表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/61

神社 守護神でおじゃる

 こんにちは、クマです。


 今回は、俺がポンニャンの代わりだぞ!

 夕方

 菖蒲池神社の裏側、そこにクマは置かれていた。

 お日様がいるときは、お日様と話をしている。

 それは、この神社の秘密であった。

───────────────────────

 俺がこんな所へ置いてかれるなんて……


 お日様『クマ、あなたのお仕事なんだから、大丈夫迎えに来ます』


 本当にですか?

 みんな、へんてこなアイツと仲良くしてるんだと思うと……


 お日様『カッパもお仕事で、おじゃましてるのよ』


 カッパ……あれ、どうやって母さん父さんに授けるんだ?


 お日様『カッパはそんな能力ちからありませんよ』


 へ?

 へ?ない?

 ……って、これはウソ!


 お日様『いいえ、カッパも仕事をします』』


 ……お日様、教えて下さい。

 お日様は全てを知ってますよね。

 

 お日様『知ってます。でも、その必要はありません、そろそろ私は沈みます。いいですか、この神社とこの池一帯の主の……』


 あれ?

 お日様!

 お日様、沈んじゃったぁー!!! 



 《夜遅く》


 辺り真っ黒。  

 確か、真っ暗って言うんだっけ?

 静かな、真っ暗。

 とこを見ても、黒、くろ、クロ、ついでに俺はクマ……ってバカなこと言ってる場合でないぞ!

 完全な孤独だあ。

 おーい!……って、みんなはいない。

 はあー。

 

 ミシッ……ミシッ……


 ん?


 ミシッ……ミシッ……


 なんだこの音は?

 歩く……音!?


 ???『今回のくちは八百万神が宿っておるようじゃ』


 だ、誰?

 

 ???『とは言え、騒ぎ立てる、くちでおじゃるのう!』


 ……お、おまる?


 ???『愚か者!おじゃる、じゃ!』


 おじゃる?って、暗闇から誰か来るぞ。

 

 ???『これ、月!マロを照らせでおじゃる』


 ん?お月様? 


 お月様『おいおい……お日様め!こんなヤツほっといて沈みやがって!』


 あっ、お月様だ。

 俺初めて見た!


 お月様『お!ここに命を宿すくちがあるではないか!』

 

 俺、クマです!

 よろしくお願いします!


 お月様『元気があって、よろしい』


 ???『マロを忘れてるでおじゃらんか?』


 ん?

 ……っあ、お月様の明かりに照らされて、姿が見える!……って何その格好……いや、その前に人間ひとと俺しゃべってる!


 ???『お主!突っ込み満載の紹介の仕方じゃ!誰に習た!』


 ……っで、誰なの?

 膝下までね浴衣みたいな服を着て、ちゃんちゃんこ身に付けて、マルコメ頭の伸びた髪をした子供は!

 よい子は寝る時間だぞ!


 ???『愚か者!マロは藁麿でおじゃる!こう見えても、ここの池と神社を護り神だぞえ!……まあ、皆からは、座敷童ざしきわらしと呼ばれておじゃる』


 へ?

 こんな子供が?


 藁麿 『見かけはこんなんでおじゃるが、こう見えても何千年も前からここにおるでおじゃる!』


 そうでおじゃるですか。

 ……あっ、移った。


どっかのおっさん「やっぱり、電球切れとる」


 あっ、人間ひとだ。

 懐中電灯でこっちを照らしている。

 

どっかのおっさん「仕方ないな。付け替えだ」


 ん?

 あれ?

 

どっかのおっさん「クマのぬいぐるみ、待ってろ。今明るくしてやっから」


 あれれ?

 この人間ひと、変なのに気付いてない!


 藁麿 『そちは、マロにケンカを売るつもりかえ!』


 それなら、人間ひとの方が、ケンカ売ってないか?

 えっと、藁麿だっけ?

 完全無視されてるぞ。


 藁麿 『人間ひとはマロが見えんでおじゃる』

 

 なんで? 


 藁麿 『人間ひとは時間の川に流れを任せることで、見えんようになるんじゃ』


 そうなのか?


 藁麿 『お主に、人間ひとの心を教えてやろうかの』


 あのー……俺、ポンニャンじゃあないけど


 藁麿 『わかった、さっそく、教えるでおじゃる』


 だ・か・ら!  


 藁麿 『遠慮するでない!』


 俺の言うこと聞け!


───────────────────────

 第十二話

 純粋


 「勝手に決めるな!」


 良いではないか!

 

 「はあー」


 よし、では初めるでおじゃる。

 人間ひとはな、実はこの世に命をもらってすぐは……


 お主達、くちとしゃべることが出来るでおじゃる。


 「え!うそ!」


 本当でおじゃる。

 生まれたばかりの人間ひとは、くちに負けず劣らずの……


 純粋な心を持っておじゃる。


 つまり、お主達が純粋である証でおじゃる。

 そして、お主達の純粋は朽ち果てるまで続く。

 しかし、人間ひとは違うでおじゃる。

 人間ひとの世界では、純粋では生きて生けないでおじゃる。

 何故?

 

 人間ひとの時間は、汚れているでおじゃる。


 汚れているから、苦しみ、悲しみ、憎しみ、怒りがあるでおじゃる。

 その汚れてに身を任している人間ひとは、汚れていく。

 当たり前でおじゃる。

 しかし、汚れることで……


 マロ達とは違う世界に行ってしまうでおじゃる。


 近くにいても気付かず、わからず、交われず。

 それがマロ達と、人間ひとの関係じゃ。


 「一つ、いいか?もし、くちが汚れていったらどうなる?」


 くちが汚れることはないでおじゃる。

 ただ、いたずらは、あまりオススメせんでおじゃる。

 アレは人間ひとの干渉でおじゃる。

 くちが汚れるのは、汚れた時間に身をさらすからでおじゃる。

───────────────────────

 つまりいたずらは、しないがいいってことか。


 藁麿 『そうでおじゃる、純粋なままで命尽きるでおじゃる』


 純粋……か。


 藁麿 『さて、そろそろ、仕事の時間でおじゃる。お主、人間ひとが命を宿す儀式を見たことあるでおじゃるか?』


 儀式?


 藁麿 『生まれたままの姿で、一つになる所でおじゃる』


 !!!


 藁麿 『よろしいでおじゃる!では、参ろうでおじゃる』


 参る?

 行くってこと?


 藁麿 『左様、クマ、お主の命とカッパの命が道を繋いでおるでおじゃる。

 さて、そろそろ、母さんと父さんの所へ参るでおじゃる』


 ……なっ、なんだ?

 目の前が……


 藁麿 『クマ、少しだけの辛抱でおじゃる』


                   つづく

 


 



 

 お月様 『いつの間にか、俺が消えてるー』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ