神社 守護神でおじゃる
こんにちは、クマです。
今回は、俺がポンニャンの代わりだぞ!
夕方
菖蒲池神社の裏側、そこにクマは置かれていた。
お日様がいるときは、お日様と話をしている。
それは、この神社の秘密であった。
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俺がこんな所へ置いてかれるなんて……
お日様『クマ、あなたのお仕事なんだから、大丈夫迎えに来ます』
本当にですか?
みんな、へんてこなアイツと仲良くしてるんだと思うと……
お日様『カッパもお仕事で、おじゃましてるのよ』
カッパ……あれ、どうやって母さん父さんに授けるんだ?
お日様『カッパはそんな能力ありませんよ』
へ?
へ?ない?
……って、これはウソ!
お日様『いいえ、カッパも仕事をします』』
……お日様、教えて下さい。
お日様は全てを知ってますよね。
お日様『知ってます。でも、その必要はありません、そろそろ私は沈みます。いいですか、この神社とこの池一帯の主の……』
あれ?
お日様!
お日様、沈んじゃったぁー!!!
《夜遅く》
辺り真っ黒。
確か、真っ暗って言うんだっけ?
静かな、真っ暗。
とこを見ても、黒、くろ、クロ、ついでに俺はクマ……ってバカなこと言ってる場合でないぞ!
完全な孤独だあ。
おーい!……って、みんなはいない。
はあー。
ミシッ……ミシッ……
ん?
ミシッ……ミシッ……
なんだこの音は?
歩く……音!?
???『今回の品は八百万神が宿っておるようじゃ』
だ、誰?
???『とは言え、騒ぎ立てる、品でおじゃるのう!』
……お、おまる?
???『愚か者!おじゃる、じゃ!』
おじゃる?って、暗闇から誰か来るぞ。
???『これ、月!マロを照らせでおじゃる』
ん?お月様?
お月様『おいおい……お日様め!こんなヤツほっといて沈みやがって!』
あっ、お月様だ。
俺初めて見た!
お月様『お!ここに命を宿す品があるではないか!』
俺、クマです!
よろしくお願いします!
お月様『元気があって、よろしい』
???『マロを忘れてるでおじゃらんか?』
ん?
……っあ、お月様の明かりに照らされて、姿が見える!……って何その格好……いや、その前に人間と俺しゃべってる!
???『お主!突っ込み満載の紹介の仕方じゃ!誰に習た!』
……っで、誰なの?
膝下までね浴衣みたいな服を着て、ちゃんちゃんこ身に付けて、マルコメ頭の伸びた髪をした子供は!
よい子は寝る時間だぞ!
???『愚か者!マロは藁麿でおじゃる!こう見えても、ここの池と神社を護り神だぞえ!……まあ、皆からは、座敷童と呼ばれておじゃる』
へ?
こんな子供が?
藁麿 『見かけはこんなんでおじゃるが、こう見えても何千年も前からここにおるでおじゃる!』
そうでおじゃるですか。
……あっ、移った。
どっかのおっさん「やっぱり、電球切れとる」
あっ、人間だ。
懐中電灯でこっちを照らしている。
どっかのおっさん「仕方ないな。付け替えだ」
ん?
あれ?
どっかのおっさん「クマのぬいぐるみ、待ってろ。今明るくしてやっから」
あれれ?
この人間、変なのに気付いてない!
藁麿 『そちは、マロにケンカを売るつもりかえ!』
それなら、人間の方が、ケンカ売ってないか?
えっと、藁麿だっけ?
完全無視されてるぞ。
藁麿 『人間はマロが見えんでおじゃる』
なんで?
藁麿 『人間は時間の川に流れを任せることで、見えんようになるんじゃ』
そうなのか?
藁麿 『お主に、人間の心を教えてやろうかの』
あのー……俺、ポンニャンじゃあないけど
藁麿 『わかった、さっそく、教えるでおじゃる』
だ・か・ら!
藁麿 『遠慮するでない!』
俺の言うこと聞け!
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第十二話
純粋
「勝手に決めるな!」
良いではないか!
「はあー」
よし、では初めるでおじゃる。
人間はな、実はこの世に命をもらってすぐは……
お主達、品としゃべることが出来るでおじゃる。
「え!うそ!」
本当でおじゃる。
生まれたばかりの人間は、品に負けず劣らずの……
純粋な心を持っておじゃる。
つまり、お主達が純粋である証でおじゃる。
そして、お主達の純粋は朽ち果てるまで続く。
しかし、人間は違うでおじゃる。
人間の世界では、純粋では生きて生けないでおじゃる。
何故?
人間の時間は、汚れているでおじゃる。
汚れているから、苦しみ、悲しみ、憎しみ、怒りがあるでおじゃる。
その汚れてに身を任している人間は、汚れていく。
当たり前でおじゃる。
しかし、汚れることで……
マロ達とは違う世界に行ってしまうでおじゃる。
近くにいても気付かず、わからず、交われず。
それがマロ達と、人間の関係じゃ。
「一つ、いいか?もし、品が汚れていったらどうなる?」
品が汚れることはないでおじゃる。
ただ、いたずらは、あまりオススメせんでおじゃる。
アレは人間の干渉でおじゃる。
品が汚れるのは、汚れた時間に身をさらすからでおじゃる。
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つまりいたずらは、しないがいいってことか。
藁麿 『そうでおじゃる、純粋なままで命尽きるでおじゃる』
純粋……か。
藁麿 『さて、そろそろ、仕事の時間でおじゃる。お主、人間が命を宿す儀式を見たことあるでおじゃるか?』
儀式?
藁麿 『生まれたままの姿で、一つになる所でおじゃる』
!!!
藁麿 『よろしいでおじゃる!では、参ろうでおじゃる』
参る?
行くってこと?
藁麿 『左様、クマ、お主の命とカッパの命が道を繋いでおるでおじゃる。
さて、そろそろ、母さんと父さんの所へ参るでおじゃる』
……なっ、なんだ?
目の前が……
藁麿 『クマ、少しだけの辛抱でおじゃる』
つづく
お月様 『いつの間にか、俺が消えてるー』




