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家族 藁麿とポンニャンと……

 クマの命の中を、藁麿は進み続けた。

 進む先の出口には、カッパがいる。

 カッパは今、ポンニャン達の家族におじゃましている。

 母さんと父さんは、儀式の用意をしているのだが…… 

 そこに、藁麿が!

 そして……エアコンは…… 

───────────────────────

 そう言えば、母さんと父さんはあちらのお部屋だね。

 うん、何してる?


エアコン『ダメ!ポンニャン、知って……いけないことだ……よ』


 エアコン先生……

 どうした?


エアコン『この前、父さんの夢にお邪魔したとき……無理した……』


 え?

 ……


 エアコン『……』


 

 父さん「風呂、上がったぞ」

 母さん「それじゃあ、行ってきます」

 父さん「確か、カッパを置くんだろ?」

 母さん「……恥ずかしい、置かないでやろうよ」

 父さん「……」

 母さん「部屋閉めて、恥ずかしいから」

 父さん「……」

 

 父さんが戸を閉める

 向こうの様子、わからない。

 母さん何してる?

 父さん何してる?


 カッパ『……儀式さ』


 みんな『儀式?』


 カッパ『コレをしないと、新しい命を人間ひとは宿せない……藁麿が来たみたいだ。オイラの体に藁麿の意識か通っている』


 スマホ『なんじゃ、コイツ、光だしたぞ!』


 なにがはじまる?

 どうなる?


エアコン『……』

 

 カッパ『…………』


 ねえ、どうしたの?

 カッパが動かなく……


 カッパ『……ほう、ここには沢山の命宿りし、くちがある、でおじゃる』

 

 カッパ、へんだ。

 おじや?


 カッパ『おじゃる、で、おじゃる!』

エアコン『……あなたは、カッパではないですね』

 カッパ『……左様、マロは藁麿、カッパの命と体を借りておるでおじゃる……よっと……でおじゃる』

 スマホ『なんと!』


 カッパが……

 動いた!


 カッパ『まあ、マロの能力ちからからしたら、当たり前でおじゃる……しかし、困ったでおじゃる!』


 困った?

 どうして?


 カッパ『ここに、人間ひとがいないでおじゃる。

 ヤレヤレ……今回もオナゴに命授けられないでおじゃるな』


 え?

 それって!


 スマホ『失敗ってことか?そう言われてみれば、母さんと父さんの会話じゃが……』


 たしか、おかないで

 ぎしきをしようって!



 カッパ『約束違反でおじゃる。命宿したくば、儀式の様子をマロに見せねばならんでおじゃる。

 ……恥ずかしがるんなで、おじゃる!』


 ねえ、人間ひとの儀式って?

 どうしているの?


 スマホ『確かにじゃ、しないと宿せない儀式とは?』

エアコン『……』


 教えてよ……

 人の儀式を……


 カッパ『……無理で、おじゃる。お前たちくちには理解不能でおじゃる。つまり、教えてやらん。

 ……ところで、でおじゃる。

 マロを儀式の部屋に送り込んではくれぬか?

 儀式はまだ、始めておらんようじゃ』


 そのまま歩いて……

 いけば?


 カッパ『愚か者!人間ひとにビックリされて、捨てられるでおじゃる!』

 スマホ『つまり、人間ひとの気をそらすのか?』

 カッパ『そうじゃ!その隙に、儀式の見学、行動でおじゃる』

エアコン『いつの間にか……居たことにしておくのだな……きのせいか』

 カッパ『まあ、そんなところ、でおじゃる』


 

 父さん「母さん、遅いなあ……さぶっ、おーい」

 母さん「もう少しだけ」


 カッパ『いま、儀式の前のお清めのようでおじゃる。

 さて、どうするかの?』

 

 大きな音をおこす。

 どうやって?ポン太!

 ……そうだ!

 なになに。

 あのタンスを倒そう!

 うーん……


 スマホ『ポン太、あのタンスを倒すには、普通のいたずらでは倒れんぞ』


 いっぱい、いたずらの……

 

エアコン『いや……そのやり……方は、危険だ』


 きけん……

 うん、エアコンの言うとおりだよ。

 エアコン大丈夫?

 エアコン先生、おかしいよ。


エアコン『……ポンニャン、スマホ、私を落とせ!』

 

 え?

 エアコンを?


エアコン『実は私が壁に引っ付いている力が、弱くなった……おそらくは……』

 スマホ『ばっ、バカを言うな!そんなことしたら、お前は!』

エアコン『母さんと父さんの願い事……叶えてやりたいんだ。

 それに、私はイヤでも……傷付いていく。傷みが速くなっている!

 この場所が好きだ。スマホがいつ、ポンニャンがいて、クマがいて、母さんと父さんがいて……

 好きな所で、命を終わらせたい……』


 いのちを終わらす。

 エアコン……


 スマホ『……納得できん!』

エアコン『頼む……』

 スマホ『……わかった。恨みはなしだぞ!』

エアコン『スマン……』


 エアコン先生……

 エアコン……


 カッパ『……そなた』

エアコン『なんですか?』

 カッパ『多くの苦しみ、悲しみ、怒り、地獄へ行く事になるが、よいでおじゃるか?』

エアコン『母さんと父さんのためなら……少しキザだな』

 カッパ『そんな地獄にも、笑い、温もり、それはあるでおじゃる。その地獄の希望の糧を持てると約束できるでおじゃるか?』

エアコン『……はい』

 カッパ『残りのくちよ!あやつを落とせでおじゃる。

 それが、あやつの願いでおじゃる!』


 エアコン……

 エアコン先生……


 スマホ『……いくぞぉ!』



 《えーーーーーーい!》



 母さん「お待たせ……」



 ガッシャーーーーン!

 ガラガラ!!!!


 父さん「なんだ?」

 母さん「何かが、落ちた?」

 父さん「行ってみる」


 エアコン!

 エアコン先生!


 スマホ『おーい、返事しろ』


 父さん「あっ、エアコンが落ちた!」

 母さん「うそ!」

 

 カッパ『よし、二人が部屋から消えたでおじゃる。今の内に!

 くちよ、すまんでおじゃる……』


 父さん「寿命だな」

 母さん「うそ!」

 父さん「全く!業者め嘘つきやがって!たかい買い物だったんだぞ!」

 母さん「父さん、買い直しね」

 父さん「……クソ!」


 スマホ『……何がクソじゃ!エアコンの命、短くしたのは誰じゃ』


 ……

 ……


 スマホ『儀式の約束を破ろうとしたのは、誰じゃ!』


 ……

 ……


 スマホ『お主ら、人間ひとではないかぁー!』


 スマホ、止めよう。

 エアコン先生は、そんな言葉を聞きたくないよ。


 スマホ『……』


 父さん「さて……今はこのままにして、部屋に戻るか」

 母さん「するの?エアコンが」

 父さん「それはそれだ」

 母さん「……うん」



 カッパ『……さてと、少しだけ意識の操作するでおじゃる。

 二人が部屋に来たでおじゃる』


 父さん「ん?母さん、いつカッパを?」

 母さん「あれ?父さんじゃないの?」

 父さん「いや」

 母さん「私でもないよ」


 カッパ『男の意識を変化でおじゃる』


 父さん「……まあ、いいかな。本来はカッパがいないといけないだろ?」

 母さん「父さん、見られるの好き?」

 父さん「きまり、だから!」

 母さん「はいはい」



 母さんがドア閉めた。

 ぎしき、はじまる。


 スマホ『エアコン……すまん!クマにワシはどう言えばよいか……』


 スマホ……

 …………


 《数十分後》



 母さん「父さん、すごかった」

 父さん「はいはい……」


 ドアがあいた。

 二人が出て来た。

 カッパも母さんの手にいる。

 ……


 母さん「はい、カッパちゃん」


 クマのいる場所に……

 カッパをおいた。


 スマホ『儀式は?』

 カッパ『成功でおじゃる。命、授けたでおじゃる』


 えっ!

 やったー!


 スマホ『エアコン、やったぞ!お前の勝利じゃ!』

 カッパ『さて……マロは帰る。後はカッパを頼むでおじゃる』



 あっ、カッパにまた光だした!

 今度は光がちいさくなってく……


 カッパ『藁麿は帰った……オイラも知ってる。くちが命を落とした……』

 スマホ『……エアコン……うわーん』


 わーん!

 わーん!  


 僕は、知った。

 ボクも知った。

 エアコンは、居なくなった。

 エアコンが、消えた。

 不思議だった。

 カレンダーが捨てられた時は悲しくなかった。

 僕達の心に……

 ボク達の心に何かが生まれていた。


                 つづく




 






 クマ 『ウソだぁー、エアコン先生があー』

 藁麿 『くちは、地獄に身をゆだねるでおじゃる。じゃが、あやつ次第で、地獄は天国になるでおじゃる』

 クマ 『……』

 藁麿 『人間ひとを怨むな、クマの怨みはマロに向ければ良いでおじゃる。マロも能力ちから不足じゃたでおじゃる』

 クマ 『エアコン先生、うわーん!』

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