閑話 旅の支度(コウタの準備日記)
◆イクサスさんと話してから旅の準備をするコウタ◆
準備開始1日目
今日は、ずいぶん前に作ったドームにやって来てきました。あれから連絡があって、ロナウへの任務に同行させてもらえることになり、 なんでも河と陸路を合わせていくそうです。その間には、何日間は野営をしなくちゃいけないとこがあるとか。だから、野営の準備だけしとけといわれました。
それで冒頭にもどります。今日は野営、とりわけ旅路で必要な装備を準備しようと思っています。
まずは洗い晒し(買ったまま)の装備を草木染で染めたいと思います。これは、使っていくうちに毛羽立ってくるのを防止して衣類を丈夫にし、なおかつ色を付けて少しでもオシャレにするためです。
以下、麻の繊維としての性質。
長所: 通気性が良い。水分の吸湿や発散に優れているため、清涼感がある。
短所: しわになり易い。保湿に乏しい。
さて、今回は草木染の一種と厳密には言えるのかわかりませんが、植物の渋を利用した物を行います。
その名も”ズムリ染め”です。ズムリとは背丈の低い落葉樹で、見た目は日本に生えている、スグリに似た感じです。熟すと丸くてちょっと大きいイクラのような紅い実がなりますが、熟す前は青くとても渋いです。ズムリ染めは柿渋をヒントに考案してみした。柿渋自体はよく祖母がやっていたので、同じく渋いならできないかとためしにやってみたら、上手くできました。性質も柿渋に似ているようです。染まった色は、桧の皮の様な茶色を薄くした感じかな。本当は、採った渋を発酵させたほうがいいと思うんですが、今回は面倒なのですぐ使いました。
注記:(柿渋は、日本に古くからある染料・塗料です。防腐効果があるので、柱などに塗って使ったりしたそうです。あとは、使う媒染によって、黒ぽくなったり、茶色・オレンジといった風になるとか。最後に、衣類を丈夫にしたかは、創作部分なので本当のところわからないです。)
じゃぶじゃぶとつけて、染めます。しばらくつけておきます。ふう・・・疲れた。
(本当は、糸か布の時に染めて水洗いするの物らしいですが、今回はファンタジーとことでご容赦ください。)
準備開始から2日目
今日は、庭園にあるもの採取にきました。久しぶりに庭園の奥の方まできましたが、魔境っぽくなってました。ここは人造の森なのですが、鳥とかがちらほらと見受けられました。暗くてちょっと気味が悪いです。さて、お目当ての”月光樹”のある場所にきました。この樹は月の光を浴びて育つ樹で本来はゴルドーラの奥地に生息していて、月桂樹に似ています。葉は、銀色の網状で、見た感じアルミで出来ている様な感じを受けます。葉も見た目の様に、結構丈夫です。葉をもぎ取るとたちまち色が変色して、茶色になってしまいます。この葉は、熱を反射させる性質があるので、マントに縫い付けて日中は暑さ対策、夜間は保温対策に使う予定です。
準備開始から5日目
今日は、干してあった装備を水洗いして、干します。乾いたら、茶色い布の服とマントの完成です。
パチパチ・・・ (自画自賛)
準備開始から9日目
ふう、6日目から縫い付けはじめましたがやっとこ、縫い終わりました。結構大変です。細かく縫い付けたらマントがなんとなくボコボコになりました・・ うーん、いまいちだあ。
準備開始から10日目
今日は、庭園で取れるスナナツメやドラゴンフルーツもどきを干しています。非常食の予定です。でもカピカピだと食べたら喉が渇きそうです。
準備開始から11日目
今日は、街にカバンと水筒を買いにきました。いつものごとく、薬屋さんで薬草を売ってお金をつくります。カバンは、アイテムバックがあるのでいらないんですが、この世界ではそんなアイテムは存在しないらしいので、カモフラージュに買いました。水筒は、なんかの動物の胃袋でつくっってありました。飲むとき臭うかときいたら、大丈夫だといわれました。一安心です。
(カバンの大きさは、あまり大きくない肩掛けの物です。大方の物資自体は軍の人がもってくるので大丈夫だそうです。)
準備から18日目
ふう、おおよそ半月間。結構いそがしく動きました。いよいよ明日はロナウに向けて出発です。遠足みたいにワクワクしますね。
追記:この章に出てくる創作植物
ズムリ: スグリ似た落葉樹。熟すとイクラ見たいな紅い実をつける。青いときは、渋く染物の使う。
月光樹: 月桂樹に似た樹。葉は銀色で網目状になっている。もぎ取ると茶色になり、熱を反射する性質がある。