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世界の絆  作者: NANA
Ⅳ破滅
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(5) 作戦失敗、そして・・・。

 作戦失敗、そして・・・。

「・・・さて、どうやってこれを運ぼうか・・・」

 紙の重みは感じないが、このままでは動き難い。器用に足を使って、数度折り畳んだ。ここからは決して人に見つかるわけにはいかない。紙を持っている蝶なんて、それだけで皆の注目の的となってしまうだろう。

 部屋の扉は優奈がギリギリ通り抜けれる程度に開いており、そこを抜けて天井付近へ移動する。

「ここからは誰も頼れないんだ・・・・・・」

 自分にそう言い聞かせ、魔術研究室のある二階へ向かった。

 すると、何とタイミングの良い事に黒フードの人物が部屋へ向かっていた。背丈などから判断し、先程の人物ではないようだ。優奈は急いでその肩に止まる。先程ここへ来た時よりも、容易に部屋へ入る事が出来、優奈は安堵する。

(後は、この二枚の書類を入れ替えるだけ・・・)

 例の極秘ファイルが広げてある机の上に舞い降りると、優奈は自分の持っている偽者の書類を丁寧に広げようとした。が、その矢先、ガチャッという扉の開く音と共に、もう一人の黒フードの人物が部屋へ入って来た。優奈は驚き、思わずその反動で偽造した書類を地面に落としてしまった。下手に動いて見つかってしまう事を恐れ、優奈は机の隅に身を隠す。しかし運の悪い事に、その黒フードは優奈が隠れる机の前までやって来たのだ。

「ん・・・?」

 優奈と男の、目が合った。

「これは・・・・・・」

 しわがれた声である黒フードの男は、優奈の羽を摘み上げる。

「ふむ、我らの作戦を邪魔する者、か」

 特に驚いた様子もなく、そう呟いた。

「破滅せよ」

 男の声が優奈の耳に届いたかと思えば、優奈はもう――何を視ることも聴くことも、感じることですら出来なくなっていた。粉々になった黒い蝶の羽が、宙を舞う。

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