ある。研究中毒者
「転生しても私は私」の後日談です!
「まだ引きこもってるの?」
「五月蝿い!!死ね!」
「おい!」
ハヤワーン王宮。植物研究施設の一室で、ウイング伯爵家の次男ユウが、入って来た同僚に悪態をついていた。
因みに、彼女は猫耳と犬の尻尾を生やした女性である。
彼女は、キャット族とハウンド族の初めて生まれた混血だ。
ユウは、亡くなったショックで、母を思い引きこもっていた訳ではない。
彼は自分のせいで母が!!とかは考えない(ユウが送った。新作の餅米で作った餅を食べて死んだ)
自分のように、なって欲しく無かったユリナの、教育の賜物だ。
ユリナは生前。ユウに前世の話や来世について、良く話してくれていた。
色々な食材の品種改良をして、母に食べさせると(来世でも、食べられたらいいのにな!)と楽しそうに笑っていた。
もし、母が貧困層に生まれたりしたら、今研究している食材は高すぎて口にできないだろう。
もっと安価・・・タダとはいかないが、それに近い値段で、作れるようになれば、来世の母も食べることができる。
来世で母が飢えるのも嫌だ。
ならば、どんな枯れた土地でも育つ植物が必要だ。
母が今死んだのなら、早く研究を進めなければ・・・
いつ転生してもいいように。
その時。
ガチャリと研究所の扉が空いて、真っ赤な髪と、白銀の目をした女性が入ってくる。
「兄様!お餅まだある?」
「シュリナ!!何で此処に!ゼルギュウムにいるはずだろう!」
シュリナ・ウイング。ユウと同じ父を持つ妹だ。
母と見た目が同じで、長兄。末っ子と同じく家族 皆に愛されている。
「うん!あのね!父様達が殺し合って、皆死んじゃったから知らせに来たよ!
それと!お供えと私が食べる分のお餅!頂戴!」
「おい!!!!それ大事件でしょ!殺し合いってなに!」
「え?大事件?母様が居ないと、生きていけない人達だし・・・事件と言うほどじゃないよ?」
「予想通りだな。兄上と兄弟達が、上手く片付けたんだろう?順位どうだった?」
ユウは、同僚を完全無視で話をつづけた。
「うん。予想通り!
シュエ父様。炎華父様。グレル父様。ルシフル父様。サヴァー父様の順でした!グレル父様とルシフル父様は、数秒位の僅差で、ルシフル父様が早かっただけだけどね。
だから、母様の両隣はシュエ父様と炎華父様。その両隣にグレル父様とルシフル父様。そして、ルシフル父様の隣にサヴァー父様が埋葬される事になったよ」
「じっ順位!?何よ!それ!!」
同僚がユウの目の前で仁王立ちしてきたので、今回は無視出来なかった。
「母様の葬式で、話し合って決めていたらしい。
母様に自殺は許さないと言われていたらしいからな。他殺なら良いだろうって」
それを聞いていたシュリナは、ウンウンと頷く。
「にこやかに共同生活してたけど、やっぱり嫉妬とかね・・・シュエ父様とグレル父様達さ。真っ先にサヴァー父様を殺してから殺し合いしてたらしいよ。
サヴァー父様が一回フラれたのに図々しいってさ・・あれ?グレル父様もフラれたんじゃなかったっけ?」
「グレル父上は、母上に契約魔術までして絶対を誓ったからいいんだよ。
それより、やっぱりこうなったか。一旦帰る。
ライナ!そう言う事だから、暫く仕事を休む。研究主任に言っといてくれ。じゃあな」
「バイバイ」
シュリナが手を振ると、ライナは悔しげに唸る。
「くそぉぉ!!私も行く!!」
そして、彼女は道中でユウを口説きまくり(研究材料を人質・・植質にした)同僚から、妻にクラスチェンジする事になった。
実は彼女は、ユウに一目惚れだったりするが、これはまた別のお話で。
次男坊ユウ君と長女シュリナでした!
これからもこのシリーズを不定期で投稿します!