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世界の絆  作者: NANA
Ⅰ別世界
7/35

(7) 楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまって。

 楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまって。

「まぁ、そんな事はどうだっていい。さぁ、早速遊ぼうじゃないか」

「うん!!」

 ユウは優奈をひょいと持ち上げると、壁に設置されてあるレバーを下ろした。すると、ゴゴゴ・・・という低い音と共に、床に大きな穴が開いた。急な階段が中へ続いてあるが、真っ暗でその先は見えない。

 ユウは隅に置いてある小さな机の上にある、少し埃を被ったランプに手を(かざ)した。

 すると、小さな灯りがランプに出現し、やがてそれは威力を増し、部屋全体を淡く照らし出すものになったのだ。

「!!どうやったの?」

 驚く優奈を得意げに見下ろし、ユウは言った。

「これが私の力・・・魔術っていうんだ」

「へぇ、凄いねっ」

 ユウは微笑むと、優奈を抱いている腕とは反対の手でランプを持ち上げ、階段を下って行った。

 その場所は、とても広いようで、ランプの灯りが届く範囲に向かいの壁は見えなかった。

「んー、さすがに暗いか・・・」

 ユウはランプ下に置くと、すぐ側の壁に付いているスイッチを押した。すると室内は突然、眩しい太陽の光が当てられたかの様な白い空間になった。

「眩しすぎ・・・」

 ユウはスイッチを様々にいじり、明かりを落とした。室内は、遊ぶには丁度良い明るさになる。

 優奈は、その部屋の景色を目の当たりにすると、感嘆の声を漏らした。

 そこはまるで外の雄大な自然と変わらない景色なのであった。床である筈の場所は草で覆われていて、様々な花が咲き乱れ、蝶がひらひらと舞う。天井である筈の場所は、本物の様な空が広がっている。これもユウの魔術なのだろうか。いや、そうに違いないだろう。

「ここでなら、楽しく遊べるなろう?」

 ユウはそこで、手を二回パンパンと叩いた。すると、どこからともなく二頭の小さな馬が駆けつけて来たのだ。

「乗ってみて。とても気持ちが良いんだ」

 それから二人は、広すぎるその部屋で様々な事をして遊んだ。草原を駆ける馬の乗り心地は最高だし、湖には信じ切れない程大きな魚が泳いでいる。また、様々な種類の動物がそこでは生活していた。

「ここって・・・最高だね」

「でしょう?もし良かったら、いつまでもずっと、ここに居てもいいのだよ」

 しかし、優奈はユウのその誘いには乗らなかった。

「残念だけど・・・もう家に帰らないと。お母さん、きっと心配してるだろうな」

 優奈のその言葉に、ユウは顔を下に向ける。

「そう・・・。また、来てくれる?」

「うん!いつでも呼んでよ」

 ユウは突然顔を上げ、嬉しそうに笑った。

「本当?嬉しい!・・・じゃあ、またね」

「うん、またね」

 優奈の意識は除々に薄れていき、やがて目の前が真っ暗になった―

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