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IFの未来軸「エルピダが大人になった時のお話」

「...監視衛星からの情報受信、敵対反応と認む。効力射開始...」


 望遠モニターですら視認出来ないほどの超長距離狙撃、改修に改修を重ねた結果『固定砲台』級の性能になった『アトラク=ナクア』のロングレンジビームキャノン『落涙(ティアドロップ)』が一筋の光を放つ。

 情け容赦の必要の無い不法入国及び不法侵入者に対してのみ使用されるこの兵装は、一言で言うならば『強制撤去粉砕砲』です。


 光学兵器のティアドロップが目標に着弾すると、その部分から連鎖的に原子が崩壊して構造物が形を保てなくなるのです。人間や他の生命体はこの崩壊から逃れる事は可能ですが、そもそも崩壊する速度が早すぎるので宇宙服を装備して居ない不法侵入者はそのまま宇宙空間に放り出されてそのままお亡くなりなのです。


「...亜空間航行から通常空間への移行を確認、対象に該当...違法同行者の存在を検知。アラクネ隊、目標を捕らえて食い散らかすといいのです。」

「「「「「「了解!!」」」」」」


 恐らくは先のティアドロップで攻撃したのは囮だったのです?本命は亜空間航行で正規の手順で入国しようとした船に同行する形で入国しようとするこっちの艦だったのですね、でもそんな浅はかな考えじゃダメなのですよ?


 国境警備隊はキスハ姉さんがやっていますけど、そこより内側はワタシの管轄(テリトリー)なのです。どんな小さな小虫だろうと...逃がさず捕らえて捕まえる(捕食)です。


 ワタシの直属である『アラクネ隊』はアトラク=ナクアになる前のアラクニーが原型機なのです、違う所と言えばワタシと違って隊員の皆は純粋な人間なのでマルチロック機能は大きく性能低下したのです。代わりに近・中・遠に対応した装備を隊員事に配置する事でオールレンジに対応可能にして、アラクニーの時から弱点だった機動力不足を解消したのです。要するにアラクニーの頃から出力重量比の重量を大きく締めていたのは武装の過剰搭載(私からすれば普通なのですが...)が問題だったわけです。


「スコアが1番高かった人は私からプレゼントがあるですよ〜」

「「「「「「!?」」」」」」

「エルピダ隊長の...」

「ご褒美だとっ!?」

「一体どんなご褒美があると言うんだ!!」

「お子さん達との触れ合い権!?」

「でゅふふ...それは...最高だ...」

「隊長!?コイツやべぇ!!」


 相変わらずと言うか...ワタシの部下(キスハ姉ちゃんの部下もですが)は何故こうもウチの子どもが好きなんでしょうか?ことある事に子ども達の顔を見に来ると言うか...遊びに来ている気がするのです、実際来てくれるとありがたい時が多いので文句も言えないのが辛いところなのですが...ホントにどうしてです?


「とりあえずご褒美は置いておくのです、間違っても正規の手順で入国しようとしている艦艇を攻撃してはダメですよ?もし流れ弾でも当てようものなら...」

「「「「「「(;゜д゜) ゴクリ…」」」」」」

「キスハ姉ちゃんの手料理パーティーです。」

「「「「「「絶対当てねぇ!!(゜Д゜)」」」」」」


「失礼なっ!」何処かからキスハ姉さんの絶叫が聞こえた気がするのですが気の所為でしょう、えぇ間違いなく気の所為なのです。


 アラクネ隊はワタシのように1対多に特化している者と、護衛に特化している者、露払いに特化した人材で構成されているのです。

 ワタシと似た事が出来る隊員はアラクネ隊(規模は大隊クラスなので普段は中隊規模でローテーションで回してるのです)にも数名は居るので必ず2人は配置するようにしてるのです、なんでかと言うと不法侵入してくるのは大体大量のAMRSによる物量で「少しでも抜ければ良い」と言う心構えでやってくるからなのです。


 そう言った事を許さない為に最低でも2人、緊急発進(スクランブル)があれば全員で対応出来るように待機組も居るのです。

 なので国土防衛隊(キスハ姉ちゃんの部隊もここに入る)の中で1番休みがない部隊と言う悲しい宿命があるのですよ。


「敵艦よりAMRS多数発艦を確認!!」

「数凡そ28、入国艦を人質にする気かもしれません!!」

「そんな事させるかよォ!!」

「エルピダ隊長の手を煩わせるまけねぇだろうがっ!!」

「一方的に嬲り殺しにしてやれ!!」

「ふへへ...これで隊長のお子さん達にいい土産話が出来る...」


 うーん...ワタシを働かせない位動いてくれるのはありがたいですが、正面から回る感じしかしないのが辛いところなのです。

 それでも発艦したAMRSを的確に撃ち抜いて人質として使われないよう直ぐに艦を護るように陣取って防衛体制に入るのは素晴らしいですね、これも訓練の成果なのです...グリトネアおばちゃん直伝『ドキッ!!守り切れなきゃぶっ○す!!1週間耐久護衛戦争♡』演習の効果なのです。


 ワタシも小さい頃やりました...ホントに辛かったのです、思い出したら身体が震えて勝手に涙が出てくる程度にはトラウマなのですよ...


「クソがっ!!誰だ!!「人質さえ取っちまえば楽に入国出来る」なんて言った奴は!!」

「さっきぶち殺されたゲイツの奴ですよ!!口だけは達者な奴です!!」

「クソがっ!!ここまで来たらやるしかねぇだろうが!!帰りの足はもうねぇんだ!!」


 ふむ…?どうやらこっちが人質を取られたら何も出来ないと思っていたようなのです?確かに他の軍だったりならそれは当てはまるかもしれないのですがウチではそれは通用しないのです。

『密入国者は死すべし、慈悲は無い』が国家の指標と成程に厳しいですから、全宇宙内でもトップの医療技術と軍事技術を持つウチの国にとって入国者も出国者も厳しく管理せざるを得ないのです。

 無論全ての人員をそれに割振ることは出来ないので、ウチの国はそう言った業務に関して人工知能の配備数がぶっちぎりのトップです。


 他にも色々ありますけれど、今のところ情報漏洩が確認された事は今の今まで無いのでわたしの気にするところではないと割り切っているのですよ。


「アラクネ隊敵機殲滅までのリミットを設定する、全48機撃破に10分だ。」

「む?モレッド姉さん?」

「久しぶりに執務に余裕が出来たからね、遊びに出撃()てみればエルピダが遊んでるじゃないか。どれだけ成長したか見てやろうかなってね?まさか…執務に追われて長らく戦場の空気を味わっていない私に負けるなんて事は無いよね?」

「上等なのですよ…そのケンカ買ってやるのですっ!!」

「「「「「「全員巻き込まれるなよっ!!( ゜д゜)」」」」」」


 まさかモレッド姉さんがやってくるとは思っていなかったし、こんなケンカを売られるとは思わなかったのです。でも負ける訳には行かねぇのですよ…


「何時までも…妹だからって侮られる訳にゃ行かねぇのですぅ!!」

「ハッハッハ!!良いぞ!!勝負だぁ!!」


 こうしてアラクネ隊の仕事をわたしとモレッド姉さんの2人だけで、僅か6分で片付けてしまった上に撃墜スコアはわたし23機モレッド姉さん24機アラクネ隊1機と言う実質私の負けで終わったのです。


 ちなみにアラクネ隊の1機は入国船に取り付こうとしていた所を防衛の為に撃破したので誇るべき所なのですが、その1機を堕とすことさえ出来れば最低でも引き分けに出来たわたしの怒りによって罰ゲーム(キスハ姉さんの手料理コース)が確定したのです。


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「「「「「「「「お母さんおかえり〜!!」」」」」」」」

「ただいまみんな、いい子にしてた?」

『おかえりなさいエルピダちゃん、貴女の子達は良い子にしてましたよ。八重桜が帰る途中に転んで泣いてしまったくらいでしょうか?』

「むぅ(⑉・̆-・̆⑉)」


 八重桜は一番末っ子で一番私に似なかった子です、小さい頃の私といえば何をするにも引っ込み思案で引きこもり気味だったのですが…このこはそういったことが一切なく興味があればとりあえず触ったり追いかけたりする子なのです。一番手のかかる子という印象ではありますが、むしろヴィヴィアン姉さんたちからすれば「エルピダちゃんの昔を思い出しますね」というのだから解せないのです。


「八重桜は今日は何を見つけたのですか?」

「今日はととさまの昔の機体がプラモデルで新作になって出ていたのです!!」

「ふむ…ギャラハッドのことなのです?」

『ふふっ…ギャラハッドよりも前の機体ですよ。アーカイブでも見たでしょう?』

「あぁ…アレなのです?前の機体とは言うけど実質新しい方という印象しかないのです。」


 キャメロットの玩具店には全宇宙中の各企業、各軍隊ごとの細かな違いまで網羅したプラモデルを販売しているメーカーがあります(総取締役はマーリン姉さんなのです)、そこの売れ行きナンバーワンが何を隠そうお父様の駆るギャラハッド系列の機体なのです。いろんな国に支店を出していますが、すべての支店および本店の売り上げ数からみてもダントツらしいのです…アラクニー系列はあんまり人気がないそうなのです…解せぬ(´・ω・)

 でも、お父様の機体はいろいろぶっ飛んでますから…性能からしても外見からしても小さい子から大人まで心をつかんで離さないというのはよくわかるのですよ。


「さて、みんなのお話も聞けたことですし…」

「もしかして!!」

「そうですね、今日はみんなでお部屋の大掃除です。」

「「「「「「「「ぶー!!( ゜Д゜)」」」」」」」」

「あら?みんなが糸を吐き散らかしたせいでこの間誰に怒られたんでしたか?」

『うふふ…(⌒∇⌒)』

「「「「「「「「はぁい!!頑張りまぁす!!( ゜Д゜)」」」」」」」」


 これがわたしが大人になった時の日常、なかなか帰ってこないお父様(旦那様(´∀`*)ポッ)と子どもたちにお姉さま方と一緒に時折子供たちが引き起こす問題に頭を悩ませたり、部下たちの暴走に振り回されたりしつつも穏やかに流れていく日々が…たまらなく大切なのです。


 あっそうだ、今度お母さま(皇鋼蜘蛛の本当のお母様のほうね)に子どもたちを連れて遊びに行ってあげないと。「そろそろまた孫の顔が見たい」って言いだす頃のはずだからね、アヴァロン借りなきゃ…ちょうどキスハ姉さまが里帰りに使ってるはずだから帰ってきたら私の番かな?

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