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【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!  作者: はづも
第三章

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4 きっと、見つけてみせる。

 手紙に目を通したジョンズワートはすぐにアーティを呼び出し、こう告げる。


「この手紙に記されていた地……。ラントシャフトに行く。できる限り早く出発できるよう、調整して欲しい」

「……信じるのか? 差出人もわからない、いきなり届いた手紙に書かれていたことを」

「きみだって、なにかを感じたから僕まで通したんだろう」

「まあ、それはそうなんだけど」


 この手紙をジョンズワートにも見せるべきである。そう判断したのは、他でもない、このアーティだ。

 いくらカレンについての情報だからといって、こんな怪しいもの、なにか感じるものがなければ裏取りもせず公爵に渡したりしない。

 情報源も、真偽も。まだ確認していないのだ。それでも、すぐにジョンズワートまで通された。

 ジョンズワートと同じように、アーティもまた、この手紙は信用できると思ったのだろう。


「で、すぐに出発できるよう調整できそうか?」

「わー。『できる限り』から『すぐに』に変わってるよ。横暴な公爵様だなあ」

「アーティ、頼む」


 おどけるアーティを、ジョンズワートは真剣な瞳でじっと見つめた。


「……わかってるよ。ずっと前から好きだった、奥様のことだもんな。今日出発とまではいかなくとも……可能なだけ早く出られるよう、調整してみせる」

「……ありがとう。きみがいてくれると、本当に助かるよ」

「ただし、それなりの無茶はさせるからな? 公爵様がしばらく家を空けるんだ」

「当然。僕が無理をする程度でなんとかなるなら、いくらでも」



 こうして、幼馴染の男二人は、カレンを探しに行くための準備を始めた。

 行先は国境をいくつか超えた先、ラントシャフト共和国。往復するだけでもそれなりの月日がかかる。

 そのあいだ公爵不在でもなんとかなるよう、ジョンズワートもアーティも仕事に明け暮れた。

 ジョンズワートは元より、仕事は真面目に、迅速にこなすタイプではあったが――そのときの働きは、彼の優秀さを知る者であっても目を見張るほどのものであった。

 それがカレンのためのものだと知り、公爵家に仕える者はみな彼を応援し、早くに出発できるよう力を尽くしてくれた。


 みなの協力の甲斐もあり、手紙に目を通してから1週間ほどで、ジョンズワートはラントシャフトに向かえることに。アーティも一緒だ。

 当主とその右腕が不在となってしまうが――彼らを止める者は、いなかった。

 二人は自分たちがいなくても大丈夫なよう準備をしたし、ジョンズワートがどれだけカレンを求めているかはみんなよく知っていた。

 デュライト公爵家に仕える者どころか、国中に、いや、他国にまで届くほどの想いなのである。

 愛する妻についての情報を得て、他国へ向かう。そんなジョンズワートのことを、誰が止められるだろう。




「じゃあ、いってくる。みんな、留守を頼んだよ」


 旅立つジョンズワートを、屋敷に仕える者みんなが見送った。

 その中から一人の女性が出てきて、ジョンズワートに近づいた。

 赤毛をきっちりまとめた女性、サラだ。


「ジョンズワート様。奥様とともにお帰りになられるよう、心から祈っております」

「ありがとう、サラ。きっと、カレンと一緒に帰ってくるよ」


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