13 話
街に出たオレ達は元々放課後に美冬と行こうと約束していた喫茶店に行く事になり、今この店の人気メニューのパンケーキを食べ終えてコーヒーを飲みながら話している。そんな中オレはサラ姐と話していた事を思い出し鳳凰院に気になっていた事を聞いた。
「鳳凰院。何でオレを狙っていたんだ?」
「えっ?それは…この前ボクが人間の男達に絡まれてイラってして殺そうとした時にジャマしたのと人間ではない感じがしたんだよね。」
「鳳凰院と会ったのは今日が初めてのはずだけど?」
うん?ちょっと待てよ…この前帽子を被った女の子が不良達に絡まれてるのを助けた事があったな〜。
「もしかしてその時帽子を被っていたか?」
「被ってたよ〜。そっか〜!帽子を被っていたから気がつかなかったんだね!」
「帽子の影で顔が見えなかったからな。」
その会話を聞いて追加でパンケーキを注文して食べていた美冬が
「普通帽子被っていても気付くと思うけど。」
と言って3枚目だというのに初めて食べたぐらい美味しそうに食べ進める。
「だよね〜!」
それに賛同する鳳凰院。うーん。まぁ〜それはいいや。その次に言ったことの方が気になる。
「人間ではない感じがしたってどういう事だ。」
コーヒーを一口飲んでから鳳凰院が答える。
「そのままの意味だよ!今は戦って負けた事もあってより疑っているけどね。」
「オレはどこからどう見ても普通の人間だろ?」
そう言うと2人からイヤイヤイヤイヤとツッコマれる。
「普通の人間がボクの魔法をあれだけくらって生きてるなんておかしいよ!ただの人間ならあれだけ魔法をくらったら死んでるよ。それに障壁も破れるわけないし…」
そう言われたらそうか。けど…父さんも母さんも人間のはずだからその2人から産まれたオレは人間のはずなんだけだなぁ〜。そう思案してると美冬が難しそうな顔をして
「すごく言いにくいけど…彪牙は半分人間ではないよ。」
「「えっ!?」」
オレと鳳凰院は驚きのあまり声が出てしまう。
「何を言ってるんだ美冬。どこをどう見てもオレは人間だろ?」
そう言うと一度深呼吸してから美冬がとんでもない事を言う。
「落ち着いて聞いてね…彪牙のお母さんは今は亡き女神様なのよ。だから貴方は神と人の間に産まれた半神なの。」
それを聞いたオレはあまりにもびっくりしすぎて声も出なかった。オレが神と人の間に産まれた半神?そもそも母さんが女神だと…一体美冬は何を言っているんだ。
オレが思案してると鳳凰院が美冬に鬼気迫る感じで聞く。
「ちょっと待ってよ!!!榊が女神の息子だって!そんなバカな話を信じろって…イヤイヤあり得ないでしょ。そもそもそれなら何で榊はここに居るのよ!」
「それは…」
美冬が言い淀んでいる。何かとてつもない問題があるのか?まぁ〜鳳凰院があれだけ慌ててるんだからそうなんだろうな。美冬が悩んでいると鳳凰院が
「十六夜さん…これが悪魔の幹部連中に知れたら榊は殺されるわよ!」
えっ!?オレの存在ってそんなにヤバいの?
「分かってるわよ。だから今日まで彪牙を陰ながら守ってきてたんじゃない!けど鳳凰院さんと戦った時に微弱だけど神力を感じたからもう隠しようがないのよ…多分近いうちに天界から使者か或いは悪魔から襲撃を受けるかもしれない。」
神力!?何それ!!!
「ボクにそれを言ったってことは榊の護衛をしろって言ってる?」
「だって鳳凰院さんはもう襲わない所か気になってるんでしょ!悔しいけど私だけではもう彪牙を守りきれないのよ。」
鳳凰院は言われて腕を組んで考え始めた。うん?
「美冬、オレは2人に守られるほど弱くはないぞ!」
そう言うと美冬が呆れたみたいな顔で
「はぁ〜…彪牙は人間の中では群を抜いて強いと思う。けど私や鳳凰院さんと比べるとそうではないわ。それに鳳凰院さんが最初から本気で戦っていたら死んでるわよ。」
「あれが本気じゃないのかよ…うーん。」
ってことは美冬が言うようにオレはそこまで強くないのかもしれない。色々考えていると鳳凰院が口を開く。
「分かった。榊の護衛をしてあげる。だけど条件がある。」
「何?」
「榊の家にボクが住んでも良いなら護衛を引き受けてあげる♪」
なっ!?鳳凰院がオレの家に住むだと!!!それを聞いた美冬は苦虫を噛み潰したみたいな顔で
「ーーーーーっ!!!?はぁ〜…分かった。彪牙の家に一緒に住めば護衛しやすいものね。」
「おい!待てよ!何勝手に鳳凰院をオレの家に住まわせようとしてるんだよ!」
「だってしょうがないじゃない!そうしないと鳳凰院さんは引き受けてくれないって言うんだもん。」
「ただし!私も今日から彪牙の家に住むから!」
「えっ!?美冬もオレの家に住むの?」
「当たり前じゃない!鳳凰院さんが彪牙の家に住んだら何をしでかすか分からないから私も住まないと!」
えー…何それ。
「別に十六夜さんは良いんだよ、榊の家に住まなくても♪」
「絶対に良からぬ事をするに違いないから私も住むわよ!」
そう言って2人で言い合いを始めた。オレはじいじに2人が住めるか聞く為に席を外し外に出て連絡をした。すると意外にも二つ返事で承諾された。席に戻り結果を伝え喫茶店を出て家に帰る事にした。途中で美冬と鳳凰院は引っ越しの準備をすると言い家に帰っていった。しばらくして荷物を持った2人が家に来てじいじに空いてる部屋を好きに使ってくれと言われオレの部屋の隣部屋が空いていた為争奪戦が始まった。結果鳳凰院が勝ち。美冬は鳳凰院の隣の部屋になった。争奪戦が終わってから晩御飯は美冬が作ってくれた。相変わらず美味かった。その後は風呂に入ってオレは寝た。
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