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【御礼 25,000PV到達】召喚されたのはスマホでした〜付属品の俺はこの異世界で地道に生きていこうと思うのに、Chat-AIが許してくれない〜  作者: 野川雄一


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093 神殿調査 魔王にドラゴン上乗せ

「おいおい、嘘だろ……」


ディーノさんが唖然と呟く。


薄いグレーの鱗を持つその姿はまさしく、誰もがイメージするだろうドラゴンだった。

ただ、息をしているだけで、部屋の空気が重く感じる。


「魔王ってだけでもヤバいのに、ドラゴンが上乗せかよ。」

「なるほど、部屋が広い理由が理解できたわ。」


そこ?!

ここに来てクールなミネルヴァさんにも驚くわ!



魔王ドラゴンが、大きく口を開いた。

喉の奥で、魔力の光が膨れ上がる。


「ブレスが来るぞ!」


ディーノさんが言い終わらないうちに、魔王ドラゴンが俺に向けてブレスを吐いた。

咄嗟にしゃがみ、土魔法で壁を作る!


次の瞬間、見えない塊が壁に叩きつけられ、空気そのものが、爆発したかのような衝撃が俺を襲う。

防御結界が悲鳴を上げるように軋み、内側へと押し潰された。


顔を上げると、作ったはずの土壁は消し飛んでいた。しゃがんでいたおかげで助かったようだ。


「やべえぞこれは!」

「次来るぞ!」

「ケンゴ、逃げて!」


見ると、魔王がまたブレス前の仕草をしている。


やべえ!


咄嗟に走り出したそのすぐ背後から再び轟音が響いた。

魔王ドラゴンの首が、ゆっくりと動く。

一度、二度。

衝撃波が、次々と部屋の壁を薙いでいく。


振り返る余裕はない。

というか、止まったら確実に死ぬ!


背後で空気が叩きつけられる気配が追いかけてくるので、必死になって走る。


「ちょっとケンゴ!こっち来ないでよ!」

「お前、俺達を巻き込む気か!」

「しょうがないじゃん!巻き込むも何も元から一緒じゃん!」


俺の前をフィオナやディーノさん達も走っている。

円形の部屋の壁に沿って走っているので、まるで、俺達が時間を刻む針に追い立てられているかのようだった。


そして、 さっきまで、俺達は別々の場所にいたはずなのに。 気づけば、全員が同じ場所へと追い詰められてしまった。


「マズイな。振り出しに戻っちまった」

「いや、そうでもない。」


おれの焦った言葉へのミネルヴァさんの返事に「??」となる。


「取り囲まれるのは嫌みたいだ。」

「なるほど。」


じゃあ、と皆が目配せで頷くと、また一斉に魔王ドラゴンを取り囲みに走る。

フィオナとアスモラが魔法を放ち、ディーノさんとミネルヴァさんが剣を振るう。

俺も、剣を握り直し、グレーの巨体に振り降ろす。


「ちょろちょろとうざい奴らめ!」


そう言うと俺に向かって魔王が口を開く。


「ケンゴ、逃げろ!」


次の瞬間、巨大な尻尾が、視界の端で跳ね上がった。


バシュッ!

パリン!


俺にブレスを吐くと思った魔王が、その頑丈な尻尾でディーノさんを襲ったのだ。その威力に、ディーノさんの防御結界が破壊されてしまった。

俺はフェイントに使われた格好だ。

壁に叩きつけられたディーノさんは、すぐには起き上がれ無さそうた。


「ディーノさん!」


床に蹲るディーノさんの腕のバングルが破片になって床に落ちる。


「魔導具はあと2つか?」


ぐるりと見渡しながら魔王か低く呟く。

まずいぞ。

メインアタッカーのディーノさんが、防御を気にせずに攻撃できなくなった今、このまま削り合いを続けたら、勝てない。

ディーノさんが前に出られない以上、攻め手としては……剣を持つ俺が前に出るしかない。


 覚悟を決め、足に力を込める。


「ケンゴ、無茶するな!」

「分かってる!」


 ディーノさんに叫び返しながら、俺は魔王ドラゴンの懐へ踏み込んだ。

 巨大な胴体。分厚い鱗。その隙間を狙い、渾身の力で剣を振り抜く。


「こっのぉー!」


 ガキッ!


 硬い手応えだが、さっきまでと音が違う。

次の瞬間、手に伝わる感触が、嫌な軽さに変わった。


 パキン、という乾いた音。


 折れた。


 俺の剣が、魔王の鱗に弾かれ、根元から折れて宙を舞った。


「……は?」


 一瞬、何が起きたのか理解できなかった。

 だが、現実は無情で、折れた刃先がカラカラと床を滑っていく。


「そんな剣で、吾が倒せるわけ無かろう」


 低く、嘲るような声。


 魔王ドラゴンは、もはや無手となった俺を敵とも思っていない様子で、視線を仲間たちへと移す。


俺は、折れた剣の柄だけを握りしめたまま、立ち尽くしていた。


 ……そうか。


 この剣が折れた時点で、魔王の中では、俺は居ないも同然の存在になったのか。


ふと、転生前の仕事の事を思い出した。

転生直前のあの仕事だ。

我儘クライアントのせいで3ヶ月の努力が無駄になり、残る2週間で3ヶ月分の仕事を一からやり直した、アレだ。

あの時、周りの仲間に助けられながらも、諦めなかったからやり遂げられた。


そうだ。

諦めたらダメだ。

まだ何か策があるはず。

何か無いか。


額に手を当ててみる。


何か。


みんなを見渡してみる。


何か。


マジックバッグに手を突っ込んでみる。

神殿前で集めた魔石の名前ばかりが目の前に並ぶ。



『アスモラ、聞こえるか?』

『はい、聞こえます。』


おれが短い指示を出すと、アスモラは分かりましたと簡単に答え、魔王ドラゴンに魔法を放ちながら動き出した。

俺は、スマホを取り出し、壁際の足元に置いた。


アスモラが放つ光と雷が混じった魔法が、派手に魔王ドラゴンの正面で炸裂した。


「ほう?」


魔王の視線が、完全にそちらへ向く。


「今だ!」


フィオナの矢が飛び、ミネルヴァさんが側面から斬りかかる。

魔王ドラゴンが苛立ったように吼え、巨大な爪を振るった。


バシュッ!

パリン!


ミネルヴァさんのバングルが砕け散った。


「あと1つ。」


フィオナが兄妹の盾になりながら、アスモラと一緒に動くが、魔王の爪が立て続けに皆を襲う。


バシュッ!

パリン!


スマホを置いた場所まで来たところで、フィオナのバングルが壊れた。

魔王ドラゴンを凝視するフィオナ。


「これであなた達を守る厄介な防御結界は無くなった。」


魔王は満足そうにそう呟き、ゆっくりと翼を畳む。


巨大な体が縮み、鱗が剥がれ落ち、

数瞬後、そこに立っていたのは、人型の魔王だった。


と、アスモラが魔王に向けて両手をかざした。

すると、その両手の前が淡く輝き出した。

空気が震える。

その光は脈打つように強まり、やがて眩い球体となって膨れ上がっていく。


「まだそんな悪足掻きを。」

「私は諦めが悪いんです。」

「そうか。ならばこれで終わりだ。」


魔王がゆっくりと手を広げる。


俺は、魔王の背後にいた。

腰のマジックバッグに手を入れる。

アスモラが作る光の球がどんどん大きくなるのを見ながら、俺はこの一撃を信じることに専念した。


ふっ、と世の中の音が全て消えた。


気付けば、俺は刀を振り抜いたポーズで、アスモラ達の前に立っていた。

手には一振りの刀。

そう、あの銘刀「ヴェイグル」だ。


ドサリ。


背後の音に振り返ると、腰の辺りで胴体が両断された魔王が倒れていた。


「……え?」



読んで頂きありがとうございます。

「面白い」「続きが読みたい」と思った方は、是非ブックマークや評価をしてください。

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