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第22節 神崎 冬香

そういえば、合計文字数が十万文字を超えてました。

ラノベに換算すると、ざっと200ページ分。

少し感慨深いものがありますね。

私の目の前には頭の悪そうな男が2人。

頭の悪い内容の台詞に頭の悪いしぐさ。

本当にうんざりする。


「で?

黙りこくってないで謝れやっ!」

「あ、そーれ、ど・げ・ざ!ど・げ・ざっ!!」


ニタニタと何が面白いのか。

対して見ていたくもない容姿に加えて、醜く歪むその顔についつい視線を逸らす。

それを見て何を勘違いしたのか、より笑みを深めた2人の男。


「少しぶつかっただけ。

それに謝った。」

「誠意が足りねぇってんだよ。」

「もっと愛想良く出来ないのかって話だっつの!」


コレだから男の子は嫌いだ。

中学生になっても対して変わらず幼稚で稚拙なまま。

もちろん、私が大人っぽいと言いたい訳ではない。

ついこの前まで小学生だったのだから子供っぽくて当然。

ただもう少しどうにかならないのかと思うだけだ。


「話がそれだけなら話しかけてこないで。不愉快。」


教室にいる他のクラスメートは見て見ぬフリをする。

それもそうだろう。

目の前の2人は担任も手を焼いている不良児だ。

とはいっても中学一年である彼らの悪事など、せいぜいがちょっかいを出しすぎるというだけのもの。

担任としてもあまり問題視にせず、強めの注意で終わっているがこうした類の頭の悪い子供がその程度で反省するはずもない。親の顔が見てみたいものだ。

担任の先生からしたらいろんな意味で見たくはないのだろうけれど。


「ちょっとこっちこいよ!」

「っ!?

痛い、離して。」


ついには手を出してくる始末。

腕を強くつかまれて引っ張られる。

女の子の私に対してここまで強引なのはいかがなものかと思わずには居られない。

周りには助けてくれる人はもちろんいない。

もともと対人関係に苦手意識を持ってる私としては当然のことで、気を遣ったり空気を読むといった行為は一番の不得意分野である。

それ以上に私の容姿は平均水準よりもかなり上らしく、愛想の無さと相まって近寄りがたいのかなとぼんやりと理解していた。

同性からはお高く纏まって鼻につくといったところで、この状況を見た同性の視線は喜色すら見れた。

そもそも助けてもらうつもりはなどないから別に良い。

誰かにお礼を言うのは苦手だし、自分のことで迷惑をかけることも好きではない。


とはいえ授業が始まるにはまだ大分早いし、先生も来ない。

この男の子達が何をしたいのかは分からないが、一度殴られてやれば気が済むだろうか?と考えてもいる。

そんな中、私の腕を握るバカな子達の腕を掴む手が横からぬっと伸びた。


「え~っと。間違ってたら悪いけど・・・

その子嫌がってるよ?」


微妙に緊張した様子で1人の男の子が私を助けてくれた。


「て、てめぇ。

包帯野朗が何のつもりだっ!?」

「そうだそうだっ!

たっくんに反抗するとは生意気だぞっ!!」


程度の低い怒号に、助けてくれた男の子は少しビクッとしたけれどその目に弱い影は無かった。


「そ、それ以上やるなら僕が相手になるけど?

というか、席に戻るのに邪魔だし、皆も迷惑するとおもうよ。」

「・・・ちっ!」

「いこうぜっ!!」


頭の悪い2人組みは男の子のその言葉に少し青ざめてその場を後にした。

「大丈夫?」


という男の子は確か山瀬 響と最初のHRの時の自己紹介で言っていた気がする。

部活紹介の集まりのとき、剣道部の実践体験という名目でたまたま指名されて、完膚なきまでに相手を叩きのめしたことでクラスメートから避けられてる男の子である。

全国出場したとか言う中学3年の剣道部員相手に初太刀で小手を決め、「あれ?この人僕より弱い?」と呆気に取られた様子で呟いていたのを私は聞いた。

ついでに「姉さんとしか試合したことなかったから、てっきり僕はとても弱いと思ってたんだけど・・・手加減かな?でも、本気っぽかったしな・・・・」とも言っていたのを私は聞いた。

その剣道部員は骨折しており、いろいろな意味で衝撃的な中学生デビューを飾った男の子である。

さらにはその特異な見た目ーーーーー包帯を常時付けているところもまた不気味さと共に怖いところでもある。

そのせいでクラスでは浮いており、目だった虐めこそないものの、私と同じく友達は1人もいそうになかった。


「助けなくて良かった。」


そんな彼に私は突き放すような態度を取る。

彼を怒らすかもしれないと内心、少し怖かったけれど私にかまっていたらそれこそ友達が出来なくなる。

私はクラス内で嫌われていると自負している。

そんな子に味方する子がどうなるのかなど分かりきっていることだ。

そうなると少々寝覚めが悪い。


「ご、ごめんなさい。」

「今度から気をつけて。」


これだけ言えば、かまってはこないだろうと思いその日はそれ以上会話をしなかった。

ただ、私の日々は少しづつその日をキッカケに変わっていく。

早い話、彼が挨拶をしてくるようになったのだった。

初めて会話をしたあのキッカケから1週間後。

私の機嫌を図る様に彼は簡単な自己紹介をする。

「え~っと・・・僕の名前は山瀬 響って言うんだ。

君は確か神埼かんざき 冬香ふゆか・・・ちゃんだよね。

僕のことは好きに呼んでくれてかまわないよ、神崎さん。」

「なれなれしいのね。」

「ご、ごめんなさい。」

「今度から気をつけて。」


1週間前にも似たようなやりとりをしたな。とふと思ってその日は何も話すことなく終わった。

また1週間後。

この間は席が隣だというのもあって毎日朝の挨拶をしてきたので、礼儀としておはようくらいは言った。

そして掃除当番として一緒になったとある日。

「ち、ちりとり持ってくるよ。」

「もう持ってきてある。」

「そ、そう?」

「そう。」


このくらいの話は普通にするようになって、ちょうど2人きりだったということもあって私は前々から聞きたいことを聞いてみた。

友達を作りたいなら私ではない、もっと明るい子を作れば良い。

彼女が欲しいなら私のような気難しい(という自覚はある)女の子ではなく、もう少し簡単なーーーと言っては言い方が悪いが、簡単な女の子を狙えば良い。

見た目が好みとかだったら仕方ないけれど。

でも後者の理由であって欲しくないという思いも少しある。なぜかは説明できないけれど。


そうした私の疑問に予想の斜めを行く答えを貰ったのを今でも覚えている。

「寂しそうだから、できれば友達になってあげたいなって。

も、もちろん!

僕自身友達が欲しいのもあるけど、それが・・・最初に思ったことかな。

その・・・・偉そうだし、なれなれしいのも分かってるけど・・・」


わたわたと腕を振り回しながら顔を真っ赤にして言う彼は可愛かった。

友達になりたい。ではなく友達になってあげたい・・・か。

余計なお世話とは思う。

でも、不思議と不快感は無かった。


この頃からよく一緒にいるようになり、現在高校二年生となった今でもその付き合いは続いている。

ただ、そんなある日。

一度彼が私から妙に距離をとったことがあって、その数日後。神妙な顔でこんなことをたずねてきた。

”自分にビビって嫌々一緒にってことは無いよね?”と。

あまりにばかばかしい内容で言い回しは愚か、内容もすこしおぼろげにしか覚えていない。

この言葉を聞いたときは初めて声をあげて笑った気がする。

確か、彼女の姉と包帯を毎日のごとく付けている理由を知った次の日くらいから避けられたからきっと”僕が怖くて話をあわせてるだけじゃないか?”みたいなバカバカしい勘違いをしたのだろうと私は思った。

男の子はやっぱりバカである。

そんな彼に私はただ一言。

笑顔で「バカね。」とだけ言ってあげた。

自覚して欲しい。


ただそんな悪くは無い甘くはない青春を送っている日々の中。響が連日休むと言うことになった。

今では2週間以上も欠席している。

メールの一つはあってもいいと思うけれど、私の携帯にそれらの通知はない。

いつも、話していた男の子。

いつも、そばにいてくれた男の子。

いつも、気遣ってくれた男の子。

それがたかだか数日あえないだけで不安が募る。

胸の中でどんよりとした暗雲が立ち込めて、快晴でも私の心はもれなく大雨だった。


最初の頃はただの風邪だと思って気にしなかった。

いちいち病気のことをメールで報告するような男の子じゃないし、お姉さんのことを聞いていたからちょっと深手を負ったくらいかな?と思っていた。

あのお姉さんはなんだかんだで弟の彼を大分溺愛しているのがわかるから、(本人は分かってないようだが)万一にも死ぬことや取り返しのつかないことにはならないだろう。

1週間ほど休んだ頃に担任から彼は家の事情でしばらく休学することになったという話を聞いた。

私はそのことに驚いた。

内容ではない。

私に対して連絡の一つもくれなかったことに驚いたのだ。

少し・・・いや、かなり悲しかったけれど、言いにくかっただけかも知れないしまたいつか会えると思ってあまり気にしなかった。

ただ、一日、二日、三日と経つごとにもう会えないということにストレスを感じ始めるようになる。

彼のいない学校はとてもじゃないがつまらない。

行く意味なんて微塵も無い。

そんなことまで考え始めていた。

ここまで依存していたのかと自嘲するも、悪くはないという気分である。


ただ、それは3日目までで話を聞いて4日目くらいになると「友達の私にくらい話してくれても良いじゃないか!」という怒りに変わり初めて休学が発表されてから一週間後の今日。

響の家に向かった。

数回ほど遊びに行ったのだけれど、お母さんは40間際とは思えないほど若々しく綺麗で、お姉さんは響が話すような狂人などとは欠片も思えないほどの麗人である。


お姉さんは私を響の彼女として目の敵にしているような節が見受けられるが、私にそんな気があったとしても彼のほうにその気はないだろうから安心して欲しい。

そもそもそういう関係になりたいとは思っていない。

少なくとも今のところは。


家に着くと快く響のお母さんと私の来訪に過度に反応したお姉さんが出迎えてくれたが、話を聞くと行方不明だという。

なぜ警察に届出を出さないのかと聞くと。

「あの子が誘拐されたとは思わないのよねぇ。」

「私もそう思うわ。」

というのが2人の見解だ。

2人によると、響自身は自分を凡才極まりないと思っているらしいが彼はあれはあれで鬼才であり、それは姉の実力にちょっとした努力で追いつけることが証拠となっている。らしい。

誘拐犯などのなんらかのトラブルに巻き込まれたとしてもかならず自力で帰ってこれるはずだと言っていた。

しかし、現に帰ってきていない。

これが示すのは

「警察でなんとか出来るレベルじゃないと私は考えてるの。」

「私もそんな感じよねぇ・・・夫は夫で内心かなり心配してるらしいけど・・・あの人はツンデレだからねぇ・・・・」

「そ、そうですか・・・失礼します。」


行方不明。

それを聞いて実感がわかなかったけれど、一つだけ分かったことがある。

”なおさら彼の声を聞きたくなった”ということだけだった。


☆ ☆ ☆


私はお風呂を済ませ、響の誕生日プレゼントとして貰ったイチゴ柄パジャマを着用して就寝前となっている。

会いたい。

今すぐ会って話したい。

なんでもいい。

話の内容はどうでもいい。

ただ、彼のそばにいたい。

そばに行きたい。

どこにいるのかは分からないけど、とにかく彼と一緒にいたい。

これが恋愛感情なのか?

自分でもまだ良く分からない。

でも、会いたい。

会いたくて仕方が無い。

そんな私の目の前に白い扉が突如して現れた。

いきなりのことに少し呆気に取られたが、なんとなく。

本能の部分で私は分かっていた。

この扉の先に私の求めるものがある。

そんな確信のもと私はその扉に手をかけた。





異世界の扉へ。


眠気を我慢して書き上げたので若干手抜き気味(笑)

もう少し冬香の心情の変化を書きたかったのだけど、僕の文才ではこれくらいが大体にて普通です。


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