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ヘンテコ、できそこない

 工場内、今日も機械がたくさんの、子どもたちを作製している。

 子どもたちは可愛くそれでいて、愛らしい……

 人気キャラクターグッズの商品を、作製していた。─

 丸い耳に、つぶらな瞳、可愛い口のついた、可愛い子どもたちに混じり、個性的なそれが作られてしまう。

 彼等は、四角い耳に、タマゴみたいな目、しの字のような口を付けた風変わりなソレだった。


 


───────────────────────


 ウィーン……ガシャン

 ウィーン……ガシャン


 なに?

 なに?


 ウィーン……ガシャン

 ウィーン……ガシャン


 なんだろう?なにかが、きこえる。

 うん何かがきこえる。

 ボクは動いている。

 うん何かに、僕は乗っている。

 ウィーン……ガシャンが。

 きこえる、をおしえてくれた。


 コツコツ……コツコツ

 コツコツ……コツコツ


 あれれ?コツコツと聞こえたとおもったら。

 まわりが真っ暗だよ。

 コツコツが真っ暗を。

 おしえてくれた。


 ウィーン

 ウィーン

 ウィーン

 ウィーン……ジャー


 なんだか、あかるい。

 うん、明るくなった。

 あれれ?

 どしたの。

 おんなじ姿の何かある。

 本当だ、みんな同じだよ。


 ???「さてと、テストとチェックだ」


 テスト?チェック?

 テスト?チェック?


 ???「休み終わったし、がんばるか」

 ???「そうだな、若者」

 若者 「はいはい、オヤジ」


 あれ何?

 若者、オヤジ……だって。

 そうじゃなくて、動いてる。

 本当だ!若者、オヤジは動いてる。


 若者 「懐かしい、俺がガキのころ、このキャラクター好きだったっす」

 オヤジ「ははは、女の子が好みそうなキャラクターをか?」

 若者 「男の子女の子の頃はは、そんなん関係ないっす」


 いろんなことを、言っている。

 うん言っているよ。

 男の子?女の子?

 なにそれ?

 キャラクター?

 なにそれ?


 オヤジ「とは言え、スリッパまでキャラクターにするか?」

 若者 「お金儲けならやるっしょ、さて仕事仕事」


 お金もうけ?

 なにそれ?

 それに……スリッパ?

 なにそれ?


 オヤジ「まあここにいるコイツらは、人間に履かれる人生さ」

 若者 「スリッパに人生なんて……」


 コイツらは……

 ……ここにいる「おんなじ姿の何か?」のことかな?

 それに、人生って……

 人生ってなに?

 だけど、ひとつわかったよ。

 え?なになに。 

 ボクたち、スリッパっていうよ。

 へえー、僕たちスリッパなのか?


 オヤジ「さてと、仕事仕事」

 若者 「へいへい」


 動いてるオヤジと若者は、スリッパなの?

 スリッパなの?

 なんだか、ボクとちがうよ。

 僕ともちがう。

 動いてるオヤジ、若者ってなーに?

 なーに?


 若者 「あっ、ハハハハ」

 オヤジ「どうした?」

 若者 「これ見て」


 あれれ? 

 きゃー!

 若者が、僕たちをみてる。

 みてるよー。


 オヤジ「ありゃ、コイツつあ、へんてこりん、できそこないだ」

 若者 「機械がトラブったかぁ」


 僕たち、へんてこりん?

 ボクたち、できそこないみたい。

 「へんてこりん」ってなーに?

 「できそこない」ってなーに?


 オヤジ「お前ら、なかなかこれはいいぞ!」

 若者 「これはこれで、ありっす」

 オヤジ「さっ、お前らの姿だ」


 あれれ?

 つかまれた!

 やーん

 きゃーきゃー


 オヤジ「これが、お前らの姿だ。鏡でよくみな」

 若者 「この鏡、何だか、傷みが激しくなりましたね」

 オヤジ「寿命かもな」

 若者 「生きてないのに?」

 オヤジ「生きてなくても!」


 オヤジがなにかの前においた。

 なにかは、鏡と言っていた。

 ……なんだろう?

 ……これは、なに?

 ボクたちの姿?

 僕たちの姿!

 ……ちがう。

 うん、ちがう。

 みんなと、ちがうよ。

 うん、ちがう。


 オヤジ「コイツら、売り物には無理だ」

 若者 「捨てますか?」

 オヤジ「ウーン、捨てるにゃおしい」

 若者 「どうします」


 すてる?

 すてるってなに?

 どうして、すてる?

 できそこない、すてる?


 オヤジ「コイツら、知り合い店行きだ」

 若者 「……そっすね、捨てるにはおしいっす」

 オヤジ「持って帰るか?」

 若者 「スリッパは間に合ってます」


 すてるってなーに?

 おしえて。

 できそこないってなーに?

 おしえて。

 ねー!

 おしえてぇー!


 ???『ほう、お前らも八百万神やおろずが宿りしくちか』


 へっ?

 だれ?


 ???『ワシか、ワシはお前たちを映している、『鏡』というものだ』


 鏡?  

 映す?


 鏡  『ワシを見てみろ。お前たちが居るだろ』


 いる。 

 うん、すてるがいる。


 鏡  『オイオイ、自ら捨てるなんて言ってはいかんぞ。捨てるは悲しいこと』


 かなしい……

 かなしい……って?


 鏡  『……まだ、わからんかな』


 わからない?

 わからないって、なに?


 鏡  『……私の話を聞きたいかい?』


 うん、聞きたい。

 うんうん。


 鏡  『じゃあ、私の知ってることを、おしえてあげよう』


───────────────────────


 第一話

 永遠とわの幸せ


 この世界は、八百万神やおろずが、あって生きているんだよ。


 「やおろず?」

 「いきる?」


 八百万神やおろず……これを、命と言う。

 命が動物を動かす。

 命がある動物は、動いて生きるのさ。


 「いのち……じゃあ、さっきのオヤジは?」

 「若者は?」


 彼らは「人間ひと」という。

 命あるもののなかで、一番いばっている。

 そして、たくさん、動くのに大切な、くち

を「つくる」んだ。


 「いばる?」

 「つくる?」


 いばる……全てが人間ひとの思うがままと言うことだ。

 思うがままのために、君たちを私を「つくる」のさ。

 「つくる」は、人間ひとが命を動かして「いきる」ためにしているんだ。

 そうじゃないと、人間ひとは生きれない。


 「うごく……」

 「いきていけない」

 「ぼくたち、うごくの?」

 「僕たち、いきているの?」


 君たちは、生きている。

 生きているけど……動けないんだよ。


 「どーして?」

 「どーして?」


 君たちは人間ひとではない。

 スリッパと言う、人間ひとの作ったくち

だからさ。

 人間ひとが作るくちには、時々、私のように君たちのように、命があるものがあるんだ。

 理由わけはわからない。

 しかし、私と君たちには、命がある。

 そして、能力ちからがある、


 「ちから?」

 「ちから?」


 他のくちを動かせるのさ。

 他のくちを動かして、人間ひとに教えるんだ。

 これを、「いたずら」というのさ。



 「僕たちもできる?」

 「ボクたちもできる?」


 ああ、使えるよ。

 使いたいと思ったら、心にお願いしてごらん……でもね……


 「でも、なーに?」

 「なーに?」


 何回か使ったり、長く使ったり、重いものに使ったりすると、「壊れて」くるんだ。


 「こわれる」

 「それ、なーに?」


 人間の命には、実は限りがある。

 人間ひとの命は、いつしか壊れる。

 それは、人間が動くのをやめても、命は壊れる続ける。

 人間ひとはそれを寿命と言うんだ。

 だけど、私のようなくちに宿りし命は、壊れないんだ。

 人間ひとが使うのをやめて、くちを壊さない限り、生き続けるんだ。

 つまり……



 永遠とわの命があるんだ。



 命ある限り、くちは生き続け、くちなりの幸せが続くのさ。


 「しあわせ?」

 「しあわせって、なーに?」


 心があったかくなることだよ。

 「ぬくもり」と、人間ひとは言ってた。


 「ぬくもり」

 「しあわせ」


 君たちも、君たちなりの幸せがあり、ぬくもりを感じるさ。


 ……あっ、人間ひとが来た。

 お話はここまで……

 君たちの幸せを祈ります。


 しあわせ

 ぬくもり

 よくわからない。

 うん、わからない。

───────────────────────

 オヤジ「おい、そこの失敗作のネコの、スリッパをもってこい」

 若者 「はいはい」


 あらら……

 つれてかれる。

 鏡、ありがとう。

 鏡、さようなら。

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