爽やかな平穏は突然に………
シルフィードを救い、一週間ほど過ぎたある日─
「う~ん♪この、たこ焼きは最高ね!」
シルフィードはたこ焼きにハマっていた。それはもう、1日三食ともたこ焼きである。
たこ焼き
ねぎだこ
ドラゴンてりたま
ミノタウロスのチーズ明太子
特製カレーソース
海老タルタル
ゆず塩ポン
スライムゼリーたこ焼き
クラーケンたこ焼きもどき
などなど、多くのメニューが開発されておりなかなか、飽きのこない食べ物になっていた。
「そろそろ別の食べ物を食べない?」
シオンはシルフィードが1度ハマるとのめり込むタイプだと知り後悔した。
「だって美味しいんですもの♪」
「そうだけどさー?同じものばかり食べていると食事の栄養バランスが悪くなるよ?」
そうは言っても聞き入れては貰えなかった。
「まぁまぁ、その内もっと美味しいものを食べるようになるって!」
ちょうどやって来たノームが答えた。
「ノームも昼御飯?」
「うんにゃ、もう食べた。それよりちょっと来て欲しいの」
なんだろう?と思い付いていくことなった。
用意した馬車に揺られながらノームが言った。
「イフリートの気配が近付いてきているのよ」
「えっ!マジで?」
ノームの言葉は意外なものであった。
「ただ気配が微弱だから多分─」
「イルミナ将軍ね!」
あれから時間が経っている。洗脳は解けたのだろうか?
「会ってみないとわからないわね」
こうして馬車はシルクードの検問所に向かうのだった。
シオンが検問所へたどり着くと、何やら揉めていた。
「どうしたの?」
警備兵に尋ねると、法王国側で発行された通行書が現在、利用停止中で通れない事で揉めていたそうだ。
まぁ、戦争を仕掛けられたもんだったからね。ほとぼりが冷めるまでは、法王国の移動を制限しているのよね。一応、他の領地はまだそこまででもないが、うちには四大精霊がいる。悪意ある者から守る為に、検問の防犯レベルが高い。ここまでは来ることが出来ても通れない場合があるのだ。
でも─
向こうを見るとラフな格好で旅人の服を着込んだイルミナ将軍が見えた。
「あの人は知り合いだから通して。迎えにきたの!」
警備の兵士は一礼をしてイルミナ将軍を案内してきた。シオンがいる事に驚いていた。
「久しぶりといえばいいかな?」
「…………なんと言えばいいのか。すまない、言葉がでてこない。取り敢えず、私を救ってくれて感謝する」
イルミナ将軍はシオンに深く頭を下げた。積もる話もあるからと言って馬車に乗せて屋敷へと帰るのだった。
「改めて、私はイルミナ・マグマーンという」
「私はシオン・シルクードです。このシルクード領の領主をしているの!そして四大精霊の契約者よ♪」
イルミナは一瞬目を開いたが、それほど驚くことなくそうですか、と言って会話が終了した。
コソコソッ
「ねぇ、なにかぎこちないわね?」
「まぁ、今までの経緯を思えば仕方がないわよ」
イルミナ将軍に気を遣いつつ屋敷へ戻るシオン達であった。
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屋敷に着くとシオンは各四大精霊を呼んだ。
「…………まさか、シルフィード様までいらっしゃるとは思っていなかった」
イルミナ将軍はすっかり萎縮してしまっていた。フレイちゃんのように赤い髪に、長い髪をポニーテールにして、クールな美女がそこにいた。
「そんなに緊張しないで。貴女はイフリートの愛し子なのでしょう?堂々としなさいな」
「そうだな。あのイフリートがみたらゲンコツが落ちるだろうな~」
「そうじゃな。あのイフリートが加護を与えた者じゃ。色々と自信の失くす事があったが、余り自分を責めるでないぞ?」
どうやらイフリートは暴力的らしい。
「それよりイルミナ将軍、どうしてここに来たのかと、イフリートがどうなっているのか教えて貰えるかしら?」
シオンは話が脱線する前に、本題へ入るのだった。
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