エタるんじゃねえええええええー!!
あの作品に出会ったのは、ぼくがまだ若い頃だった。
薄暗い本屋の片隅にずらりと並んだ背表紙。タイトルは聞き覚えのない言葉。出版社も見知らぬところだ。
しかし本棚から一巻を抜き取り、表紙を見た瞬間、何か電撃が走って、確か五巻ぐらいまで買った。
絵は劇画調で雰囲気は薄暗い。ストーリーも薄暗い。しかし、その薄暗さが当時のぼくには心地よかった。
一気にはまって全巻買った。
貪るように読んだ。
周りの人にウザいくらい勧めた気がする。
この漫画は面白い。
世界一面白い。
しかし、当時はまだ無名で、誰にも知られていなかったその漫画は、特異な世界観や作風もあいまって、少なくともぼくの周囲ではほとんどの人が見向きもしていなかった。
やがてときは経ち、大人になったあとも、まだその漫画は続いていた。
徐々に知名度もあがり、漫画通の間では名作として認知されるようになっていた。
ぼくは思った。
ほれ、見たことか! ぼくが正しかった! この漫画は面白い! だから、言っただろうが!
愚かなぼくは、そんなくだらない優越感を、これまであの漫画に対して見向きもしなかった輩に感じていい気分になった。
ぼくたちは歴史に残る超大作を、後世に語り継がれるべき名作が、リアルタイムで紡がれてゆく瞬間に立ち会えているのだ!
ますます、その漫画が大好きになった。ぼくにとっての聖書の一つであった。
しかし、その作品の続きを読むことはもうできない。完結する事も永遠にない。
三浦建太郎氏のご冥福を心よりお祈りいたします。
本当に今までありがとうございました。
あー、ショックでなにもやる気がしないわ。
マジで泣きそう。