見た目で味は、わからない・・・ (7/9改)
だいぶ空いた投稿ですみません。
文章力の欠落が見える話です、心温かく読んで貰えたら幸いです。
7/9 文章を大幅に改編。感想にあった矛盾点を修正させていただきました。
ガラス工房をでてパウロさんとミミモケ養殖場に向かっている時に事件は起こった。
カーン・カン・カン。カン・カン・・・
突如、異変を知らせる街の半鐘鳴り激しく鳴り響く。
「パウロさん。あれって何かあったんでしょうか?」
「そうかもしれない、いったん兵舎に戻ろう。」
「ハイ。」
半鐘がなったせいで露店でにぎわっていた街なみから、人々が慌てて家路へ逃げていく。
やっとのことで、人ごみの流れに逆流しながら兵舎に到着した。
そこには、イクサスさんの陣頭指揮のもと慌ただしく兵士達が動いていた。
「イクサスさん、どうしたんですか?この騒ぎはいったい・・」
「おお、コウタか。実はミミモケが逃げ出したんだ。これから逃げたミミモケを回収しにいってくる。万が一にそなえて、部屋から出ないようにしていてくれ。」
「ミミモケってそんなに危険な生き物なんですか?」
「いえ、ミミモケは体長50センチほどの岩ムカデだ。性格は大人しく、主食は鉱物で人を襲いやしない。」
「じゃあ、逃げる必要ないんじゃないんですか?」
「いえ、ミミモケは問題ないんだがな。問題は、ミミモケが卵を産むときだ。」
「ふむふむ」
「産卵中のミミモケは、特殊な鳴き声を出すんですがその音に引き寄せられて、ロックガルーダと呼ばれる巨大怪鳥がやってきやがる。そいつも岩ムカデしか食わないが、ムカデをさがして街をあちこち壊しまくるんでな。」
「そいつはやばいですね。それにしてもミミモケは、どうやって捕まえるんですか?」
「蟲笛を鳴らして引き寄せたり、エサを置いておびきだしたりだ。ただ、ミミモケの繁殖サイクルは1か月で、前回の繁殖からあと3日で繁殖が始まりやがる。」
「結構キリギリですね・・・」
「うむ、時間的にはかなり厳しい。下手をしたら、一斉非難勧告を出さないといけないかもしれない。」
「そうですか、それにしても岩ムカデか。うーん・・・」
「急に唸りだして、コウタ。どうしたんだ?」
「いえ、今の話しを聞いて、ちょっと当てになりそうな植物があったかなあと。」
「ほお、何か当てがあるのか?」
「ええ、やってみなければですが。出来たらミミモケに使用される蟲笛を一つ用意してもらえませんか。あとは、やってみたいことがあるので養殖場に連れて行ってもらえればありがたいと。」
「どうするつもりなんだ?」
「自分の持っている植物の種のなかに、音楽を奏でる巨大ユリ”トランペット・リリー”があるんですが。それを使えば、街中に蟲笛の音を常時響かせることができるかと。」
「ふむ、そいつはいいな。俺達が蟲笛を振り回しながら歩き回っても、あいつらも動いているからなあ。集めたい場所から、四六時中の間音が出ているのはいいかもしれん。ぜひやってくれ。」
こうして、コウタ達は一路ミミモケ養殖場へと向かった。
◆ ◆ ◆ ◆
パウロさんと2人で到着したミミモケ養殖場は、直径25メートルほどの石造りの半球状のドームだった。
トンネルの入り口を抜けると、地下に地面が5mほど掘られた広場にでる。
広場の壁面には所々穴が開き、そこからミミモケが逃げて行ったようだ。
「それじゃあ、始めるとしましょうか。」
コウタはそういうと、カバンの中から千草の袋を取り出し、手を突っ込むんで1つの種を取り出した。
手に持った”トランペット・リリー”の種に向かってスキルを発動させる。
スキル”品種改良”。
まずは、発芽してからの一定の時間の間に効いた音だけを記録するように改良。
次に、巨大化。通常は30センチほどにしかならない背丈を、10メートルくらいまで成長するようにする。
最後に、種子の除去と常緑樹化。花が咲いても実をつけず、常緑樹となって枯れる事がないようにする。
※ここまでの作業時間は、わずか3秒程度。コウタが種を取り出して持っている間に行われている。
その種を持って広場中央に行き、後は鍬で耕してスキル”開花”と”成長促進”をかけて埋める。
「これをここに植えて、ジョーロの水をかけると・・・」
植えてから1分直、径30センチほどの二葉が現れた。
「さあイクサス達、蟲笛を鳴らしてください。」
「おう。」
二葉を丸く囲むように兵士達がならび、細い革ひもの先に穴の着いた蟲笛を、大きく振り回し始める。振り回さる度に特定の周波数の音が響く。
10分くらい続けると、双葉から急速に茎が伸び天井に向かい始めた。
「はい、もう結構です。お疲れ様でした。これで”トランペット・リリー”に蟲笛の音を記憶させることが出来ましたので、あと一時間もすれば成長しきり、この街中にこの音が響きわたるようになります。」
「そうか、ありがとう。とりあえず、蟲笛の音の確認の為に数人の兵士を残してあとは街中に戻るぞ。」
「どうなるかは、明日にならないとわからないですけどね。」
「いや、本当に助かるぜ。コウタは、相変わらずスゲー植物の種もってるな。」
「いえ、これも亡き師匠の遺品ですよ。これ一個しかないんです。」
今回の植物もレア植物に当たるので、当分だせないだけなんだけどね・・
「そうか・・ さてコウタ達は、いったん宿舎に帰り部屋に居てくれ。」
「了解です。」
次の日、コウタの目論見は功を奏し養殖場には、蠢くミミモケで一杯になっていた。
それを見たコウタは、思わず味と見た目のギャップにショックを受けたのは言うまでもないお話しである。
お読みくださりありがとうございます。