サラside①&10 話
「ふぅ〜……さすがシャロン様の息子だわ。」
タバコを吸いながら戦闘を見ていて思った。けど…覚醒していないからこのまま戦いに巻き込まれていけば命を落とすかもしれない。そうなる前に私が手解きしないと。さて、戦闘で半壊した学校と怪我をしている人達を治して記憶操作しないといけないわね……そう思うと憂鬱だわ。
サラside①終
はぁ…はぁ…ふぅ〜…上手くいった。奥義を使って障壁が破れなかったら正直ヤバかった。
「彪牙!!!」
美冬がこちらに駆け寄ってきてそのまま抱きついてきた!
「なっ!?美冬!!!」
「無茶しないでよ!彪牙に何かあったら私は…」
美冬が泣いていた。
「ごめん…けど…鳳凰院を倒すにはこの方法しかないと思ったんだ。」
「許さない…」
「えっ!?」
「私にここまで心配させたんだからちゃんと埋め合わせしてくれないと許さないから!」
「はぁ〜…分かったよ。近いうちにちゃんと埋め合わせをするよ。だからそろそろ離れてくれないか?」
そう言うと美冬は赤面して離れてくれた。
鳳凰院を確認しにいくと悪魔だった姿が人間の姿に戻っていて気絶していた。
「美冬どうする?」
振り返って美冬に聞くと氷の槍を手に握って振りかぶっていた。
「美冬何を!?」
「悪魔は殺さないと!生かしておいて良いことなんてない!」
そう言って鳳凰院に氷の槍を突き刺そうとするのを両手で止める。
「待て!美冬!!無防備の相手を手に掛けるのは良くない!それに鳳凰院は悪魔だが悪い奴じゃないかもしれない。」
「何を言ってるの!悪魔は悪だよ!!殺さないとダメだよ!!!それともなに……情でも移ったの?」
美冬の目から光が消える。
「そうじゃないが…鳳凰院を殺したところでなんの解決にもならないんじゃないのか?」
「どういう事?」
「鳳凰院はオレを『ターゲット』って言っていたからオレを狙ってこの学園に転入してきた可能性がある。だから鳳凰院を殺したら他の奴がオレを殺しに来るんじゃないのか?」
「………」
「それなら色々と情報を聞き出して鳳凰院をオレ達が監視していた方が良いんじゃないのか?」
「………はぁ〜…彪牙は甘いよ。」
美冬が氷の槍を消し天使の姿から人間に戻る。どうやら説得出来たみたいだ。
「彪牙これからどうするの?」
「そうだな〜…」
色々と考えていると頭上から誰かが声掛けてきた。
「彪牙くんそれなら私に考えがあるわ。」
上を見るとそこには純白の翼を4枚生やし頭の上に金色の輪があるサラ姐に似た人が話しかけてきた。
「!?…その声はもしかしてサラ姐なのか?」
「そうよ。久しぶりね彪牙くん。」
行方不明になっていたサラ姐がまさか天使だったなんて!驚いているとサラ姐が地上に降り立ち話始める。
「驚いてるところ悪いけど私の事は後で話すわ。それよりも…鳳凰院さん起きてるんでしょ…気絶してるフリはいいから起きてくれないかしら?」
鳳凰院に問い掛ける。すると鳳凰院が気怠げに返す。
「へぇ〜…そこの2人は騙せていたんだけどなぁ〜…大天使には気付かれるかぁ〜。」
気付かなかった、まさか起きていたなんて。
鳳凰院が返事をした瞬間美冬が天使化してオレの前に立ち臨戦態勢を取る。
「ちょいちょいちょい!流石のボクも内臓がぐちゃぐちゃの状態では戦いたくないかな。」
鳳凰院のお腹を見ると手で押さえてる所が陥没して内出血していた。まぁ〜かなりの手応えがあったからなぁ〜…
「鳳凰院は治癒魔法は使えないのか?」
そう言うと鳳凰院は驚いた顔した。
「ボクは使えないよ。治癒魔法が使えるのはかなり珍しいんだよ。」
そうだったのか。美冬が使っていたから普通に使えるものだと思っていた。
「もうボクは君達と戦う気はないから治癒魔法を掛けてくれないかな〜?」
鳳凰院が美冬に頼むと美冬が
「はぁ〜!何言っての?悪魔の言う事を信じる訳ないでしょ!」
美冬が氷の槍を鳳凰院に向けて怒りを表す。
「なぁ〜美冬…治癒魔法掛けてやってくれないか?」
「何を言ってるの彪牙!!!もしかしてこの女に惚れたの?」
「そうじゃないよ!今の鳳凰院からは殺意を感じないし、もしまたオレ達を襲うような事があればその時はオレが鳳凰院を止めるよ!」
渋い顔をして考え込んだ美冬は
「……………分かった。」
と言い嫌々鳳凰院に治癒魔法を掛けた。治癒魔法を掛けてもらって全回復した鳳凰院は伸びをしながら立ち上がった。
「うーん!ありがとう《ハーフ》…それにしても榊の最後の技は効いたよ〜!初めてボクに深傷を負わした人間だよ〜!だから…君にすごく興味がわいちゃった♪」
そう言った鳳凰院はキラキラした目でこちら見て舌舐めずりをしながら腕を組んでくる!
「ちょっ!」
すごく甘い良い香りが鼻を抜ける。そして胸が当たってる!
「このクソアクマーーーーーーッ!!!彪牙から離れなさいよ!」
美冬がオレにくっ付いてる鳳凰院に威嚇する。
威嚇されながらニヤニヤした表情で
「見てる限り榊とは付き合ってないんでしょ?」
「!!?……付き合ってない…けど。」
「なら良いじゃん♪」
そう言ってよりくっ付いてくる鳳凰院。
「ーーーーーーーっ!!!良い加減離れなさいよ!」
美冬がオレにくっ付いてる鳳凰院をちからずくで離す。
久々にここまで怒ってる美冬を見たな〜。
「そろそろ良いかな?3人とも。」
サラ姐が呆れて言う。
「半壊した校舎を直すのと怪我してる人達の治療をして記憶操作するから美冬…手伝いなさい。」
「……はい。」
2人は校舎に両手を向けて詠唱すると校舎の周りが光の柱に包まれて少しずつ元の校舎に戻っていく。
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