何でもハンバーグにする料理店
2人の紳士が、19世紀の兵隊のような格好をして、歩いておりました。
そして、片手にはピカピカに光る銃を持って、歩いておりました。
そこはだいぶ山の中でした。シカなり、イノシシなりを撃って、その肉をいただこうかという腹積もりでしたが、どうやら宛が外れたようです。
紳士A「なんだ、ここにはシカもイノシシも、一匹もいないな。」
紳士B「シカの肉も、イノシシの肉も、最近はあれだ、ジビエ料理とかいって、流行っているらしいな。」
ちなみに、猟銃はあくまでも獣に向けて、煮て、焼いて、食うために撃つ、そのための猟銃であって、決して人に向けてはいけません。
人に向けるな、と言われると、なおさら人に向けたくなるものなのか。
銃を撃ちたい理由?そこに銃があるから、それ以外の理由を探しあてようとするも、それ以上の理由は見当たらない。
紳士Aと紳士Bは、親しい友人同士ではあるが、実は趣味の違いがある。音楽の好みも違うという。
紳士Aは、骨董品集めを趣味とする。音楽は、アイドルや、ダンスミュージックなどが好みだ。
紳士Bは、洋服集めが趣味。最新のファッションを着こなすのが好きだ。反面、骨董品のようなものには、紳士Aとは違って、全く興味が無いという。
紳士Bの音楽の好みは、アニメソングや、ゲームの音楽などが好みという。
好みの違いから、時にはケンカもすることのある2人だが、ひとつだけ共通しているのは、2人とも、
ハンバーグが好きだということ。
だから、シカやイノシシを狩りに来たのも、実を言うと、シカ肉やイノシシ肉のハンバーグを食べたいから、というのが理由のようだ。
そこに現れたのは、『何でもハンバーグにする料理店』。
結局、シカもイノシシも見つからなかった。
紳士A「僕はもう帰ろうと思う。暗くなる前に帰ろうと思う。」
紳士B「これだけ歩き回って、結局一匹も見つからないとは。」
紳士A「売店で、『ジビエ弁当』なるものが売っていたぞ、あれを買っていこう。」
紳士B「腹が減ってきたからな。では、あれを買っていこう。」
ところが、帰り道がわからなくなってしまった。
こういう状況の時こそ、何か出てきそうな感じである。
さらに進んでいくうちに、一件の洋館を見つけた。
そこには『ハンバーグ専門店 猪鹿亭』と書いてあった。
紳士A「なんだか、まるで某有名作品の一説みたいな話の展開になってきたな。」
紳士B「本当に、まるっきりそんな感じだな。しかし、あれは最後はどんな結末になるんだっけ?
まあいい、とにかく今は、腹が減って、寒くて、どうにかなってしまいそうだ。」
2人は、満を持して店の中に入ることにした。
ちなみに、こういう時は、履き物のドロを落としてから、店内に入るというのが、よくある話。
よほど偉い人たちが、別荘や保養所にしているようなところだと、悟った。