(1) 別れ。もう戻れない・・・
別れ。もう戻れない・・・
「ちょっと待ってよ!!私、もうちょっとここに居る!!」
「駄目だよ。お母さんが心配してる」
「お母さん・・・?そういや、ユウの家族は?」
何とかここに留まりたいがためにそんな事を訊いてしまい、優奈は少し後悔した。ユウが俯いてしまったからだ。
「私は生まれた時からこの莫大な魔力を持っていてね・・・・・・成長するにつれてその力は様々な悲劇を生むようになっていたよ。そしてついに、自分の父親をこの手で殺めてしまった。それも、私が眠っている間に、だよ。
・・・次は自分が殺されるんじゃないかと恐れた母親は、私を特殊な包帯で縛り、どこかへ逃げてしまったんだよ」
「そんな・・・・・・」
「包帯はね、私が成長するにつれて解けていったよ。私がどんなに無理やり解こうと思っても解けぬその包帯が私の成長と共に解けてゆくのは怖かったよ。私の力がどんどん大きなものになっているって気がしてね・・・」
「ごめん、悪い事訊いちゃった」
優奈は何も聞いてない、とでも言う様に自分の耳を塞いだ。
「・・・・・・ふぉ」
瑠華はこの場の空気に耐えられず意味不明な言葉を漏らす。
「そんな事はいいんだ。もう帰る準備はいいね?」
優しくユウは話しかける。
「え・・・・・・、また、ここに呼んでくれるよね?」
涙声で優奈は上を見上げる。
「それは無理だ。私はもうするべき事をしたし、別世界の者をもうこれ以上巻き込むわけにはいかない。君も元の世界で自分のするべき事があるんだろう?」
ユウは、自分にもそう言い聞かせていた。
「うん・・・・・・」
残念そうに優奈は頭を下げた。と、その時。