家族増えたよ、だけど……
予定日になった母さん。
母さんと父さん、そしてじいさんの三人が待合室で一報を待っている。
ポンニャンとクマは病室でお留守番、スマホは父さんのお供だが……
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儂はスマホ、ポンニャンとクマと別れて父さんといる。
エアコンはいい品じゃった。
儂はエアコンを、尊敬しておった。
エアコンは儂を置いて、遠いどこかへ行った。
どこに行ったか?
誰か教えてくれんか?
父さん「……」
じいちゃん「お前が硬くなって、どうする?」
父さん「ああ」
じいちゃん「……」
父さん「不思議だな」
じいちゃん「不思議……か」
父さん「あきらめた、しかし、できた。そして……待ってる」
ポンニャン、クマは生意気じゃ!
生意気な奴らじゃ。
生意気……な、仲間じゃ。
みんなが居ない……。
父さん、儂をみんなのところへ、返しちくりー!
父さん「ん?……またか!」
じいちゃん「ん?」
父さん「スマホが誤作動だ!寿命かもな」
じいちゃん「おいおい、縁起の悪い」
儂だけは嫌じゃー
エアコン、儂を置いていくなー
儂は孤独は嫌じゃ!
父さん「もう、コイツはダメだ」
じいちゃん「もったいないな」
父さん「使い捨てさ」
儂は孤独が怖い。
いつしか、孤独が怖い。
怖い。
怖いー。
…………ん?誰じゃ、ポンニャンかクマか!
……『……………』
誰じゃ!
お主は、誰じゃあ!
……『…………』
ああ……
ああ……
……『…………』
そうか、まだなんか。
儂が、いたずらしてやる。
……『…………』
心配するな。
儂は……スマホじゃ!
《行くぞぉー》
父さん「ん?」
じいちゃん「どうした」
父さん「スマホ、壊れた。バカ、縁起でもない!」
じいちゃん「カリカリするな」
父さん「……遅いな」
じいちゃん「心配か?」
父さん「……」
じいちゃん「ん?前が開いたぞ」
看護師「すみません、父さんですか?」
父さん「はい!」
看護師「緊張しない。母さん頑張りましたよ。元気な男の子です。よく見て下さい」
じいちゃん「このガラスの中の赤ん坊が……ウェーン」
父さん「泣くなオヤジ、泣くな」
じいちゃん「でかしたぞ!」
母さん「それは母さんに言わないと」
看護師「……では、母さんの所へ帰りますね」
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母さんの横には……
新しい命がある。
新しい命に、母さんの顔が優しい
だけど……ボクたちのスマホは……
クマ 『バカ……勝手に消えて……』
仕方ないよ。
命が尽きたんだよ。
スマホは……
捨てられた。
お日様『お久しぶりね、ポンニャン、クマ』
お日様……
スマホが……
クマ 『エアコン、スマホ……どんどん居なくなる』
お日様『スマホは残念でした。だけど、スマホは生き抜きました。
スマホは、大丈夫!』
……
聞いていいですか、
お日様『何でしょう』
藁麿が、エアコンは……
地獄へ落ちた。
そう、
言ってた。
地獄って……
何ですか?
お日様『……可愛いわ、母さんの宿した命。人間の命も品の命も、私からしたら可愛い……ポンニャン、成長しましたね』
お日様……
教えてくれないの?
クマ 『俺も教えてほしい』
お日様!
お日様!
お日様『……ごめんね』
コンコン(ノックの音)
母さん「どうぞ」
じいちゃん「こんにちは」
母さん「お義父さん」
じいちゃん「孫が見たくてな!」
母さん「どうぞ、どうぞ」
じいちゃん「……いい顔じゃ」
母さん「ようこそ、ありがとう」
じいちゃん「これから、賑やかになるな」
母さん「はい!」
お日様『……私はこれで失礼するわね。またね』
お日様……
……
クマ『これから、寂しいくなるな……』
つづく




