雑貨屋さん
母さん父さんは、雑貨屋に来た。
ポンニャンが、引き取られた、あの雑貨屋だ。
幸洋は父さんが、抱っこしている。
雑貨屋で、幸洋のオモチャを探しにきたのだが……
雑貨屋の様子が、少しおかしかった。
その様子を、お日様が見ていた。
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ノン 「いらっしゃい……あっ、お久しぶりです」
母さん「お久しぶりです」
父さん「?」
母さん「どうしたの?」
父さん「いや、何も……」
私は太陽……みんなから、「お日様」と言われている。
今日は藁麿が宿した命の様子を、見にきました。
うん、いいわね!
いいんだけど……
父さん「……」
ノン 「あっ、赤ちゃんですか!かわいい」
母さん「ありがとうございます」
ノン 「かわいいです……」
おかしな、雰囲気ね。
何かがあったようね。
母さん「少し、見せてください」
ノン 「どうぞ」
父さん「俺はここにいるから」
母さん「はいはい」
母さんは店の中を、赤ちゃんと探検してますね。
父さんは……
父さん「……厚かましいかも知れませんが……」
ノン 「なんですか?」
父さん「奥さんは」
ノン 「……」
父さん「スミマセン、今日はいないんですよね」
ノン 「もういない……かも知れません」
父さん「!」
母さん「あっ、鳥籠!」
なるほど、見えてきました。
だから、違和感があったのですね。
ノン 「鳥籠……か」
父さん「なんだか、わかりました」
ノン 「……亜紀に愛想つかされたんです」
父さん「なんとく、わかりました」
ノン 「……」
父さん「私でよければ、毒を吐いて下さい。口にするだけで気分が違ってきますから」
ノン 「……ありがとう」
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第十六話 鳥籠
言い切ります。
私は今でも、亜紀を愛しています。
もちろん、子供もです。
これは当然です。
「立派ですよ。自分の物になっても、愛を注ぐことは……物にしたら、餌をやらないのも多いですから」
私は注いできました。
それも、溢れるくらい。
愛はいくら注いでも……
溺死しませんから
「キザ!」
お恥ずかしい……
メロドラマの世界ですね……
しかし、亜紀に取って愛を注ぐことは、彼女を閉じ込めることだったようでした。
どうやら……
鳥籠を作ったようなんです。
注ぐではなく、組み立てていたんですね。
鳥籠を……
「奥さんを知らず知らずに……」
はい、閉じ込めていた。
その鳥籠には、鍵はありません。
鍵のない鳥籠だから……
勝手に飛び立っていった!
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母さん「なるほど、です」
父さん「いつのまに!」
母さん「幸洋、よしよし……鍵のない鳥籠、最高じゃあないですか」
ノン 「……」
母さん「鍵がある鳥籠は、逃げられないです。しかし、逃げられないだけで心は離れていきます。逃げられるから、帰ってこれます。奥さんは帰ってきますよ」
ノン 「そう、思いたいです」
なるほどね。
全く、人間は難しいですね。
想いが強くてもだめ、弱くてもだめ、ほどほどがいい。
だけど、ほどほどがわからないし、ほどほどは人間それぞれ……
結局、一方通行……か。
おや、母さんと父さんが、雑貨屋から出ましたよ。
手には、木のオモチャと、クルマのオモチャと……鳥籠まで
父さん「鳥籠なんかはいらんだろ?」
母さん「いらない……でも、縁起を担ぎましょうよ」
父さん「縁起……ねぇ……おや、あそこ!」
母さん「え?、あっ!」
あら、亜紀ね。
ポンニャンの名付け親ね。
うろうろと、しているわね。
……あら、あの子は!
なるほどね。
母さん「スミマセン、亜紀さんですね」
亜紀 「はい」
子供 「ママ……」
母さん「かわいい!生まれたんですね」
亜紀 「あのー」
母さん「ポンニャンの名付け親!」
亜紀 「……っあ!」
子供 「ママー、パパのとこ帰ろー」
亜紀 「……」
父さん「帰ってあげなよ。待ってるよ。怒ってもないようだよ」
亜紀 「……はい」
幸洋 「うわうわ!」
母さん「ハイハイ」
亜紀 「かわいい!」
母さん「ありがとう、亜紀の子供も可愛いわ」
亜紀 「沙樹です。沙樹、あいさつは?」
沙樹 「こんにちは」
母さん「こんにちは」
父さん「こんにちは」
どうやら、丸く収まりそうね。
ただの、行き違いか。
こんなことも、あるかな。
さて……他を様子見しましょうか
つづ……
ポン 『僕、出番なし』
ニャン『ボクも』
カッパ『オラもだ』
クマ 『たまには、いいじゃないか』
つづく




