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交渉!

しばらくして、レイラ達は広い豪華な部屋に通された。


「ようこそ、遠い所からおいでくださり、誠に感謝致します。私は三人の代表の1人、エルフのフローリアと申します」


優雅にドレスの裾を摘まんでカーテシーを決める。レイラ公爵婦人もカーテシーを決め、お互いの自己紹介から入った。


「御丁寧にどうも。わたくしはリュミナス王国

レッド・ハート公爵家正妻、レイラ・レッド・ハートと申します。国王陛下の名代でやってきました」


「これはお美しい婦人ですな。ワシはドワーフのトーリンと申す。亜人連合三人の代表の1人である」

「同じく、獣人族のガロウだ。王国とは流儀が違うため、多少の無礼は許されよ」


各部族長達と挨拶をかわした。亜人達に家名はなく(稀にいるが原則ない)、種族名の後に名前を名乗るのが流儀である。レイラ婦人も他国の勉強はしっかりとしてあり、亜人国の挨拶の仕方など把握していた。


「お会いできて光栄ですわ。王国と亜人連合国とは友好国としてこれからも大事に付き合って行きたいと思っております。後ろの二人はわたくしの護衛ですので、また【後で】ご挨拶致します」


レイラ婦人の言葉に、各自席に着き本題へと入った。


「まずはそちらの使者が訪ねて来られてから、かなり返事が遅れてしまい申し訳ありませんでした」


まず、レイラ婦人が頭を下げた。


「いいえ、無理を承知でお願いに上がったのです。本当に来て頂きありがとうございます」


フローリアも丁寧に返した。


「しかし、ついていませんでしたな?何でも法王国から騎士団が戦を仕掛けたとか?」


ガロウの言葉にレイラ婦人は頷いた。


「そうですね。素早い情報伝達のお陰で水際で防ぐ事ができましたので、ご心配なさらずに」

(なるほどね。法王国との国境の戦いはすでに掴んでいるということね)


すでに、言葉と言葉での斬り合いの場と化している交渉の場である。ちょっとした会話にも情報はちりばめられているのだ。


「それより、お手紙にありました四大精霊の一柱であるシルフィード様をお探しとか?居場所のだいたいの目星は付いているのでしょうか?」


レイラ婦人の言葉にフローリアは首を振った。


「シルフィード様が姿を消して数十年になります。詳しい居場所はかいもく見当が付きません。ただシルフィード様は世界樹の何処かにいると考えられています」


フローリアの言葉は矛盾していた。


「どういうことでしょう?詳しい場所がわからないとおっしゃられましたが、世界樹の何処かにいるとわかっているとは?」


フローリア側にあった丸まった用紙をほどき、テーブルに広げた。それは世界樹の見取り図であった。


「これはっ!?」


ギルド長も目を細めて見つめた。


「見ての通り、世界樹の内部はダンジョンと化しているのです」


小さな山ほどの大きさのある樹木と思っていたが、内部がダンジョンになっていたとは驚きである。


「ご存知の通り、ダンジョンは魔物が無限に発生し構造が複雑な迷路になっています。我々の見解ではシルフィード様は何かしらのトラップにハマり、動けなくなっているのでは?と考えております」


フローリアの言葉に、レイラ婦人はノームを見た。ノームはバツの悪そうな顔をして視線を逸らした。


『なるほど。ノーム様と同じ目に合っている可能性がありますね。さて、どうしたものでしょうか?』


レイラ婦人が思案しているとガロウが話し掛けてきた。


「フローリア殿の言う通り、同じ四大精霊同士なら魔力を察知できると聞いている。それで居場所がわかるのでは?と思っているのだ。お力添えを平にお願いしたい」


ここまで亜人側は丁寧に真摯に頭を下げている。普通ならここで了承するだろうが…………


まだ、報酬についてに何も言っていない。先に了承してしまうと報酬が値切られてしまう。

これは国益を求められる交渉の場。慈善事業ではないのだ。


レイラ婦人はニッコリと微笑むと、相手の懐へ飛び込む言葉を放った。


「そちらのお気持ちは理解しました。しかし、四大精霊の契約者は王国の財産に等しい。それなりの【お気持ち】を頂きたいと思いますわ」


フローリアはレイラ婦人の言葉に、油断ならない人物と警戒し報酬の話に入った。


交渉の場において、相手の情が入るなどもっての他である。レイラ婦人はそれをクリアしている。では、どうやって報酬を釣り上げていくのか、妥協点を探る場へと話し合いはシフトした瞬間であった。








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― 新着の感想 ―
[一言] 世界樹って神聖なものじゃないの? 魔物が湧きでるなんて。 ダンジョン化したから、ということかな。
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