1ミリも野球知らないけどチームを結成しました
その後の試合は。
かなりカオスだった。
「うおーーー!!」
翼がまた内野安打を量産したり。
「隠し玉警戒!」
「今度はしてないよ」
涼香さんに普通にツッコまれたり。
「グワァラゴワガキィーン!」
真夏さんがまた長打を打ったり。
花音さんが「えへへ~」とか言いながらフェンス直撃の打球を放ったり。
「あにゃ~」
ふわりさんが盛大に空振りして一回転したり。
色々あった。
本当に色々あった。
ちなみに。
あたしは全打席三振だった。
「なんで当たんないの!?」
「振るのが早すぎるんだってぇ!!」
栞が半泣きで叫ぶ。
でも。
たまにかすった打球が、
ドゴォォォォン!!
スタンドを破壊した。
ファールだったけど。
「「「「「「「「「怖っ」」」」」」」」」
全員が引いていた。
最終的に。
『ゲームセットォォォ!!』
スコアボードには、
【7-3】
の数字が表示されていた。
雨宮チームの勝利。
「負けたぁ~~!!」
翼がベンチへ倒れ込む。
「うぅ……悔しい……」
ひかりもしょんぼりしていた。
でも。
不思議と空気は明るかった。
「いやー、めっちゃ楽しかった!」
真夏さんが笑う。
「途中から球場破壊ゲームだったけど」
リノさんが苦笑した。
「ご、ごめんってぇ……」
恥ずかしい。
花音さんはふわふわ笑っている。
「でも百花ちゃんの打球、すごかったよねぇ~」
「当たれば、ね……」
栞が遠い目をした。
「当たれば絶対ホームランなのに……」
「ねー」
翼がうんうん頷く。
「全部空振りだったけど!」
「うるさい」
ふわりさんはベンチでへにゃっとしていた。
「つかれたぁ~」
『なお小鳥遊選手、本日四打数四空振りです』
「えぇぇ~!?」
実況に暴露されていた。
そんな感じで。
両チームごちゃごちゃ喋りながら、試合後ロビーへ戻る。
空中には、試合結果やリプレイ映像が流れていた。
百花の三振集まで流れてる。
やめて。
すると。
真夏さんが、ふと笑いながら言った。
「なんかさ」
「?」
「また一緒にやりたくない!?」
その言葉に。
みんな少しだけ静かになる。
栞が、小さく笑った。
「……分かる」
「女子だけでこんな騒がしい試合できると思わなかった......」
リノさんも頷く。
「今まで男子混じりばっかだったし」
「女子だけでチーム組むの、ちょっと憧れてたんだよねぇ~」
花音さんが言う。
「わっ、私もです!」
ひかりが勢いよく手を上げた。
「風見先輩達ともっとやりたいです!」
「私も……」
のぞみも小さく頷く。
翼は、ぱぁっと顔を明るくした。
「じゃあチーム組もうよ!」
「えっ」
真夏さん達が目を丸くする。
翼はにこにこしながら続けた。
「せっかく十人いるんだし!」
「DH込みでちょうどだよ!」
「そこまで考えてたの!?」
栞がツッコむ。
でも。
誰も嫌そうな顔はしていなかった。
むしろ。
ちょっと嬉しそうだった。
その時。
ピコン。
全員の前にウィンドウが表示される。
【チーム機能が解放されました】
「おお?」
【一定人数でパーティーを組み、試合を行いました】
【チームを結成できます】
タイミング良すぎる。
翼と真夏が勢いよく拳を上げた。
「よし!!」
「チーム名決めよ!!」
「「ミサイルゴリラーズ!!」」
「却下」
あたしは即答した。
「ええっ!?」
翼と真夏がショックを受けた顔をする。
「なんで!?」
「なんでじゃない」
あたしは真顔で言う。
「女子高生のチーム名じゃない」
「でも強そうだよ!?」
「名前で威圧していこうぜ!?」
「強そうでも嫌」
すると。
のぞみがおずおずと手を上げた。
「じゃ、じゃあ……キューティガールズ、とか……?」
沈黙。
……うん。
普通にかわいい。
翼がぱぁっと顔を明るくする。
「いいじゃん!!」
「かわいいです!」
ひかりも大賛成だった。
花音さんも、ふわっと笑う。
「女の子チームって感じだねぇ~」
涼香さんも頷く。
「なんかアイドルチームっぽい!」
真夏さんはちょっと恥ずかしそうに。
「キューティかあ~ガラじゃねえな~」
リノさんが小さく笑った。
「……まあ、ワイルドアニマルズよりは」
栞は少し考えてから、
「……意外とアリかも」
と呟いた。
全員の視線が、最後にあたしへ向く。
「百花ちゃんは?」
うーん。
「……ミサイルゴリラーズよりは百倍マシ」
『チーム名:
キューティガールズ』
決定。
なんか可愛い名前になった。
でも。
実況が最後にこう言った。
『なお本日の試合で破壊された球場設備は――――』
「言うなぁ!!」




