(4) 追いかけっこと睨み合い。
追いかけっこと睨み合い。
しかし、数分待っても起動しない。
「・・・・・・?」
その時、控えめに扉が開かれると、外から瑠華が入って来た。
「え・・・?!ど、どういう事?」
その姿に司は絶句する。
「瑠華!!何故ここに・・・」
「それは私の台詞よッ!」
時は少しだけ遡り。
(そろそろだ・・・)
瑠華の部屋の時計を確認した優奈は、棚の上から飛び降りた。金属なので、大きな音がした。
「・・・?!」
瑠華は見た事のないその人形を不思議な顔をして見つめる。
「ついて来なッ」
そう叫んだ優奈はスタスタと扉の方へ。
「きゃ!!」
ありえないその光景に瑠華は声を上げるが、そこはまだ幼き少女である。好奇心に負け、優奈の後を追う。
「ここ、開けて!」
優奈は扉を激しく叩く。瑠華は言われた通りに開けた。
「さぁ、急げッ!」
ダッと走り出した優奈に負けじと、瑠華は動き難い衣装でありながらも早足で通路を駆ける。
そうしているといつの間にか優奈と瑠華はとある部屋の前まで来ていた。そこで優奈は突然倒れ、まるでただの人形であるかの様に動かなくなった。
「・・・・・・?ここに入れば、いいの?」
瑠華が控えめにその扉を開くと、そこには黒フード達や謎の白い少女、そして自分の父親である司が居た。
「え・・・?!ど、どういう事?」
その姿に司は絶句する。
「瑠華!!何故ここに・・・」
「それは私の台詞よッ!」
瑠華はそう吐き捨てると、白い少女―ユウへ駆け寄る。
「この子・・・・・・どうするつもりよ?!」
自分より年上であろうユウをかばう様に前へ出た。
「瑠華、B73に近づくなッ」
司は必死に瑠華とユウを引き離そうとする。
「うるさい!!お父さんなんか嫌い!!」
叫びながら瑠華は涙をその目に滲ませる。
「な・・・・・・お父さんの、どこがいけない?」
多少のショックを受けた司は少しだけ声が甘くなる。
ここぞとばかりに瑠華は泣き崩れ、
「お父さん・・・・・・もう、止めてよ。私、別にお父さんがこの世界のトップになっても嬉しくないし・・・、土地なんて一つもいらない。・・・私はね、お母さんがいない寂しさが・・・世界が手に入る事で紛れると思ってた。・・・・・・だけど、さ。そんなの実は全然嬉しくなかったよ・・・」
涙を拭って顔を上げ、瑠華は笑顔にも似た表情を出した。
「でもね、今はお友達が出来たから・・・・・・私はそれでいいの。お父さん、お願い・・・止めて」
「瑠華・・・」
司はまじまじと優奈の顔を見、
「行くぞ」
その場を黒フード達に囲まれ、後にした。
「瑠華、よくやった」
僅かに開いていた扉の隙間からその光景を見つめていた優奈は、急いでユウと瑠華しか居なくなったその部屋へ入る。
「ユウ!!」
ユウの足元へ駆け寄り、嬉しそうに声を上げた。
「優奈、かい?」
「ユウ、私・・・・・・別世界のあなたがその世界を滅ぼしてしまう瞬間に、この世界へ飛ばされたんだよ」