どうやら断罪対象はわたくしのようです 〜わたくしを下級貴族と勘違いされているようですが、お覚悟はよろしくて?〜
「ヴァネッサ・ユータカリア! お前をこの学園から追放する! そして数々の罪を償うため、牢に入ってもらう!」
ヒンスリー王国の王立学園の創立パーティにて、高らかにそう宣言されたのはこの国の第一王子でいらっしゃるオーマン・ヒンスリー様です。
この国の王族ならではの鮮やかな金髪にエメラルドの瞳、見目麗しい王子様が突然始めた断罪劇に、会場中がざわついております。
「あら、ヴァネッサとは、わたくしのことでしょうか?」
ヴァネッサ・ユータカリア。
聞き間違いでなければ、どうやら断罪対象はわたくしのようです。
「ははっ! 自分の名前も確認せねば分からぬのか。とんだ馬鹿女だな」
「はあ……」
あら、これでも座学の成績はダントツのトップで、いつも悔しそうに地団駄を踏んでいたのはあなたですのに。
余程負けたことが悔しかったのでしょうか?
私を馬鹿女と罵って満足そうにしていらっしゃいますね。まあ、あなたは惜しくも二位というわけでもなく、成績は中の下といったところなので、目を怒らせてライバル視されましても、ねえ?
「まあ、いいでしょう。それで、わたくしが退学? とおっしゃいましたか? その上で牢に入るなどと……仮にも一国の王子殿下が祝いの場を騒がせてまでおっしゃるのですから、確かな理由があるのでしょうね?」
それも、外交で国王陛下がお留守のときを見計らっての企てときました。
さてさて、オーマン様はどのようにわたくしを断罪なさるおつもりかしら?
「はっ、当たり前だろう。証拠は揃っている。いつまでその涼しげな顔をしていられるのか、見物だな。アリス! こちらへ」
鼻を鳴らしたオーマン様が呼び寄せたのは、子爵令嬢のアリス様でした。ふわふわの桃色の髪を靡かせて、同じく桃色の瞳には涙がいっぱいに溜まっています。
あらまあ。公的な場で彼女を前に出されるのですねえ。
あなた様には由緒正しき公爵家に婚約者がいらっしゃるはずですのに。
「お前は俺の愛しいアリスを虐めた! 教科書をボロボロに引き裂いたり、すれ違いざまに肩をぶつけたり、掃除のときにわざと水をかけたり、アリスの悪口を吹聴したのもお前だろう! 全部アリスが涙ながらに訴えてくれたぞ!」
「えーん、オーマンさまぁ」
ウルウル瞳を潤ませて、オーマン様に縋るアリス様。
会場のあちこちからは「チッ」とレディにあるまじき舌打ちが聞こえてまいります。
それもそのはず、アリス様は随分とお尻が軽くていらっしゃるようで、オーマン様以外にも上級貴族を中心に色仕掛けをすることで有名なお方です。婚約者をアリス様に美味しく召し上がられたご令嬢がこの学園にはたくさんいらっしゃるようですよ。
婚約者を寝取られた皆さんがアリス様につらく当たる光景はよく目にしました。
その度に、そのようなことをしてはあなたがたの品位が下がりますわ、と皆さんを嗜めて被害者の会と称してお茶会を開き、今後の婚約者たちとの関係構築について相談に乗っていたのはわたくしですのに。
アリス様の醜聞は自業自得と言いますか、身から出た錆と言いますか……わたくしが噂を広めるまでもないのですが。
むしろ、わたくしを敵視していたのはアリス様ですわ。
一人の友人もいないアリス様が、学校中の生徒から一目置かれるわたくしを恨めしそうに見ていたことには気づいておりました。アリス様が狙っていた殿方とわたくしが親しげに話していた時は、鬼のような形相をしていらっしゃいましたわね。
おそらくこの茶番は、成績優秀で鼻につく優等生であるわたくしを排除したいオーマン様と、わたくしをよく思っていないアリス様のお二人で企てたことなのでしょう。気に入らなければ排除する、なんと愚かなことでしょう。
「恐れ入りますが、物証はないのでしょうか? アリス様の証言だけで罪を問われるのは、さすがにいかがなものかと」
「はっ、物証だと? あるに決まっているだろう。アリスの教科書、壊されたペンダント、破かれたドレス、どれもお前がしたことだ!」
色々と陳列され始めましたが、そんなものを示されましてもわたくしの犯行だという証拠にはならないのではないでしょうか? 教科書を破かれたように細工することは造作もありませんし、自作自演の線も考えなくてはならないでしょうに。
会場の皆さまは呆れた様子で傍観を決め込んでいて、オーマン様やアリス様の証言に加わる様子もございません。
この様子だと、目撃者も協力者もいないご様子です。
「お言葉を返すようですが、わたくしがアリス様を虐める理由がございません。その点はいかがお考えでしょうか?」
「アリスを虐める理由がないだと? ふんっ、ユータカリア家とは我が国では聞いたこともないほどの下級な貧乏貴族なのだろう? 貧しいお前は、下級貴族ながら王子に寵愛を受けるアリスに醜い嫉妬をし、あわよくばその場所を取って代わろうと画策していたのだろう!」
「まあっ」
なんということでしょう。
仮にも一国の王子ともあろうお方が、自国の貴族の家名すらろくに覚えていらっしゃらないなんて。「ユータカリア家」がこの国に存在しないこともご存じないとは……呆れて物も言えません。
会場の皆さまも息を呑んで顔を青くしておりますわ。
絶句するわたくしが反論しないことをいいことに、オーマン様は演説じみたお話を続けられるようです。
「それに、お前はいつも俺に熱い視線を送ってきていたからな。ふん、お高く止まっていても結局は嫉妬に狂うただの女だったというわけだ」
なるほど。確かにわたくしはオーマン様をよく見ておりました。
ええ、だってそれがわたくしの仕事だったのですから。それを恋慕の眼差しと勘違いなさるなんて……自意識過剰も甚だしいですわね。勘違いもここまでくると笑えてしまいますわ。
「なにを笑っている! 自分の置かれている立場がわかっているのか!」
「あら、ついおかしくって。失礼いたしました」
一向に狼狽えず、余裕があるわたくしが気に食わないのでしょう。オーマン様は顔を真っ赤にしてお怒りのご様子です。
「笑っていられるのも今のうちだ。これを見ろ! 先月神殿での奉仕活動の際、お前がアリスを虐めていたと証言する書簡だ! 傷だらけで泣いていたアリスは見ていられなかった、暴力を振るっていたのはヴァネッサだと明記されている。ふふん、聞いて驚くな。これを書いたのは神官長だ!」
「まあっ! その書簡、ちょうだいしても?」
「はあ? つくづく馬鹿なやつめ。何度見てもここに書かれていることに変わりはない! 穴が開くまで読み込むがいい」
バサリと投げ捨てられた書簡を拾って中を検めます。
これは確かに神殿の神官長様の文字ですわね。
あらあら、有る事無い事好き勝手に羅列されておりますわ。王位継承権第一位のオーマン様に恩を売って、即位後に自らの地位を確固たるものにしたいのでしょうね。
オーマン様の話を鵜呑みにし、ろくに調べもせずに、名も知らぬ下級貴族を貶めることは造作もないと考えたのでしょう。
ふふふ、神官長様が第一王子擁立派であるのはこれで明白。
このような証拠をいただけるなんて、なんと幸運なのでしょう。早々に処分を下さずにお話をお伺いしてよかったです。
「くっ、この状況でも笑っていられるなど、どこまでも不気味な奴め! おい、衛兵はいないのか! この罪人を早く牢へ連れて――」
「そんなことはさせないよ」
オーマン様が強行策に出られようとしたまさにその時、タイミングを見計らったかのようにパーティ会場の扉が開け放たれました。
会場の目を一身に集めて堂々と中央を歩いてこられるのは、第二王子のアルフィン様です。
「あら、ごきげんよう。少々遅かったのではありませんこと?」
「すみません、今が最善のタイミングかと思ったのですが……」
ご挨拶をすると、気恥ずかしそうに頬を掻くアルフィン様。突然の弟君の登場に、オーマン様は困惑されております。
「な、アルフィン……! なぜお前がここに」
「兄上の愚行を止めに来たんだよ」
「なんだと⁉︎」
オーマン様と同じく金髪にエメラルドの瞳を持つアルフィン様は、オーマン様とは違って知的な雰囲気を醸し出すお方です。一つ年下のはずですが、随分と大人びて見えます。
アルフィン様が胸ポケットから一枚の紙を取り出しました。そこには王家の紋が描かれております。
「そ、それは……父上の……」
「ええ、そうです。国王陛下直筆の指示書です。馬鹿な兄上に代わって読んであげましょう。――『国を空ける間、オーマンがヴァネッサ嬢を害することがあれば、捕らえて東の塔へ幽閉せよ。判断はアルフィンに一任する』」
「なっ、なんだそれは! 貸せ!」
よく通る声で国王陛下からの指示書を読み上げたアルフィン様から、指示書を引ったくり何度も何度も目を通すオーマン様。一度読んだだけでは理解できないのかしら。やっぱりおつむが弱いのですね。
「ど、どういうことだ……説明しろ!」
グシャッと指示書を握りつぶしたオーマン様が真っ赤な顔で怒鳴り散らします。そんなに叫ばなくても聞こえますのに、品位のかけらもございませんね。
仕方がありません。わたくしがお馬鹿なオーマン様にすべてお話しして差し上げましょう。
「まず、わたくしがアリス様を虐めていた証拠とおっしゃるものはすべて意味をなしません。わたくしは常に学友の皆さまと行動を共にしておりました。公衆の面前であなた方がおっしゃる行為を働こうものなら、目撃者が多数いらっしゃるはずです。ふふっ、いなかったでしょう? お一人も。あるいは目撃者を探すことすらせずにわたくしが悪だと決めつけておられるのでしょうか」
「そ、それは……アリスが……」
途端にしどろもどろになるオーマン様。アリス様も歯を食いしばってこちらを睨んでいらっしゃいます。ああ、可愛いお顔が台無しですわ。アリス様と一夜の夢を見た殿方たちが愕然としておりますわよ?
「わたくしがオーマン様をよく見ていたとおっしゃいましたわね? ええ、そうですわね。確かに見ておりました。それはもう、じっくりと。なぜならあなたは――監査対象なのですから」
「監査、対象……?」
徐々にオーマン様の顔色が悪くなっていきます。
まだまだ序の口ですわよ? お覚悟はよろしくて?
「ええ。わたくしは国王陛下直々に頼まれてオーマン様の王たる資質を見定めておりました。まあ、ほんの数日で資質なしと判断するに至りましたが、いくらわたくしが目障りだとはいえ、このような茶番に興じられるほど愚かなお方だとは思いませんでしたわ」
オーマン様は王族としての教育から逃げ出してはアリス様と仲睦まじくお過ごしになられ、生徒からの信頼もなく、成績も振るわない。そのくせ傲慢で権力を笠に着て好き放題されておりました。
そもそも幼い頃から決められた婚約者様がいらっしゃるのに、彼女がわたくしと交換留学中に堂々と浮気をされていたのですから、さすがのわたくしも呆れ返ってしまいましたわね。
すっかり顔面蒼白のオーマン様は、絞り出すように口を開かれました。
「お、お前は一体……何者なんだ」
「あら、失礼いたしました。まずはそこからでしたわね」
オーマン様の問いに、会場は今日一番のざわめきを見せました。だって、わたくしが何者かだなんて、知らないのはお馬鹿なあなた方だけなのですから。
わたくしはドレスの裾を摘んで、優雅に一礼して見せました。
「わたくしは、ヴァネッサ・ユータカリア。ユータカリア王国の第一王女でございます」
「ユータカリア王国……第一、王女……⁉︎」
ここでようやく私の家名が隣国の名と同じことに気付いたようです。あえて公言はしておりませんでしたが、家名で隣国の王族だということはお分かりになるかと思いましたが。
「わたくしは、あなた様の婚約者であるユリアナ様との交換留学にてヒンスリー王国の王立学園へ入学いたしました。先に申しました通り、交換留学の申し出はあなた様のお父上である国王陛下直々のことでした――」
わたくしは、交換留学に至った経緯をお話しいたしました。
ヒンスリー王国の国王陛下は、大変お人柄の良いお方ですが、政治的手腕には恵まれなかったようです。
古くから力を持つ貴族や、品行悪くわがままに育ったオーマン様の扱いに頭を悩ませていらっしゃいました。
兄と対照的に品行良く頭脳明晰な第二王子であるアルフィン様に王位を継がせたかったようですが、第一王子擁立派がこの国の上層部に多数いらっしゃるようなのです。
愚かな王ほど、扱いやすいものはありませんからね。
このままオーマン様が王位を継げば、ヒンスリー王国は私利私欲を肥やした古参貴族の傀儡国家となりかねない。そう危惧した国王陛下は、我が国ユータカリアに助けを求めたのです。
わたくしのお父様である現ユータカリア国王は、ヒンスリー王国の国王の申し出を二つ返事で受けられました。お父様は面白そうなことと、改革が大好きなのです。
わたくしとユリアナ様の交換留学の目的は大きく二つ。
一つは、オーマン様の素行調査をし、王位継承に相応しいかを見極めること。同時に、継承権を剥奪する際に反対派を黙らせる材料集めをすることでした。
そしてもう一つは、長らくオーマン様を支えるために尽力されてきたユリアナ様の救済でした。
オーマン様が王位継承権を剥奪されたら、第二王子であるアルフィン様が継承権第一位になります。次期王妃としての教育を受けてきたのですから、アルフィン様と婚約を結び直すことが自然であると国王陛下も考えていらっしゃいました。
そこに待ったをかけたのがわたくしのお父様です。
それではあまりにもユリアナ様の人生が縛られすぎていると憂いたのです。そこで、わたくしと交換留学をする形で、ヒンスリー王国から離れた土地で何のしがらみもなく自由に生活できる環境を整えたのです。
まあ、あの時のお父様は獲物を狩る目をしておりましたから、ユリアナ様の聡明さに目を付けたのでしょうね。
定期的にユリアナ様とはお手紙を交換しておりますが、どうやらユータカリア王国の第一王子であるわたくしのお兄様と親しくされているようです。
ふふ、お父様の目論見は成功しそうですね。
「うそ、だろ……」
簡潔に、オーマン様にもわかるように説明を終えると、オーマン様は力無くその場に崩れ落ちてしまいました。
知らず知らずのうちに、隣国の王族を捕らえようとしていたのです。さすがに自らの愚かさを痛感しているのでしょう。アルフィン様の指示で衛兵に連れて行かれる時も、大人しくしておりましたから。アリス様は醜く喚いて引き摺られるように会場から連れ出されておりましたが。
その後、アルフィン様の指揮でパーティは解散となりました。
ヒンスリー王国の国王陛下が戻られましたら、速やかにオーマン様には処分が下るでしょう。そして晴れてユリアナ様はオーマン様の婚約者から解放されるわけです。
「さて、ここまでは計画通り、ですよね?」
シン、と静まり返った会場で、わたくしとアルフィン様は二人きりとなりました。
「ええ。これであなたが王位を継ぐことになりますわね」
「はい。この国の考えは古い。改革の余地がありすぎるから、これからますます忙しくなりそうだ」
「頑張りどころですわ」
にこやかに会話をしていると、不意にアルフィン様が真面目な顔をしてわたくしに向き合いました。
――ああ、今、ですのね。
わたくしも居住まいを正します。
「ヴァネッサ様。僕の申し出については、前向きに考えてくださいましたか?」
「あら、なんのことでしょう」
「……もう一度言わせようなんて、狡いお人だ」
だって、大切なことですもの。
改めて、もう一度お聞きしたいではありませんか。
素知らぬ顔で少し意地悪を言いましたら、アルフィン様は徐に片膝をついて跪かれました。わたくしの手を取り、手の甲に唇を寄せられます。絵本の中の王子様のようで、不覚にもときめいてしまいました。
「僕と結婚してください。ヒンスリー王国を共に導いていただきたい。ユータカリア王国の改革の数々を、我が国でも成し遂げていきたい。そのためにはあなたが必要です」
「――お受けいたしますわ」
「本当ですか!」
「ふふっ。ええ、根負けですわ。それに、この国は叩き直し甲斐がありそうですから、退屈せずに済みそうですもの」
そう、実はわたくしはずっとアルフィン様に求婚され続けていたのです。
どうやら幼い頃に王国同士の交流の場で出会った頃から想ってくださっていたのだとか。
わたくしには大切な任務がございましたので、一段落つくまでは、とお返事をお待ちいただいておりました。
アルフィン様はわたくしと結婚することで、ユータカリア王国を後ろ盾に得ることが叶います。これで第一王子擁立派を黙らせることができるでしょう。
恐らく、ここまでがヒンスリー王国の国王陛下の思惑だったのでしょうね。もちろん、アルフィン様を選んだのはわたくしの意思ですけれど。
「でも、後進的な我が国との婚姻をあなたのお父上は認めてくださるだろうか」
「あら、わたくしのお父様は改革が大好きなお方ですもの。むしろわたくしのことを羨むでしょうね。この国には改革の余地がありすぎますもの」
楽しそうなことに目がないお人ですから。
狡いぞ狡いぞと年甲斐もなく駄々をこねるお父様の姿が目に浮かぶようです。
「はは……耳が痛いよ」
「うふふ、では、これから二人一緒に楽しく国を盛り上げてまいりましょうね」
わたくしたちは手を取り合って会場を後にいたしました。
わたくしの母国であるユータカリア王国は、実力が伴えば、平民でも登城できる登用制度を整えておりました。
子は宝だと、全国民登校制度を導入し、無償で全ての子供が学校に通えるようにもなっており、財力や権力でのし上がってきた貴族も慌てて学問に力を入れ、切磋琢磨し合う良好な関係を築けているのです。
そうした制度をヒンスリー王国にも取り入れ、政治中枢に根を張っていた古参貴族も綺麗にお掃除いたしました。政治に口出ししようと画策していた神殿も黙らせましたわ。
アルフィン様が即位されたヒンスリー王国は、のちにユータカリア王国に並ぶ大国として名を馳せることとなりました。
身分の差に関わらず、民は生き生きと暮らしております。
他国の模範となる政策を次々に打ち出しましたので、各国から政治の勉強に王族の皆さんが詰めかけるようになりました。
え? オーマン様がどうなったか、でしょうか。
わたくしの調査で明らかになった数々の愚行に合わせて、隣国の王族を貶める行為をしたのですから、国王陛下が帰国後に廃嫡され、平民に落とされました。放っておいてもよかったのですが、あまりに哀れでしたので、お兄様に頼んでユータカリア王国で下働きとして雇っていただきました。
お兄様はとても厳しいお人ですから、毎日ビシビシ扱かれて、オーマン様の腐った性根も叩き直してくださるでしょう。
それに、オーマン様には個人的な恨みがあるようです。
お兄様は王妃となられたユリアナ様を心から愛していらっしゃいますから、ユリアナ様を長らく無下にしてきたオーマン様が許せないのです。
ちなみに、アリス様はこの国で最も厳しい修道院に送りましたわ。彼女も心を入れ替えてくださればいいのですが。
あ、わたくしですか?
わたくしはアルフィン様にとても大事にしていただいておりますわ。国母として国民からも厚い支持を受けております。
やるべきことは盛りだくさんですが、毎日とても充実しておりますの。
今は次期国王となる我が子にわたくしの持ちうるすべてを叩き込んでいるところですわ。
アルフィン様に似て、知的好奇心が強くて勉強熱心ですので、ヒンスリー王国はこの先もきっと安泰でしょう。
ヴァネッサ「見つけてくださりありがとうございます。
いかがでしたか?おもしろいと思っていただけましたら、お星様にて評価やブクマをいただけますと作者の励みになるようですわ」