地下深くへ─
幻影魔法で秘匿されていた地下への入口を見つけたシオン達は警戒を強めながら地下へと降りて行った。
ガギィーーーーーン!!!!!!
「なにっ!?」
地下へ降りたシオン達はすぐに魔物と遭遇した。目の前には大蟻の魔物がいて対峙していたが、その大蟻は1階層の大蟻と違い、体格が2倍も大きく外装も強く強靭と化していた。
【鑑定】
『ガーター・アント』
拠点の防御として設置され、高い防御力を誇る。その装甲は鋼鉄の鎧を着ているように硬い。
ガギィン!!!
ガギィン!!!
「気を付けて!防御力特化型の魔物だよ!魔法で攻撃して!」
リヴィの水の槍でも、装甲を凹ますだけで貫く事が出来なかったのだ!
「ちっ!」
「下がるのじゃ!」
ウンディーネはリヴィに命じると同時に魔法を放った!
「穿て!『水流旋神』!」
ドリルのような水の槍がスクリューを巻いて飛んでいきガーター・アントを貫いた!
「やった!」
シオンは喜びの声をあげるが、ウンディーネが叫んだ!?
「油断するでない!このレベルの魔物が多数、近付いてくるのじゃ!」
ライトの魔法で周囲を明るくしていたシオン達は通路の向こうからやってくる魔物の影を捉えた。
「ここからは手加減は抜きだ!」
リヴィは両腕に魔力を溜めた。
「今まで、あれで手加減してたの!?」
リヴィは水の槍を水の大鎌に変形させて、ガーター・アントを横殴りで一刀両断にした。
「よしっ!」
確かな手応えを感じて、援軍にきた魔物達を屠っていった。そしてシオン達はリヴィが切り開いた道を駆け足で進んでいく。
「急に魔物が手強くなりましたね!」
「奴らも居城に浸入されて焦っておるのじゃろう!」
地下通路は、地面と樹の根が入り交じって、とても進みにくかった。途中で魔物達が樹の根を噛っている所を見つけた。
「…………なるほど。こうして世界樹の地面の下にある根を少しずつダメにしていたのね」
フローリアは風魔法で魔物を一掃した。
これだけ大きな樹木である。地中深く張り巡らせた樹の根は、多少何本か傷付いても自己回復する。しかし、断続的に傷付けられれば先っぽの方から枯れてしまう。大蟻の魔物は広範囲で樹の根をダメにしていっていたのだろう。
「フローリアさん、今はすべての魔物を倒して行くわけにはいかないわ。奥にいる首魁を倒せば統率をなくすでしょう」
フローリアは悔しそうに頷くと、目に付いた魔物だけ倒しながら進んでいった。シルフィードの気配をたどって進んで行くと、更に下へ進む坂道になっている場所を発見した。
「ここから更に下に行けるようね」
シオン達は周囲を警戒しながら更に地下へと降りていった。
グルルルルッ!!!!!!
更に地下へ降りるとかなり広い通路へとでた。そこで、多数の魔物達が待ち構えていたのだ!
「また見たことのない魔物がいるわ!気を付けて!」
【鑑定】
『ソード・アント』
鋭いブレード状の両腕で敵を両断していく斬り込み隊長。防御力・素早さも上がっている。
『リーダー・アント』
配下の魔物を使役するリーダー。特殊な超音波で瞬時に情報を送れる。自身も体格が大きくなり全てのステータスが高くなっている。
『魔物の卵』
中には大蟻の魔物が眠っている。
なかなか強いわね。でも、このくらいなら何とかなるわ!リヴィを主軸に魔物へ向かっていった。しかし─
「なっ!?」
リヴィにガーター・アントが群がると、リヴィを無視して、他の魔物がシオン達に襲い掛かった!
「なるほど。ここまで進化した魔物だと、多少の戦略は考える事ができるようね!」
手強いリヴィを無視して、後ろにいる私達から狙ってくるとはね………でも─
「甘いわ!」
今まで温存していたシオン達は魔法で応戦した。弱いと思っていた魔物達はあっと言う間に返り討ちにあった。
「ハッ!!!」
防御力の高いガーター・アントに囲まれていたリヴィも、少しして全て倒し切った。
「すまない!大丈夫であったか?」
無事なのはわかっていたが、魔物を止められ無かった責任を感じたリヴィは仲間達を見渡した。
「大丈夫よ!それより、ここからは全員、今まで以上に気を引き締めて行きましょう!体力の温存も忘れずに!収納バッグには魔力回復ポーションも入っているから、危なくなったら遠慮なく飲んでね!」
シオンの言葉に全員が頷くと、そのまま探索を続けるのだった。まだまだ先は長そうだ。
「後、魔物の卵は潰していきましょう」
周囲の壁に埋まっているようにあった、白い大きな卵を炎の魔法で焼き払った。
「気持ち悪いわね。ここから先にはどれくらいの卵が埋まっているのかしら………」
フローリアの言葉に返事をできる者はいなかった。
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




