ついに─
あれからどのくらい進んだろうか?
すでに、地下への隠し通路を発見してから2日も経っており、現在は3日目になっていた。。1日目はすでに心構えが出来ていたシオン達だったが、3日目に突入した事により食糧が心配になってきたのだ。まだ余裕があるが先の見えない探索ではどれだけ心配しても無駄ではないのだ。
「食糧は多めに入れてあるから、1人1週間分の携帯食が入っているわ。もし、ノームとウンディーネが食べないのなら私達は最大2週間は何とかなる予定よ」
(精霊は食べなくても生きていけるのです)
シオンは一言、間を置いて言った。
「まぁ、帰りは転移があるから万が一の場合は脱出するのを忘れないでね!」
そう、敵が生き埋めにしようとしたら逃げる事ができるのだ。海龍の中のように転移できない事はない。すでに1度試して確認済みである。
「問題は地下のダンジョンもどきが、どれくらい続いているかじゃな?」
そうなのよねー!この地下は正確にはダンジョンになっていない。あくまでも、大地に根を降ろした世界樹の根を伝って、雨水が流れ込んで空洞化した所を地面を掘れる魔物がダンジョンのように整備していったのだ。まぁ、なりかけではあるのだが。
「この巨大な世界樹を支える樹の根だからね。かなり地下深くまで続いていると思うけど………多分、敵はそこまで深くまでいないと思うのよ」
シオンの言葉にフローリアが尋ねる。
「どうしてそう思うのでしょうか?」
「余り地下深くにいると、増やした魔物を上に移動させるのが大変じゃない?」
「「「あっ!?」」」
「多分、メインは樹の根を食べさせて、余った魔物を地上に上げて、私達の目を眩ませようとしたんじゃないかしら?」
シオンの言葉に証拠はないが、説得力があった。しかし、シオン達にできることはシルフィードの気配を探りつつ、その方向へ向かうしかないのも事実であった。
休憩を終えて、またシオン達は動きだした。奥へ行くほど護衛の魔物に遭遇する確率も増えていった。最近では大蟻の魔物以外も現れるようになった。
【鑑定】
『芋虫』
樹の幹や葉が大好物。粘着性の糸吐く。成長すると繭になり、大きな蛾の魔物になる。
「まんまやないかい!!!?」
シオンは1人ツッコミをしてしまった。
「どうしたの!?」
「えっ、何でもない。あははは…………」
シオンの奇行は今に始まった事ではないので、フローリア以外は聞き流していた。
また何時間も進んで行くと、ノームとウンディーネが突然に止まった。
「どうしたの?」
尋ねるとウンディーネが答えた。
「ここじゃ!この真下からシルフィードの気配を感じるのじゃ!」
「ええ、私も同じよ!」
そこは、通路のど真ん中であった。まだ次の地下へ降りる道は見付かっていない。
「どうしよう。廻り道するしかないのかな?」
正直、何日も薄暗い地下で過ごすのもキツくなってきたのだ。早く、シルフィードを見付けて脱出したい。少しその場で考えていると、ノームが提案してきた。
「だったら、ここから下に降りよう!」
ノームよ、何を言っているのかな?かな?
目の前には、ただの地面しかないのよ?頭は大丈夫?バカなの?バカなんだね???
ノームがニッコリ笑ってシオンこめかみをグリグリした。
イタタタタ!!!!!
「何をするのよ!」
「なんかバカにされたような気がしてね?」
ギクッ!?
「はぁ~、まぁいいわ。ここなら私の力で地面に穴を開けられるわ!」
おおぉ~!!!?
凄いじゃない!
あれ?そうしたらなんですぐに使わなかったのよ?
「ねぇ?どうしてすぐに使わなかったのよ!」
そうしたら、こんな所に3日もいなくて良かったんじゃないのよ!プンプンッ
「世界樹の1階層はあくまでも樹の中だから、私の力は使えなかったわ。ただでさえダンジョンは色々と規制が掛かるしね。それと、地下へ降りた時でも、下が空洞になっているかまでわからないもの。適当な場所に穴を掘って降りても、シルフィードがいる場所と繋がっているとは限らないでしょう?」
ぐぬぬぬ…………正論である。ノームの癖に生意気な!
(酷い逆恨みである)
「さっ、下へ行くわよ!」
ノームは両手を地面に付けると魔力を込めた。するとどんどん目の前の地面が陥没して、穴が空いていった。
「よし!繋がったわ!」
空いた穴に風魔法で身体を浮かせながら、ゆっくりと下へ降りて行くのだった。
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