表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/7

外伝最終話・後編 卒業式

外伝もこちらでラストです!



 旧校舎の2階。新聞部の部室へゆくと、廊下で何人もの生徒が部屋の中を覗いていた。

 見たところ現役の生徒のようだ。


「ちょっとごめん、通してくれる」


 リタに声をかけれられ、ビクッとする生徒たち。そのうちの一人が誰だろうと言う顔をしながら「あの、、、今は、、、」と止めようとしたが、リタは気にせず扉を開ける。


 新聞部の部室には中には珍しい組み合わせがいた。


「やあ、サクソン、ハインツ。ハインツは久しぶり。君たちだけ?」


「あ、リタさんだ。お久しぶりですね。ハナとマリアと待ち合わせです。もうすぐ来ると思いますよ」しばらく見ていないうちに、すっかり大人びたハインツが笑顔で返してくる。


「ライツとレフは一緒じゃないの?」


「来てますよ。今、ホーランドさんのお店にお使いに行ってもらってます」


「ふうん。それで俊英と名高い若き外交官と、将来を嘱望されている将官が二人で密談ってわけね。国家転覆でも狙っているのかしら?」


「リタさん、、、勘弁してくださいよ。ただでさえ廊下から注目浴びているって言うのに、、、おかしな噂が立ちますって」サクソンが渋い顔をする。


「でもサクソン、廊下の子たち、貴方が追い出したんじゃないの?」


「違いますって、ちょっと待ち合わせに使わせてくれって頼んだら、こいつらが新聞部ってバレてこの状況ですよ」


「本当かしら? そうだ、廊下に可愛い女の子もいたわよ。2人を見て頬を赤らめていたわ。ノリスに伝えなくちゃ」


「マジで勘弁してくださいよ、おいハインツ、何笑ってんだ」


「いや、サクソンは本当にリタさんと親しそうなんだなって思って。学生時代は考えられなかったからな」


「もう、暇を見つけてはノリス〜ノリス〜ってやってくるんだから。本当に仕事しているのかしら? サクソンのお父様にも報告しなくちゃ」


「あ、そうだ、ずっと聞いてみたかったんっすけど、リタさんってうちの親父とどこで知り合ったんですか? なんかこの間会ったら「リタと会ったらよろしく伝えてくれ」って言われたんですけど」


「お父様と仲良くやっているのね、何よりだわ」


「ごまかさないでくださいよ」


「教える義務もないわ」


 やりとりを眺めていたハインツがサクソンの肩に手をやる


「サクソン、リタさんがこうなったら聞き出すのは無理だよ」


「、、、、あー、もうわかってるよ。マジで最悪の保護者だぜ、この人」


「それもノリスに伝えておくわね。それとも、後々まで覚えておいた方が良いかしら?」


「すみません、謝りますって、、、はぁ」


「、、、確かに最強の保護者ではあるな、、、、ところでルクス達は? 一緒じゃなかったんですか?」


「ここにくればいるかなと思ったんだけど、うん。別を当たってみるよ」


「多分待っていれば来るとは思いますよ?」


「待っているのって性に合わないんだ」と言いながら窓を開けるリタ。


「それじゃあ、また後で」と言いながら、そのまま窓から出て行ってしまった。


 後に残された2人。


「もしもさ、、、、」


「なんだ?」


「もしもサクソンとノリスちゃんが結婚したら、リタさんの立場はサクソンの義理の母になるのかな?」


 ハインツの言葉に、サクソンはこれ以上ないほど渋い顔をした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 リタは整えられた小径を歩く。


 フォレットの希望で、リンカートが王都へ戻ってからは一般の人間は立ち入り禁止となったと聞いていたけれど、管理はきちんとされているようだ。


 ラヴィトーミーヴィアなどは日常的に使ってそうだな。ランチの場所なんかに。


 庭師や管理人以外で洋館に無条件で出入りできるのは、合鍵を渡された数人だけだ。理事長代理のラヴィトーミーヴィア以外だと、王弟のフォレット、、、、それから、フルト=ルクス。


 ルクスは地下にとある物を預けてある。本人はもう持ち出すつもりはないようだけれど、もしもの時のためにリンカートから手渡されていた。


 こちらもよく手入れのされたバラのゲートをくぐると、中庭に2人の人影。


「やっぱりここにいたのか。ハインツ達が待っていたよ」


 声をかけながら近寄ると、2人がこちらを向いた。


「あ、リタさん。少し久しぶりですね!」と微笑むソニア。


「ソニアは見るたびに綺麗になっていくね」


「そんなお世辞を」


「ソニアはいつも綺麗ですよ?」真顔で参加するルクス。


「もう、ルクスもからかわないで!」


「それで、何してたの?」


「特に何かしていたわけじゃないんですけど、久々に学園に来たので様子を見に。それから猫に会えないかな、と思って」


「会えた?」


「残念ながら」


「どこかにお出かけしているのかもしれないね」


「そうですね。あの人、、、あの猫、神出鬼没ですから」


「ねえ、ルクス。リタさんも行っていた通り、ハインツも待っているなら、そろそろみんなのところに行きましょうか」


「そうだね。リタさんはどうします?」


「私はもう少しだけ散策してから直接会場に行くよ。それじゃ、また後で」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 卒業式の会場となっている講堂の一角、少々目立つ集団が壇上の少女に熱い視線を向けている。



 在校生は壇上に視線を向けつつも、背後の集団もチラチラと覗き見ていた。


「あれ、伝説の新聞部だって」


「嘘でしょ」


「さっき、今の新聞部のやつから聞いたもの」


「理事長代理と話していたのを見た奴もいるって」


「じゃあ本当に、、、」


 ざわつく式場の中、卒業式は粛々と続く。


 そして主席卒業者の名前が呼ばれた。


「フルト=ノリス! 前へ!」



 ラヴィトーミーヴィアのよく通る声に


「はい!」と元気よく返事をして壇上へ上がるノリス。



 ノリスは壇上から会場を見渡し、卒業生くらい目立っている集団に目を止めると、



 向日葵のような笑顔を見せた。




〜終わり〜

みなさま、外伝までお付き合いいただきありがとうございます。

本作は、本編をたくさん読んでいただいたお礼の外伝でございました。ダラダラ続きを書くこともできたとは思いますが、そのまま放置することになるとなんなので、ひとまず区切りといたします。

リタさんは書いていて楽しいキャラです。またどこかで再会する日が来たら、暖かく迎えてあげてくださいませ。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ