亜人達の国
前回、批判的コメントが多く来ると思っていたら、全然来なくてホッとしました。
レイラ公爵婦人は亜人連合国の王城へやってきました。なんと、王城も巨大な樹木を切り抜いて建ててあるものだったのです。
「これは壮観ですね~」
「そうだねー!これが世界樹と言われても信じてしまうよ」
世界樹はちょっとした小山ぐらい大きく、この王城の樹木とは全然大きさが違うのだが、この樹木も想像絶する大きさだった。一国のお城ほどの巨大な樹木なのだから。
「さぁ!こちらです」
エルフの使者が丁寧に案内してくれた。
少し別室で待機させられたレイラ達だったが、待っている間は、お互いの情報交換に使った。
「では、エルフ達の目的は四大精霊のシルフィードの探索ではなく、枯れ始めている世界樹を何とかするために探していると?」
「ええ、まだ世間一般には知られていないですが、明らかに世界樹が枯れてきています。我が国も情報収集に力を入れて持ち帰った確かな情報です」
ノームは手を顎に当てて答えた。
「おかしいわね。私も四大精霊の端くれ、地面に何かあれは気付くはずだけど、この辺りの土地の活力は衰えていないわ」
「それでは純粋な寿命なのでしょうか?」
「う~ん、1度見てみないとわからないわね」
ギルド長が素朴な疑問を尋ねた。
「前から思ったんじゃが、世界樹にシルフィードが住んでいる?のは何故じゃ?土地に由来するならノーム殿の方が合っているような気がするのじゃが?」
「ああ、その事ね。確かに世界樹はその周辺の土地の浄化と活力を与える事を担っているわ。地面を浄化し、地面の生命力を葉に宿して、その葉が風で遠くまで飛んでまた土に返る。シルフィードは世界樹の葉が好きでね。生命力に満ちた葉を感じながら、出来るだけ遠くに飛ばしていたのよ。多くの土地が豊かになるようにね」
ノームの言葉に感心したギルド長はほぅ、と一言いった。
「そうして、我々人間や動植物達が知らない間に四大精霊達のお世話になっておったということじゃな。本当に感謝するしかないわい」
ギルド長の言葉にレイラ公爵婦人も頷いた。
「そうですね。我々人間はもっと四大精霊様達に感謝しなければなりません。本国へ戻ったら『精霊祭』という感謝祭を提案してみましょう!」
ノームは照れ臭そうに窓の外をみるのだった。
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「それは本当なのか!?」
レイラ達が待っている間、亜人達の方でも動きがあった。
「レイラ公爵婦人から伺っただけなのでなんとも。しかし四大精霊の契約者である少女が植物を操れる魔術師のようなのです」
!?
「なるほど。先の帝国への食糧輸出の減量はそういうことだったのか」
エルフの使者の前には大きな机を挟んで3人の人物がいた。3人とも容姿がバラバラだった。
1人はエルフ・フローリア
1人はドワーフ・トーリン
1人は獣人・ガロウ
であった。亜人連合国は種族代表の3人が意思決定をしている三頭政治を行っていた。
「ガロウ殿、それはどういうことじゃ?」
黒き虎の獣人であるガロウが答えた。
「トーリンよ、少し前に帝国から食糧の輸入量を減らしたいと申し出があったのだ」
「なんじゃと!どうしてそのような大事な事を黙っておった!」
ガロウは腕を組んで答えた。
「それ以上の金額のドワーフの武具を購入すると言ってきたのでな。過剰在庫は船で自由貿易都市にて販売した。儲けは減ったが国自体ではかなりの増収となった」
ドワーフのトーリンは不快感を出しながらエルフに同意を求めた。
「フローリアよ、ガロウ殿の独断はどう思われるか?」
「そうですね。もう少し前もって教えて頂きたいものですね。しかし、利益が増収だったので今回は目を瞑りましょう。ガロウさん、次は報告をお願いしますね?」
「ああ、すまない」
素直に頭を下げる事で話は終わり、本題へと入った。
「それで話はそれたが、帝国への食糧輸出量の減少に、その少女が関係していると?」
「ああ、どうして王国が囲い込んでいる四大精霊の契約者が、帝国へ行ったのか不明だが、外交官からは帝国が豊作で、食糧事情が改善したとのことだ」
一同は頭を悩ませた。亜人連合の主な輸出品は食糧(小麦など)、ドワーフの武具、エルフの装飾品である。その1番の収入源が食糧の輸出品が占めていた。今回は向こうが調整してくれたからいいが、今後の収入が減るのは痛手である。
「取り敢えず、今回は保留とします。今は王国からの協力を取り付ける事が第一です。余り時間がありませんが、手はず通りにお願いします」
そう締めくくってフローリアはレイラ達を呼ぶのだった。
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