(7) 家族の再会、少女の嫉妬。
家族の再会、少女の嫉妬。
その瞬間、水谷家三人は目を丸くし、喜びのあまり抱き締め合った。
この光景を見ながら、何故か瑠華の笑顔は白々しく、どこか寂しげなものであった。
「良かったわね・・・」
台詞も棒読み、声すらあまり出ていなかった。
食事会は一度中断し、水谷家と瑠華、瑠華に抱かれた優奈と、そして壮一との六人は地下にある収容所へと向かった。
階段を降りると、通路に幾つもの収容室へ入る扉が設置されている。
(ユウに会える!!)
この時優奈の緊張は最高潮であった。しかし、一体どうやってユウを助け出そうか、考えてはいなかった。
「こちらの収容室になります」
壮一が案内したその部屋に入る。強固そうなガラスの壁の向こうに、楓と燐の父親が居た。彼は愛しい家族三人の姿を認めると、急いで駆け寄ってきた。会話をするための、幾つも開いた小さな穴の奥から、彼の言葉が聞こえる。
「三人共、無事だったか・・・俺はこの通り、捕まってしまったんだ」
「お父さん・・・!私たち、彼女に助けられたの」
楓は隣に居る瑠華を紹介する。
「どうも。この国のトップ、神山 司の娘、瑠華よ。私はお父様のやり方に反対してるから、いつかきっとここから出してあげる。その時まで待っていて頂戴」
さらりと瑠華はそんな事を言った。
「ああ、感謝するよ。殺されるかと・・・思ったよ」
「死んでれば良かったのに」
その時ぼそりと呟いた瑠華のその言葉は、彼女の腕の中の優奈にしか聞こえなかった。
(・・・!!)
優奈は彼と瑠華の将来を心配する。
「さぁ、ここは家族水入らずの場ですから・・・そっとしておいておきましょう」
もしかしたら、先程の発言は壮一にも聞こえていたのかもしれない。壮一は瑠華を促して部屋を出る。
「ふん、何よッ」
瑠華はお嬢様である立場にはそぐわない強い発言と共に優奈を床に投げつけ、走って場を後にした。
「お嬢様、お待ち下さいッ」
壮一も後を追おうとしたが、一度立ち止まって優奈を振り返った。
「お前が出来る事は、もう何も無い。せいぜい無駄に足掻けよ、小娘」
そんな言葉を吐き捨て、何事も無かったかの様に瑠華を再び追い、姿を消した。
「何よあいつ・・・私、絶対この世界を救うんだから」