(3) 私はこの世界の救世主。
私はこの世界の救世主。
その部屋はどうやら壮一自信のものであるらしく、簡易なベッドにクローゼット、そして少し大きめの机の上には大きな機械が乗ってある。画面付属しているそれは一見すると大型のパソコンの様だが、それにしても大きな物であった。
「これは俺愛用のコンピューターだ。この中に基地の全ての情報が入っている。もちろん其の事は俺しか知らないが」
壮一の淡々と話すその口調は、瑠華や他の人に接する時の口調とは随分違っていた。
「・・・どうしてそんなモノを?」
壮一は薄く微笑むと、
「一流執事の特権ってやつだ」
そう言い、キーボードに素早い手つきで何かを入力した。少しするとコンピューターは独特な音を発しながら起動する。
「さて。この一流執事に、何か手伝える事はあるか?お前の発言次第でこの世界の運命が変わるかもしれない。この基地内の事なら、俺に出来ない事はない」
優奈は突然の話の展開に戸惑う。もしかしたらこの人は、この国のトップよりも凄いのではないだろうか。
「え・・・と。あの、どうして私を手伝う事にしたの?」
「ふん、俺はここに来た時からもうこの世界は終わるものだと確信していた。それはお前が現れてからも変わらなかったが・・・いつしか、お前を見ていると世界の運命を変える事が出来る様な気がしたんだ」
優奈は満足そうに、
「つまり私はこの世界の救世主、ね」
そう言った。
「俺の力が無ければ何も出来なくて口うるさい、ただの虫じゃねェか」
しかし壮一は冷たく言い返した。
「まぁ、執事とは思えない言い方。その口調で瑠華ちゃんなんかにでも話しかけてみなよ」
「は、勘弁」
優奈はその様な会話の中で、口こそ悪いが壮一を信頼するようになっていた。