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第3章 アズール周遊記編 (アズール風土記)

この章から、アズール各地を周るお話を書いていく予定です。風土記などと大層な副題がついていますが、ほんとに書けるか心配です・・


おはようございます、コウタです。いまだ夜明け前の街中を走って、待ち合わせの船着き場に向かっています。少し寝坊して遅刻しそうです。


「ハァハァハァ・・・」


さすがに、ポータルから船着き場までは少し距離があるので息があがります。やっとこ船着き場が見えると、長さが5メートル幅が2メートルほどの木製の船の上に、イクサスさん達がすでに乗っていました。


「おはようございます。遅くなってすみません。」


とりあえず、遅刻はしなかったのですが、一番最後に到着になってしまったので謝りました。


「おはよう、コウタ(殿)。ギリギリ大丈夫だ(だのう)」


元気よく挨拶をすると、イクサスさんとアビシャさんから挨拶が帰ってきます。


「今日は、ありがとございます。足手まといにならないように気を付けますので、よろしくおねがいします。」


「ああ、いいってことさ。それはそうと、コウタに1つお願いというか、言わなくちゃいけないことができたんだが・・」


イクサスさんが、バツが悪そうにはなしてきます。


「なんですか?」


「それがだな、急で悪いんだが、農業省のお役人が同行したいといってきたんだ。」


「いいんじゃないですか?」


「いや、その・・ なんでも、コウタの各地を見て周った意見を報告書にしたいんだとさ。」


イクサスさんは、急になったことらしく少し、すまなそうだ。


「はい、わかりました。大丈夫ですよ。少しでもお役に立てるなら。」


ふむ、これはどういうことかなあ。まあ、台地の開拓の件で国から注目されている事はわかるんだけどね。ただ、純粋に国益を考えて同行しているのか、または特定の議員・勢力からの探りなのか。僕の動向で自分たちの利権が大きく動くと思って、監視かな。特に、農業関係の議員は、自分の政策で地盤が栄えれば、自分の選挙地盤も勢力も拡大できると思ってる人もいるだろうしな。ここは、新調にいかねば。


「そうか、すまんな。助かるよ」


「いえいえ、こちらも無理を言って同行させてもらってるので、いいですよ。」


「さっそくだが、紹介しよう。こちらが、農業省のパウロさんだ。」


そうイクサスさんが言うと、綿の少し上質な布の服に茶色のマントをまとった30前半の優男をつれてきた。イクサスさんが、肉体派のイケメンならこっちは知的なイケメンか。服の袖に臙脂えんじ色の横線が染められている。臙脂えんじの線を施した服は、官吏が着る服らしい。


「はじめまして、ご紹介いただいたパウロと申します。コウタ殿のご高名は聞いておりますよ。」


そう言って、パウロが握手をしてくる。


「コウタと申します。高名とは大層なことで。過分なお言葉です。」


「なにをおっしゃいますか。お1人であの荒れた岩の大地を開拓されたとか。それに、とても珍しい植物を育てているなど。噂は、農業省の中ではあちこちから聞こえてきますよ。」


「そうですか、どのような噂かは存知ませんが・・ 珍しい植物については、亡き師匠の物でして。師匠への誉れとして受けとらせて頂きます。ありがとうございます。」


「お若いのに、礼儀正しいですね。色々ご苦労もなさっているとか。」


「おおよそ、お聞きかもしれませんが。天蓋孤独の身の上でして、確かに苦労はしているかもしれません。しかしイクサスさん達とか、みなさんに良くしていただいておりますので。」


「そうですか、今回あったのも何かのご縁ですし。何かありましたら、相談に乗りますよ。」


「はい、ありがとうございます。」


そんなこんなで、パウロさんと社交辞令合戦を行っているといよいよ船の出発の様だ。


「おい、人と荷物は確認したか?良かったら出発するぞ~」


イクサスさんが声を張り上げている。船上を見渡すと、木箱や樽が置かれ総勢6人ほどの様だ。


「隊長、全員乗りました。」


1人の若い兵士が返事をする。


「それじゃ、出発だ。帆をあげろ~」


こうして掛け声とともに、船は桟橋を離れ穏やかな河の流れに身を任せていく。

お読みくださりありがとうございます。

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