βテスト
【エッグワールド】のアップグレードにあたり、βテストが行われる事に。
見事、テスターに当選したコウタ。
さてコウタの行方はいかに・・・・
side テストサーバー
【エッグワールド】内中心地¨エイリーン¨。中世ヨーロッパ的な王道な街である。街の広場には今、百名ほどのプレイヤーが集まっていた。コウタもその中の1人である。
「は~い注目!」
スラリとした女性GMが集まった人びとに声をかける。美人な魔術師キャラのようだ。
「本日は、当社のβテストにご参加いただき、ありがとうございます。GMのミミルです。それではテスト内容をご説明いたします。」
テスト内容は以下の通り。
①今度のアップグレードから痛覚が実装される為、どの程度の感覚をプレイヤーが感じるか?
②自立型NPC(感情のあるNPC)
と対話して、どの程度の対話ができるか?
③ブレスレット型端末の性能調査。既存のステータスバー(HPやMP)と比べての使い勝手はどうか?
「この以上三点が今回のテスト内容です。であ、各自ランダムで決められたらPTで行動をお願いします。解散~!」
集まっていた人々は、それぞれのPTの集合場所に散っていった。
コウタも自分の集合場所である、広場の¨犬を連れた男¨の像までやってきた。像の周りを見ると、すでに他のPTメンバーは到着しているようだった。1人は、赤髪のウルフカットをした戦士の男。1人は、銀の長髪を後ろで縛った魔術師。1人は、薄桃の髪を肩まで伸ばした、神官の女の子がいた。
「こんにちは、はじめまして。非戦闘員で栽培師のコウタです。」
コウタをかわきりに自己紹介を始める。
「まず、俺から。戦士のアキラだ。サブは調理師だ。ヨロシク!!」
なるほどアキラは戦士らしく、百九十センチの長身に、引き締まった肉体。その上に、レザーメルを着こなし、腰にはロングソードがさしてある。190cm近い長身だ。
「じゃあ次は拙者でごさるな。メインは魔術師でサブは細工師をしておる、マコトでごさる。宜しくお願いもうす。」
片手にスタッフを持ち、全身は紺のローブに身を包んだ、細マッチョ。新潮は、百八十センチ位かな。うーんクールだ。
「次は、わ、わたしですね。メインは神官でサブは薬師のモエで、です。よろしくお願いします。」
メッチャ、かわいいなぁ。155cmくらいかな。白いローブにメイス。ちょっとミスマッチだけど、そこが素晴らしいw
各々紹介をすませて今後の予定を決める。概ね予定は次のように決まった。
まず街で各自装備を揃える。ここでNPCの反応をみる。
↓
次に、合流して簡単なクエストがてら戦闘。痛覚や戦闘エフェクト、ブレスレット型端末などの確認をする。
そんなわけでコウタも農民ではあるが、戦闘に備えて武器店に着ていた。
店にはいると、坊主のヒゲオヤジが出迎えた。
「いらっしゃい。何かいるか?って、ガキか・・チッ」
「あのうすみません。自分でも使える武器ありませんか?」
「やめとけ、やめとけ。オメーなんか外でたらすぐ死んじまうから。冒険者かぶれはやめとけ」
取り付く島もなく、シッシッと追い払われる。
「あ、あのう~。こう見えても冒険者ですが… 」
慌てて冒険者の証を取り出す。
「ふむ、確かに冒険者だな。」
少しまだ納得行かないようだ。 うは、感情豊かすぐる。
「え~と確かに、戦闘は苦手です… 」
戦闘センス皆無のコウタである。武器屋のオヤジはガサガサと倉庫奥を探すと、カウンターに戻ってきた。
「ほらよっと。オメーに使えるのは、こんなもんだ。」
カウンターの上には、質素な木とか革でできた¨スリング¨だった。紐の先に受けの皮袋っぽいところがあり、そこに弾などの入れて、振り回して敵に投擲する武器である。
「おもちゃですか?」
子供の頃にみて馴染みのある物に、度惑いを隠せない。
「うんにゃ、ボウズ。ちょっと付いて来い」と言ってオヤジが店の裏庭に向かう。どうやら実演して見せるようだ。オヤジが鈴カステラほどの弾を装填すると、30メートル先のカカシに向かって振りかぶる。
ビューン、ゴキ。とスリングから放たれた弾は、勢いよくカカシにあたるとカカシの骨を折り、首をぶっ飛ばした。
「スゴい。結構威力あるんですね… 」コウタは驚いた。
「まあな。少しスピード補正の刻印はあるからスピードはでるぞ。ただ基礎体力によるダメージバランスがある。」
「つまり、オヤジさんが使えば、骨を折る位の威力だが、僕が使ったたらそんなに強くない?」
「おう、その通りだ。オメーじゃ運が良くても、敵を気絶させられるくらいだがな。まあ売れ残りだから、5000Gでいいよ」
「う~ん。剣だめだったし、まあ無いよりはいいか。うし、買った!」
「まいどあり♪まあ、弾は鉄~小石位まで使えるから。サービスで鉄の弾100発つけてやるよ。」
「ありがとう~ 」
こうしてコウタは¨スリング¨を手に入れ、店をあとにしたのだった。
コウタの武器は¨スリング¨に決まりました。
次章は戦闘に入ります。