 そして、愛は与えられた命にも伝わるの。


 「やっぱり、わかんない」

 「ウーン……」


 ……少し、ポンニャンには早かったようだから、ここまでにしますね。

───────────────────────

 店長 「明日は休みだな」

バイト 「そうですよ。それが?」

 店長 「……別に」


 おや、店長がへん。

 なにか、言いたいみたい。


 店長 「……なあ」

バイト 「はい?」

 店長 「今晩……」

バイト 「今晩?」

 店長 「……何でもない」


カレンダー『店長のいくじなし!』


 どうしたのカレンダー!

 何を怒ってるの?


カレンダー『よーし、ポンニャン、バイトのお腹の虫の力をかりよう!』


 何をするの。

 何をするの。


カレンダー『いたずらを、バイトのお腹に仕掛けるの』


 どーする?

 どーする?


 あそこにある紙を、バイトの足元に落としてくれる?


 あの紙?

 あれ?


 「そうそう、いい?」


 はーい 

 はーい

 …………紙、うごけぇ。

 …………バイトの足の下。


 《えーい》


バイト 「あれ?チラシが足元に落ちてきた」

 店長 「ん?」


カレンダー『よし、バイトがしゃがんで……取った!

 そーれ!』


バイト 『ぐーぅ(おなかのなるおと)』

 店長 「……ん?」

バイト 「わっ、こ、こ、これは!別にお腹が……」


カレンダー『もう一度!そーれ!』


バイト 『ぐーぅ!』

 店長 「……」

バイト 「……」

 店長 「俺で良かったら、飯食いに行かないか?おごるぞ」

バイト 「……」

 店長 「あっ、やま、やまや、やましいことは考えてないから」

バイト 「……たくさん、食べますから」

 店長 「そっ、そっか!じゃあ、早く今日は店をしまおう」


カレンダー『ヤレヤレ』


 ふたり、どうなったの?

 男と女、どうなった?


カレンダー『うまくいきました』


 そっか!

 そっか!……あれ?

 どうしたニャン太。

 カレンダー少し黒くなったような……ポン太。


カレンダー『……いたずらしたからさ、少し傷みが出たんだ』


 いたみ……

 いたみ……


カレンダー『しなの定めさ。さっ、今日もお話しましょう』


 うん。

 いっぱいしよう。


                   つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ