美冬side②
終わりのホームルームが終わった直後に私は鳳凰院さんの方に向かった。
「鳳凰院さん!」
「はい。えっと…君は……ごめんね。まだクラスメイトの名前全員覚えてないから…」
「十六夜 美冬」
「十六夜 美冬さんね!覚えたよ。それで何かな十六夜さん。」
「まだ転入して1日目だから良かったら校舎内を案内しようと思って声を掛けたんだけど…もちろん来ますよね!」
少し驚いた顔をしたけど口角を上げながら「ありがとうございます。お願い出来ますか?」と笑顔で言う。
「付いてきて下さい。」
そう言って私は彼女を連れて教室を出ようとした時に彪牙が視界に入った。
あっ!そういえば彪牙と喫茶店に行く約束をしていたんだった。でも今はそれどころじゃない!早く鳳凰院を殺さなきゃ!その為には「ごめん!彪牙先に行ってて直ぐに合流するから!」
彪牙の反応を見る前に鳳凰院を連れて屋上に向かった。
「ここは屋上ですか?」
「そうですよ。まずは我が学園の誇る屋上からの景色を見てもらうと思いまして。
「ふわぁ〜とても眺めが良いですね!」
「そうでしょう。」
そう言って私も屋上からの眺めを見た。
まだ学園の名前さえ本編では語られていないので私がここで説明しておきます。
本校の名前は白鷺学園高等学校で街の少し高い所に位置してて、屋上から見る景色が街を一望出来る所を自慢にしてる学園です。因みに偏差値は55と至って普通。何故、頭が良い私がここに入学したのかは本編を読めば分かります。
では戻りますね。
ここに来る前に人払いの結界を張っておいたから誰も来るはずがない。今なら背後から不意打ちで殺せる。
そう思い右手にナイフを持ち心臓に突き刺した瞬間普通なら聞こえない音がした。
私は反射的に安全圏まで後方に下がった。
今のは一体…そう思い鳳凰院を見た時に彼女が声を発した。
「へぇ〜…このボクに不意打ちとは《ハーフ》風情が卑怯な真似をしてくれるじゃないか…」
そう言い口角を上げ笑った表情でこちらを見る鳳凰院。
寒気がした。これは私が思っている以上にやばい状況なのかもしれない。
そう思った私はまだ持ってない左手にもナイフを持ち臨戦態勢をとる。
「ねぇ〜…《ハーフ》…元々キミはボクのターゲットではなかったんだよ。けど…キミからヤイバを向けたんだ。だから……コロシテモイイヨネ。」
そう言って上空に無数の火の槍を詠唱する。
次の瞬間、その全てが私に向かって飛んでくる。捌ききれるか…いやこれは避けなきゃ死ぬ!
私は回避行動をとった。しかしあまりにも槍の数が多い為避けきれずに被弾する。
「っーーーーーー!!!!!」
被弾した足から激痛が走る!これはただ火の槍ではないと直感で思った私は直ぐに火の槍を抜き治癒魔法を掛ける。っが!治りがとても遅い。
「へぇ〜治癒魔法使えるんだ〜。中々優秀だね!《ハーフ》だからもしかしたら魔法は使えないと思っていたけど…ねぇねぇ〜!他には何が使えるのか見せてよ!」
そう言って無邪気に言ってくる。
痛くて今はそれどころじゃないのに…けど何もしなければきっと殺される。治るまで時間を稼がないと!
「はっ!そっちこそ火の槍以外の魔法があるなら見せてほしいわね!」
「うん?良いよ!見せてあげる。…何が良いかな〜………あっ!これでどう!」
次の瞬間私の足元から火柱が上がった。
「くっ!!!」間一髪で横に飛んで避ける…っが!避けた所からも火柱がっ!まずい。
「凍れ!」
火柱が上がる前に凍らせて防いだ。
「おっ!火を凍らせるなんて。中々やるね〜…けど〜…ボクとの相性最悪だね!」
「それはやってみないと分からないじゃない!!」
「ふーん…じゃあ〜ここからは手加減なしで相手してあげる!せいぜい直ぐには灰にならずボクを楽しませてね!!!ヒィッヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!」
気色が悪い笑い声が聞こえたと思ったら最初に打ってきた槍よりも大きい槍が無数に飛んできた。すかさず魔法を詠唱する。
「氷塊よ、打ち落とせ!」
私も無数の氷塊を槍に向かって打ち込むが相手の方が火力が圧倒的に上で数も多く私は相殺しきれず被弾してしまう。
「きゃーーーーっ!!!」
被弾して無惨に転がる私。実力が違い過ぎる…このままでは死ぬ。
「もう終わり〜…ねぇねぇ〜折角相手してやってんだからさぁ〜……早く立ってボクをもっと楽しませてよ!」
くっ!もう激痛で意識が朦朧として…
「はぁ〜…まぁ〜良いや。もうコロスネ…じゃあ〜ね《ハーフ》。」
そう言って一本の巨大な槍を形成した。
もう…私に相殺出来るだけの魔力は残って…ない……嫌だ!こんなところで死ぬなんて…誰か…誰でも良いから……助けてよ!!!
その時屋上の扉の開く音が聞こえ誰かが私の前に立った。見上げたら逆光だったけど何となく誰が来たのか分かった。
美冬side②終
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