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ポンニャン 介護園にいった……よ

 土曜日、母さんと父さんは介護園に行った。

 介護園……老人ホームに母さんの母さんはいた。

 ポンニャンは母さんに連れられて、介護園に来ていた。

 因みに、幸洋は母さんの実家に預けられていた。

───────────────────────

 母さん「いつも、ありがとうございます」

ヘルパー「いいえ、おばあちゃん、元気ですよ」

 母さん「……はい」



 僕達、母さんに連れられ……

 ボク達、お仕事中

 クマとカッパは、お留守番

 うん、お留守番

 ……ニャン太、ここ変だよね。

 うん、ポン太も感じたの?



ヘルパー「お婆ちゃん、元気になさってますよ」

 母さん「そうですか」

ヘルパー「昨日何かたくさん歌ってました」

 母さん「は、はあー」

 父さん「……進んだな」

 母さん「……」

 父さん「幸洋、大丈夫かな?」

 母さん「弟夫婦が面倒みてくれてるわよ、ここは任せましょう」

 


 ニャン太、ここの人たち変だね。

 うん、じいちゃんみたいな、人間ひとがいっぱいいる。

 だけど……

 みんな、変だ。

  


 母さん「……凄い所だね」

 父さん「……」

 


 みんな、騒いでる。

 みんな、笑ってる。

 みんな、怒ってる。

 みんな、泣いてる。

 

 父さん「……早く、お義母さんとこへ行こう!」

ヘルパー「喜びますよ」

 母さん「……」

 父さん「行こう……」

  



 《部屋》


ばーちゃん「あっ、あなた、私のハンカチがないの!だから、ハンカチが探して下さい」

 母さん「……」

 父さん「いきなりか……それも、あなたって!」

ヘルパー「お婆ちゃん、ハンカチならアソコでしょ」

ばーちゃん「そこのあなた、私は昔は、○○町に住んたんですよ」

 母さん「……いつも、ありがとうごさいます」

ヘルパー「いいんですよ」

 


 なんだか、母さん悲しそう。

 ……うん。

 お婆ちゃんて、母さんの……

 多分、母さんだと思う。



ばーちゃん「あら、あなた!足に動物かって、なんて生き物なの?」

 母さん「え?足……」

 父さん「出来損ないのスリッパのことだ」

 母さん「ポンニャンのこと!」

ばーちゃん「こんにちは……」

ヘルパー「すみません、お二方、少しお話が……」

 母さん「はい……」

 父さん「わかりました」

ヘルパー「ちょっと、外に……」

ばーちゃん「出来損ないのポンニャン、どこいくのー!私を置いてかないでー」

 母さん「……ポンニャン、少し置いてくね」



 母さんと、父さん、それとヘルパーさんだっけ?

 ボク達を置いて行った。

 後でむかえに、くるかな?

 くるよ。



ばーちゃん「ポンニャンは、どこから来たの?」



 ばーちゃん、聞いてきたよ。

 ばーちゃんに答えよう。

 うん、僕達、母さんのお家から来ました。

 その前は、亜紀とノンの所だよ。



ばーちゃん「その前は?」



 どっかの、工場だよ。

 ウイーン、ウイーン……て、なってたり


ばーちゃん「あらら、ようこそ。この世に生まれて……」



 ……生まれる。ボク達、生まれたんだ。

 そっか、工場で生まれたんだ。

 ……ねえ、ニャン太、気づいてる。

 うん、この人間ひとと会話できるよ!



ばーちゃん「はい、ばーちゃんは聞こえますよ。アナタ達の声が!」



 ほんと!

 ほんと!



ばーちゃん「はい、可愛いわね!」


 

 どーして、僕達の声が……

 わかるの? 



ばーちゃん「ばーちゃんは何でも知ってるよ」



 どういうことを……

 知ってるの?



ばーちゃん「いろいろ、知ってるの」

   


 父さん「……」

 母さん「どうしたの?」

 父さん「部屋に帰ってきたら、お義母さんスリッパと話してるんだ」

 母さん「……ほんと……しばらく、代わりのスリッパを履くわ」

 父さん「じゃあ、ヘルパーさんとこ戻ろうか」

 母さん「うん」

  



 ばーちゃん、どうしてここに居るの。

 どうして、ボク達がわかるの。



ばーちゃん「はいはい、教えてあげようね」

───────────────────────

 第十七話


 しあわせ


 ばーちゃんは、いっぱいの幸せをみんなから、もらっているの。



 「いっぱい?」

 「しあわせ」



 ハンカチを落としたら、拾ってくれるアナタのいるしあわせ。

 ばーちゃんにご飯を食べさせてくれるしあわせ。

 ばーちゃんに声をかけてくれるしあわせ。

 なにより、生きてる、しあわせ。



 「しあわせが、いっぱい!」

 「ばーちゃん、しあわせなんだ」


 はい、かなしいことが、ぜんぶ、消えていくの。

 消えていくしあわせ。

 笑うしあわせ。

 そして……見えるしあわせ



 「見える……」

 「しあわせ?」


 

 はい、ばーちゃんはみえますよ。

 アナタ達が……

 がんばって生きてね。

 がんばったら……


───────────────────────


ヘルパー「少し、お婆ちゃん、散歩させますね」

 母さん「私にさせて下さい」

 父さん「外にいこうか!小春日和だから」



ばーちゃん「がんばってね、がんばってね」


 僕達、またお仕事だ。

 お外いくから、げた箱っていう場所にいくんだ。

 ……ニャン太、ばーちゃん、しあわせなのかな?

 ……わからない。

 消えてく……何が消えるの?

 わからない。

 人間ひとは……

 難しいね。



 《その頃、お家では!》


 クマ『藁麿、早く!』

 藁麿『わかったで、おじゃる!なんでこんなことに!』

 

じいちゃん「痛い、いたーい……」


                  つづく



 


 



 



 

 




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