こんにゃくと指輪
最近、私たちは一緒に料理を作るようになった。
ふたりしてキッチンに立って、たわいもない会話をしながら料理をする。
そんな何気ない日常の時間がとてつもなく尊くて、幸せを感じるのだ。
「ねえ。このこんにゃく。手編みこんにゃくにして煮物にしようよ」
「おっ。いいね」
「お酒のおつまみに~」
「くう~」
薄切りにした長方形のこんにゃくに縦長に一文字に包丁を入れ、切れ込みをつくり。その切れ込みにくるりとこんにゃくの頭をくぐらせると手編こんにゃくの結び目のできあがり。
「縁結び~なんちゃって!」
「あははは!なんやねんそれ!」
「ちょっと形へん?」
「いやそんなことないて。ほら!こんにゃく指輪~なんちゃって!」
「あははは!なんやねんそれ~!」
「ってほら。薬指かしてみて」
「え?」
「え?」
「え?」
「そろそろ出かけよっか」
「うん」
薬指に、ささやかなダイヤモンドの婚約指輪が輝いている。